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容疑者マグマと第二の殺人
似非探偵の女子大生
しおりを挟む「ということは、犯人は、島に伝わる、いにしえからの決まり事を守ろうとした、信心深い島民である可能性が高いですよね」
ちょうど警察に呼ばれて現場を訪れたらしい、開通イベントのところに居たじいさんたちと役所の人間、それから、その場に居た警官の数人が、衝撃を受けたような顔で茉守を見た。
全員、信心深い島民なのだろう。
「わ、わしじゃあないぞ、嬢ちゃん。
わし、マグマにあんたを案内してあげろと言ったろう。
こんな親切な老人が人を殺すと思うかねっ。
幾らあの気に食わない署長でもっ」
とじいさんの一人が訴えてくる。
「あなたではないと思いますよ。
死体運ぶの、結構力いりますし。
親切そうな良い方ですもんね」
そう茉守が言うと、そうかね、よかった、と老人は安堵して去った。
それを見た役所の若い男が慌てて、やってくる。
「私も、あなたが橋を渡ってきたとき、親切にしましたよねっ。
その地図をお渡しして説明したりしてっ」
茉守は白地図を手に小首を傾げる。
「……確かにいただきましたが。
親切に説明してくださったのは、女性のかたでしたよ」
離れた場所に居たあのときの女性職員が、ホッとした顔をし、目の前の男性職員が青ざめる。
「そんなっ。
あなたが渡るとき、旗振って歓待したじゃないですかっ。
私だって、親切ですよっ」
それに、私にはアリバイがありますっ、と男は主張しはじめる。
「殺害現場が何処で、犯行時刻がいつなのかも知りませんが。
犯人じゃないんで、きっとありますっ!」
「待て」
とマグマがその騒動を止めた。
「なんでこいつが犯人かどうか決めるみたいになってる……」
じいさんが、
「いやあ、信心深い島民が犯人だとこの嬢ちゃんが言うから、わしら老人が疑われるかと」
と笑い、男性職員が、
「だって、この人、なんだかわからない迫力があるから、つい」
と苦笑いする。
「似非探偵みたいな女子大生の戯言に惑わされるなよ」
と言うマグマの後ろを通り過ぎながら、さっきの刑事が言った。
「そこの刑事ですらない、坊主の発言にも惑わされるなよー」
と。
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