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疾走する霊
常に一言多いんだよな
しおりを挟む「七月ちゃん! どうしたの!?」
部署ごとに、ばらばらとやってきた警察の人間の中に、隆彦も居た。
「どうしたのって、死体を見つけたの」
と七月が言うと、
「さっきまで、見つけてなかったじゃない!」
と動転しているのか、隆彦は訳のわからないことを言う。
「あっ、もしかして、友達が言ってたっていう変な占い、このことじゃないのっ?」
「このこと?」
「七月ちゃんが死体を見つけたことだよ。
それで、きっと犯人に狙われるんだ」
「待って。
もう通報したし。
なんで死体を見つけただけで狙われると思うの?」
確かに此処で昨日、挙動不審だった(?)影を見てはいる。
だが、あれと事件が関係あるかはまだわからない。
どのみち隆彦は、そんなことは知らないはずなのだが。
心配性の隆彦の妄想は、妙なところに飛んでいったわりには当たっているな、と七月は思った。
「この死体の女――」
警察に作り話をする係だった槻田が、ようやく解放されたのか、側に来て、ぽそりと言った。
「足が速いかもしれないぞ」
「え。
そうですか?
僕、まだよく見てないんですけど」
と槻田を見上げて、隆彦が言う。
「貴方も陸上やってらしたんですか?」
筋肉を見てわかったのかと隆彦は問う。
「……少しな」
と槻田は答えた。
バスケじゃなかったのか?
と思っていると、
「でも、なにがあるかわからないから。
七月ちゃん、気をつけてね」
と隆彦が言ってきた。
なんだか何度も彼から気をつけてと言われているような気がするのだが。
心配性の隆彦の口癖なのか。
自分が如何にも、危なっかしい感じだからか。
「そういえば、危ない人たちに付きつきまとわれてるから撒かなきゃって言ってたけど」
大丈夫なの? と隆彦に問われ、無言で背後の三橋たちを指差す。
「こいつらがっ?」
「ああいや、危ない人じゃなくて、隆ちゃんたちと一緒で、心配性の人たち」
「――たち?」
自分に付けられた複数形に疑問を抱き、隆彦が訊き返してきた。
「善章叔父様と一緒でね」
「あ~、僕まだご挨拶に行ってないや、忙しくて」
「いいんじゃない?
叔父様も忙しそうだから」
善章もまた、忙しい最中、中元の海老を口実に姪の様子をはるばる見に来るくらいの心配性だ。
そこで上司に呼ばれた隆彦は、槻田と、怪しくないと認定された三橋たちに頭を下げ、駆け出していった。
七月は槻田を振り向いて訊く。
「なんで、殺された女性の足が速いとわかったの?」
突っ込まれていたあの状態では、脚をマジマジと見ることなど出来なかったはずだが……と思っていると、槻田は、
「霊の逃げ足が速かったからだ」
と言う。
「……霊だから消えただけじゃないの?」
「いや、速かった」
と槻田は主張する。
「昔の――
生きてるときの癖は出るもんだ。
お前が霊になっても、きっと速くない」
なにやら、常に一言多いんだよな~と思いながら、七月は槻田を見上げた。
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