126 / 127
またまた旅に出ました
わたしの謎が解けました
しおりを挟む
「
悪魔を倒すつもりだったのです」
そうロザリナの霊は語り出した。
「でも、美しい悪魔に惑わされ、私は悪魔の子を身ごもりました」
……上手く切り抜けたってそういうことなんですか、お父様、と未悠は、タモンを見る。
「タモン様はそのことを知らないまま、眠りにつかれ、私はひとり、このシャチョーを出産しました。
悪魔の子を宿したので、もう神殿の巫女候補からは外されてしまいましたが、シャチョーと二人、森の小さな屋敷で暮らし、幸せでした。
父は不名誉なことだと憤っていたのですが。
母は孫可愛さもあり、私たち二人を匿ってくれていたのです」
代々、巫女候補は王家と縁続きの名家の娘がなるもののようだった。
そういえば、前の巫女も王妃の大叔母だと言っていたし。
「姉、ロザリナは巫女候補から外れましたが。
悪魔の子を宿した姉を持つ私の立場も危うかったのです」
と未悠の母、カタリナが語り出す。
「表向きは、巫女候補の娘が悪魔の子を宿したことは伏せられ、姉は病弱を理由に巫女候補から外れていたのですが。
怪しむものも居ました。
姉は、酒樽を両手にひょいと抱えて蔵まで運べると重宝されていた、頑健な身体の持ち主だったので。
私は次期巫女としてのおのれの地位を確かなものとするために、塔の悪魔を倒しにいきました」
だからですね、お母様。
貴女がたは何故、なんの悪事をしたのかもわからぬ悪魔を倒しに行くのですか。
「すると、そのとき、ちょうどタモン様が目覚められ、私もタモン様の子を身ごもりました」
「こういうことがあったから、塔に近づいただけで妊娠するって話が出たんじゃないんですか、タモン様」
と未悠は同意を求めて、父、タモンを見たが。
タモンはタモンで、愕然として、ロザリナとカタリナを見ていた。
「別人だったのか」
「……あの、名前くらい聞いてから妊娠させてください」
「娘を二人も悪魔に妊娠させられた父は怒り、塔の入り口を塞ぎました」
あの地下へのマンホールみたいなの蓋は祖父が作ったものだったのか。
いや、簡単に私の体重で割れたし。
ナディアも王妃様たちも気にせず、乗り越えていっていたようなんだが。
「父は、私たちの子どもを悪魔の子だと罵り――」
いや、そこはお祖父様、間違ってないです……。
「王家の血筋に双子が産まれたときにするのと同じように、王家の紋章の入った衣類を着せ、私たちの子を花畑に置き去りにしたのです。
慌てて、私たちは花畑に駆けつけましたが、もう貴方たちの姿はありませんでした。
私たちは、今まで、消えたお前たちのことが気がかりで、此処に居ましたが。
やっと会えたので、しばらくお前たちを見守ってから、生まれ変わるとしましょう」
そう言い、カタリナとロザリナは微笑んだ。
……生まれ変わるのはいいのですが。
まだまだこの人生きてそうなんですけど。
また騙されないでくださいね、とタモンを見ると、その考えを読んだようにタモンは言う。
「いや、私は今回はもう眠らないのかもしれぬ」
眠らず、年をとっていくのかも、とタモンは言った。
「さすがに毒が薄れて眠らなくなったのかもしれないし。
私の血を継ぐお前たちが現れたからかもしれない。
こうして、おのれの血を残し、人は命を繋いでいくものだからな」
いや、なんか綺麗にまとめようとしてますが。
倒そうとやってきた姉も妹も一瞬のうちに、籠絡して手篭めにしたって話ですよね。
「ある意味、最終兵器ですね」
とヤンが呟き、
「ああ、恐ろしいほどの女たらしだ」
とアドルフが深く頷いた。
「なんだ、悪魔ではなく、いにしえの王の弟君だったのですか」
大神殿で、タモンの誤解も解け――、
いや、巫女候補二人を妊娠させたのは、なんの誤解でもなかったはずだが……、
と未悠が思う中、一行を歓迎する祝宴が始まった。
騒がしい神殿を抜けた未悠は、夜の砂漠に伸びる真っ白な細い道を見た。
その先には、砂埃に霞む街。
そして、その上には、これまた霞む丸く白い月が見える。
「戻ったら、式をしようか」
ふいに、そんな声が後ろから聞こえてきた。
アドルフが立っている。
「此処まで来たことは間違いではなかったな。
お前と兄妹でないことがわかった。
これでなんの障害もない」
と言うアドルフを、
「いや……そうですかね?
私は、貴方の先祖の血を引いていたわけですよ。
ひいひいひいひいひいおばあちゃん的な感じなんですけど。
それでも、オッケーですか?」
と言って、未悠は見上げる。
「妹でも構わないと思ったんだ。
婆さんでも構わない」
と嬉しいんだか、嬉しくないんだかわからないことを言ったアドルフは、後ろから未悠の顎に触れてきた。
上を向かせ、そっと口づけてくる。
だが、アドルフの表情は冴えなかった。
「どうしたんですか?」
と訊いてみたのだが、
「……いや。
なんでもない」
とごまかされる。
アドルフは、ただ強く、後ろから抱きしめてきた。
「お前が何者でも、何処の世界から来たのでも、年をごまかしていても関係ない。
産まれてきてから今まで、俺が心を動したのは、お前だけだから」
……安心するな、と未悠は目を閉じる。
安心するな、アドフル様の腕の中は。
どきどきもするけど、と見上げたアドルフの表情は、自分とは対照的に真っ青だった。
……本当に隠し事のできない人だ。
「なにがあったんですか?
巫女様とお話されていたようですが」
と未悠は訊いてみる。
「同席していたお母さんたちが、まあ、可哀想にーって言ってたみたいなんですけど」
と言うと、アドルフは何故か、
「……霊だから抹殺できないが、あの二人は余計なことを言わないよう、なんとか黙らせないとな」
と呟いていた。
一体、なにが……と苦笑いしながらも、未悠は、逃すまいとするかのように、強く抱きしめてくるアドルフの腕の中に居た。
あの姉妹を黙らせたところで、なんの解決にもならないか……とアドルフは思っていた。
大神殿で、自分と未悠の未来を見てもらったのだ。
今までいろいろありすぎたから、ちょっと不安で――。
だが、見るのではなかった。
ピンクの可愛らしい花の咲き乱れる森の中、未悠がグレーのスーツを着た男と抱き合っている未来が見えたのだ。
「未悠……」
「はい」
「俺は未来は望めば変えられるものだと思う。
お前が好きだ。
城に戻ったら、すぐに結婚しよう。
生涯ただ一人、お前だけが俺の花嫁だ」
……はい、と頷き、未悠は笑ってくれた。
だが、未悠が城に戻ることはなかった。
途中、通ったあの花畑の近くで、
「そうだ。
大神殿の石買うの忘れてま……」
と言い終わらないうちに未悠の姿は消えていた。
駿の姿もなく、あとにはただ、未悠が乗っていた馬だけが残された。
悪魔を倒すつもりだったのです」
そうロザリナの霊は語り出した。
「でも、美しい悪魔に惑わされ、私は悪魔の子を身ごもりました」
……上手く切り抜けたってそういうことなんですか、お父様、と未悠は、タモンを見る。
「タモン様はそのことを知らないまま、眠りにつかれ、私はひとり、このシャチョーを出産しました。
悪魔の子を宿したので、もう神殿の巫女候補からは外されてしまいましたが、シャチョーと二人、森の小さな屋敷で暮らし、幸せでした。
父は不名誉なことだと憤っていたのですが。
母は孫可愛さもあり、私たち二人を匿ってくれていたのです」
代々、巫女候補は王家と縁続きの名家の娘がなるもののようだった。
そういえば、前の巫女も王妃の大叔母だと言っていたし。
「姉、ロザリナは巫女候補から外れましたが。
悪魔の子を宿した姉を持つ私の立場も危うかったのです」
と未悠の母、カタリナが語り出す。
「表向きは、巫女候補の娘が悪魔の子を宿したことは伏せられ、姉は病弱を理由に巫女候補から外れていたのですが。
怪しむものも居ました。
姉は、酒樽を両手にひょいと抱えて蔵まで運べると重宝されていた、頑健な身体の持ち主だったので。
私は次期巫女としてのおのれの地位を確かなものとするために、塔の悪魔を倒しにいきました」
だからですね、お母様。
貴女がたは何故、なんの悪事をしたのかもわからぬ悪魔を倒しに行くのですか。
