4 / 15
それ、事件じゃないんですかっ!?
恐ろしい人だ、先生……
しおりを挟む今日は、運良くなんだか、悪くなんだか、父、寛太も休みの日なので、応援に来ていた。
小学生のときならともかく、高校生にもなって、特に足も速くもないのに、父親にまで応援に来てもらうのは、ちょっと恥ずかしい気もするのだが……。
そして、若手の刑事、小笠原も休みだったらしく、暇なのか、一緒に来ていた。
うーむ。
小笠原さんひとりが来てたら、これはこれで、女子に、かわいー、とか言われそうなキャラなんだが。
なにせ、先生が目立ちすぎてるからな……、
といつも女の子たちにちやほやされすぎていて、特になにも感じていないらしい桂を見た。
「どんどん食べてくださいね、先生」
風の気持ちいい木陰のタープテントで、母、路代がいそいそと桂に料理をとってやっている。
いや、走ったり、騎馬戦で馬になったりしている娘には……?
と思ったとき、ほら、と桂が夏巳に割り箸をくれた。
そのとき、
「先生、この間はお世話になりました」
と通りかかった平川がテントを覗く。
なったか?
とミートボールを食べながら、夏巳は思っていた。
チン、で出来上がる冷凍食品のだが、安定の美味しさだ。
桂に真正面から見つめられて話す平川は何故か、少し頬を赤らめている。
……純朴な男子高校生だけでなく、いい年したおじさんまで。
恐ろしい人だ、先生。
探偵としては、犯人から見て、なにも恐ろしくない人なんだが、と思っている間に、昼休憩は終わった。
よし、行ってくるか、と夏巳がすでに砂まみれな靴を履いていると、一緒に外に出た桂が、
「夏巳、頑張れよ」
と爽やかに言ってくる。
うーむ。
これで怪しい探偵でさえなかったら……。
いやいや、探偵でなくなったら、この人が此処に居る理由がなくなってしまうのだが、
と思いながら、夏巳が赤いハチマキを締めなおしていると、グラウンドの方を見ていた桂が、
「先生って、なんか先生ってわかるよなー。
道や呑み屋で会っても」
と言い出す。
暑い中、ジョウロで水を撒いたりしてくれている先生たちを見ながら夏巳も言った。
「あ、そうですよねー。
なんでだろうな。
先生っぽい雰囲気が出てるからですかね?
あと……、服装?」
休日だと、わからないかもしれないが。
学校帰りの服装だと、書店などで会っても、あ、この人、先生だな、となんとなくわかるときがある。
なんでだろうなと夏巳が考えている間に、桂は体育祭のグラウンドをぐるりと見回し、
「じゃあ、事件探してくる」
と無茶を言って、去っていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
七竈 ~ふたたび、春~
菱沼あゆ
ホラー
変遷していく呪いに終わりのときは来るのだろうか――?
突然、英嗣の母親に、蔵を整理するから来いと呼び出されたり、相変わらず騒がしい毎日を送っていた七月だが。
ある日、若き市長の要請で、呪いの七竃が切り倒されることになる。
七竃が消えれば、呪いは消えるのか?
何故、急に七竃が切られることになったのか。
市長の意図を探ろうとする七月たちだが――。
学園ホラー&ミステリー
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
隣人意識調査の結果について
三嶋トウカ
ホラー
「隣人意識調査を行います。ご協力お願いいたします」
隣人意識調査の結果が出ましたので、担当者はご確認ください。
一部、確認の必要な点がございます。
今後も引き続き、調査をお願いいたします。
伊佐鷺裏市役所 防犯推進課
※
・モキュメンタリー調を意識しています。
書体や口調が話によって異なる場合があります。
・この話は、別サイトでも公開しています。
※
【更新について】
既に完結済みのお話を、
・投稿初日は5話
・翌日から一週間毎日1話
・その後は二日に一回1話
の更新予定で進めていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる