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白地図と最後の事件
真相
しおりを挟む「あのー、もしかして、かき氷屋さんを殺そうとしてるんですか?」
そう茉守が訊くと、男は、ギョッとする。
「私、最初、かき氷屋さんがあの女の人殺したのかなって思ったんですけど、違ったみたいなんですよね。
あなたですよね、役所の人」
と茉守は、最初に島に渡ったとき、あの白地図などをくれた役所の男にそう言った。
「……何故、私だと?
ああ、いや、違いますが」
と明らかに動揺して男は言う。
「犯人があなただなんて知りませんでしたが。
かき氷屋さんが誰かに狙われているのは知っていました」
それも、橋の女の人を殺した犯人に――。
そう茉守は言った。
「あの女の人がずっとかき氷屋さんについて歩いてたんですよね~」
倖田と観光客の女性たちの写真を撮ろうとしたとき。
このまま自分が撮ったら、かき氷屋の後ろの霊まで写ってしまうと気がついた。
それで、自分の代わりに撮ってくれとかき氷屋に頼んだのだ。
それなら、彼の背後に憑いているあの女性の霊が写り込むことは、まずないだろうから。
だが、霊がかき氷屋に向かって移動するのが間に合わず。
結局、写り込んでしまったようだった。
ちなみに、マグマたちに頼まなかったのは、お堂の上までフレームに入れようとすると、売店の店舗の一部が写ってしまい、そこに居る女の霊も入り込んでしまいそうだったからだ。
特にニートだと、はっきり写る可能性があった。
だから、彼女を憑けているかき氷屋自身に頼んだのだ。
「なんでそこまでして、彼女を写らないようにしたんですか。
あの男の後ろを憑いて歩いているのが写っていたら、あいつが犯人だとみんな思ったかもしれないのに」
「いやあ、犯人なら、自分で自首して欲しかったので」
でも、気がついたんです、と茉守は言った。
「殺意も恨みもあの女性から感じないなって。
どうも、あの被害者の女性、かき氷屋さんの後をつけてたのは、
『気をつけて』
って言ってたからみたいなんですよ。
彼を心配して、ずっと後をついて歩いていたようなんです」
その言葉に、男は眉をひそめた。
「なんで死んでまで、別の男の後をついて歩くんですかね?」
「……いや、あなたがかき氷屋さんを殺しそうだったからでしょう?
なんでかき氷屋さんを殺そうとしたんですか」
「見られていたからですよ、毒薬の瓶を手にしていた私の姿を」
と男は言う。
「私、早朝、山歩きをするのが趣味でして。
登山コースを上がっているとき、上から小瓶が落ちてきたんです。
割れたら困るなと思って、拾いました。
散歩中見つけたゴミは拾うことにしてるので」
男は、そんな感心なことを言う。
「そのまままっすぐな道を上がっていくと、山頂付近で知らない中年の男がなにを探すようにウロウロしていました。
この島に来てからは、通りすがった人にも挨拶するのが習慣になっていたので、
『おはようございます』
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後になって気がつきました。
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