「すると、そのとき、ちょうどタモン様が目覚められ、私もタモン様の子を身ごもりました」
「こういうことがあったから、塔に近づいただけで妊娠するって話が出たんじゃないんですか、タモン様」
と未悠は同意を求めて、父、タモンを見たが。
タモンはタモンで、愕然として、ロザリナとカタリナを見ていた。
「別人だったのか」
「……あの、名前くらい聞いてから妊娠させてください」
「娘を二人も悪魔に妊娠させられた父は怒り、塔の入り口を塞ぎました」
あの地下へのマンホールみたいなの蓋は祖父が作ったものだったのか。
いや、簡単に私の体重で割れたし。
ナディアも王妃様たちも気にせず、乗り越えていっていたようなんだが。
「父は、私たちの子どもを悪魔の子だと罵り――」
いや、そこはお祖父様、間違ってないです……。
「王家の血筋に双子が産まれたときにするのと同じように、王家の紋章の入った衣類を着せ、私たちの子を花畑に置き去りにしたのです。
慌てて、私たちは花畑に駆けつけましたが、もう貴方たちの姿はありませんでした。
私たちは、今まで、消えたお前たちのことが気がかりで、此処に居ましたが。
やっと会えたので、しばらくお前たちを見守ってから、生まれ変わるとしましょう」
そう言い、カタリナとロザリナは微笑んだ。
……生まれ変わるのはいいのですが。
まだまだこの人生きてそうなんですけど。
また騙されないでくださいね、とタモンを見ると、その考えを読んだようにタモンは言う。
「いや、私は今回はもう眠らないのかもしれぬ」
眠らず、年をとっていくのかも、とタモンは言った。
「さすがに毒が薄れて眠らなくなったのかもしれないし。
私の血を継ぐお前たちが現れたからかもしれない。
こうして、おのれの血を残し、人は命を繋いでいくものだからな」
いや、なんか綺麗にまとめようとしてますが。
倒そうとやってきた姉も妹も一瞬のうちに、籠絡して手篭めにしたって話ですよね。
「ある意味、最終兵器ですね」
とヤンが呟き、
「ああ、恐ろしいほどの女たらしだ」
とアドルフが深く頷いた。
「なんだ、悪魔ではなく、いにしえの王の弟君だったのですか」
大神殿で、タモンの誤解も解け――、
いや、巫女候補二人を妊娠させたのは、なんの誤解でもなかったはずだが……、
と未悠が思う中、一行を歓迎する祝宴が始まった。
騒がしい神殿を抜けた未悠は、夜の砂漠に伸びる真っ白な細い道を見た。
その先には、砂埃に霞む街。
そして、その上には、これまた霞む丸く白い月が見える。
「戻ったら、式をしようか」
ふいに、そんな声が後ろから聞こえてきた。
アドルフが立っている。
「此処まで来たことは間違いではなかったな。
お前と兄妹でないことがわかった。
これでなんの障害もない」
と言うアドルフを、
「いや……そうですかね?
私は、貴方の先祖の血を引いていたわけですよ。
ひいひいひいひいひいおばあちゃん的な感じなんですけど。
それでも、オッケーですか?」
と言って、未悠は見上げる。
「妹でも構わないと思ったんだ。
婆さんでも構わない」
と嬉しいんだか、嬉しくないんだかわからないことを言ったアドルフは、後ろから未悠の顎に触れてきた。
上を向かせ、そっと口づけてくる。
だが、アドルフの表情は冴えなかった。
「どうしたんですか?」
と訊いてみたのだが、
「……いや。
なんでもない」
とごまかされる。
アドルフは、ただ強く、後ろから抱きしめてきた。
「お前が何者でも、何処の世界から来たのでも、年をごまかしていても関係ない。
産まれてきてから今まで、俺が心を動したのは、お前だけだから」
……安心するな、と未悠は目を閉じる。
安心するな、アドフル様の腕の中は。
どきどきもするけど、と見上げたアドルフの表情は、自分とは対照的に真っ青だった。
……本当に隠し事のできない人だ。
「なにがあったんですか?
巫女様とお話されていたようですが」
と未悠は訊いてみる。
「同席していたお母さんたちが、まあ、可哀想にーって言ってたみたいなんですけど」
と言うと、アドルフは何故か、
「……霊だから抹殺できないが、あの二人は余計なことを言わないよう、なんとか黙らせないとな」
と呟いていた。
一体、なにが……と苦笑いしながらも、未悠は、逃すまいとするかのように、強く抱きしめてくるアドルフの腕の中に居た。
あの姉妹を黙らせたところで、なんの解決にもならないか……とアドルフは思っていた。
大神殿で、自分と未悠の未来を見てもらったのだ。
今までいろいろありすぎたから、ちょっと不安で――。
だが、見るのではなかった。
ピンクの可愛らしい花の咲き乱れる森の中、未悠がグレーのスーツを着た男と抱き合っている未来が見えたのだ。
「未悠……」
「はい」
「俺は未来は望めば変えられるものだと思う。
お前が好きだ。
城に戻ったら、すぐに結婚しよう。
生涯ただ一人、お前だけが俺の花嫁だ」
……はい、と頷き、未悠は笑ってくれた。
だが、未悠が城に戻ることはなかった。
途中、通ったあの花畑の近くで、
「そうだ。
大神殿の石買うの忘れてま……」
と言い終わらないうちに未悠の姿は消えていた。
駿の姿もなく、あとにはただ、未悠が乗っていた馬だけが残された。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
【完結】異世界転移した私、なぜか全員に溺愛されています!?
きゅちゃん
恋愛
残業続きのOL・佐藤美月(22歳)が突然異世界アルカディア王国に転移。彼女が持つ稀少な「癒しの魔力」により「聖女」として迎えられる。優しく知的な宮廷魔術師アルト、粗野だが誠実な護衛騎士カイル、クールな王子レオン、最初は敵視する女騎士エリアらが、美月の純粋さと癒しの力に次々と心を奪われていく。王国の危機を救いながら、美月は想像を絶する溺愛を受けることに。果たして美月は元の世界に帰るのか、それとも新たな愛を見つけるのか――。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。
木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。
時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。
「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」
「ほう?」
これは、ルリアと義理の家族の物語。
※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。
※同じ話を別視点でしている場合があります。
前世で孵した竜の卵~幼竜が竜王になって迎えに来ました~
高遠すばる
恋愛
エリナには前世の記憶がある。
先代竜王の「仮の伴侶」であり、人間貴族であった「エリスティナ」の記憶。
先代竜王に真の番が現れてからは虐げられる日々、その末に追放され、非業の死を遂げたエリスティナ。
普通の平民に生まれ変わったエリスティナ、改めエリナは強く心に決めている。
「もう二度と、竜種とかかわらないで生きていこう!」
たったひとつ、心残りは前世で捨てられていた卵から孵ったはちみつ色の髪をした竜種の雛のこと。クリスと名付け、かわいがっていたその少年のことだけが忘れられない。
そんなある日、エリナのもとへ、今代竜王の遣いがやってくる。
はちみつ色の髪をした竜王曰く。
「あなたが、僕の運命の番だからです。エリナ。愛しいひと」
番なんてもうこりごり、そんなエリナとエリナを一身に愛する竜王のラブロマンス・ファンタジー!
【完結】身分を隠して恋文相談屋をしていたら、子犬系騎士様が毎日通ってくるんですが?
エス
恋愛
前世で日本の文房具好き書店員だった記憶を持つ伯爵令嬢ミリアンヌは、父との約束で、絶対に身分を明かさないことを条件に、変装してオリジナル文具を扱うお店《ことのは堂》を開店することに。
文具の販売はもちろん、手紙の代筆や添削を通して、ささやかながら誰かの想いを届ける手助けをしていた。
そんなある日、イケメン騎士レイが突然来店し、ミリアンヌにいきなり愛の告白!? 聞けば、以前ミリアンヌが代筆したラブレターに感動し、本当の筆者である彼女を探して、告白しに来たのだとか。
もちろんキッパリ断りましたが、それ以来、彼は毎日ミリアンヌ宛ての恋文を抱えてやって来るようになりまして。
「あなた宛の恋文の、添削お願いします!」
......って言われましても、ねぇ?
レイの一途なアプローチに振り回されつつも、大好きな文房具に囲まれ、店主としての仕事を楽しむ日々。
お客様の相談にのったり、前世の知識を活かして、この世界にはない文房具を開発したり。
気づけば店は、騎士達から、果ては王城の使者までが買いに来る人気店に。お願いだから、身バレだけは勘弁してほしい!!
しかしついに、ミリアンヌの正体を知る者が、店にやって来て......!?
恋文から始まる、秘密だらけの恋とお仕事。果たしてその結末は!?
※ほかサイトで投稿していたものを、少し修正して投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる