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一年生・春の章

毒りんご?にご注意④★

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「……ダメだ、俺の頭が、どんどん君を襲うことしか考えられなくなってきてる」


 僅かに残る理性を頼りに声を振り絞り、フィンを見上げて腰を動かすリヒト。


「乱暴にはしたくないのに、頭の中では、君を蹂躙することしか考えられない。脳内の君は俺に犯されてぐちゃぐちゃだ」


 フィンはお尻に当たる硬い感触に悶えながら、リヒトの言葉に羞恥を感じギュッと目を瞑る。


「リヒト、僕だいじょーぶだよ……」


 それでもフィンは、うっすらと目を開けリヒトを安心させるように小さく笑い優しく見つめた。
 リヒトはそんなフィンの優しさを愛おしいと思いながらも、支配したいという欲に駆られる。


「(思ったよりもすごい効き目だ。頭の中が沸騰してる)」


 リヒトは理性を保とうと眉を顰め、自分の下唇を噛む。フィンは目を見開き顔を近付けた。


「リヒト、かんじゃだめ……だめ」


 フィンは慌ててリヒトの顔を両手で包むと、子供に言い聞かせるように小さく注意し、はむっとリヒトの唇を優しく啄んだ。リヒトは目を見開き、フィンの唇をすぐに受け入れて抱き締める。


「(好きだ……可愛い、可愛い、天使……犯したい……俺だけのものにしたい、壊したい、俺しか考えられないようにしたい)」


 リヒトは落ち着くどころか、リビドリアの作用で余計に欲情が強まるばかり。身体は余計に熱を持ち、相手を犯すことしか考えられなくなっていく。
 目を潤ませ、はっ、はっ、と苦しそうに呼吸をするリヒトを目の当たりにしたフィンは、泣きそうな顔でリヒトの手を取ると自身の頬に当て、すりすりと優しく擦り付けながら愛おしそうにリヒトを見下ろした。


「リヒト、僕のことすきにしていいよ……?ごめんね、ごめんね、苦しいよね」


 フィンはリヒトの手に優しくキスすると、ふにゃっと柔らかく笑う。


「っ…………!」



 リヒトはフィンの言葉を皮切りに、瞳の色を変えた。


「フィン……なぜ君はそんなに可愛い。俺をこんなにも虜にするなんて、ずるい子だよ」


 澄んだ碧眼の奥に潜む獣の本性。
 普段フィンに対して抱く、激しい支配欲を全面に出すような瞳でフィンを見ると、力任せに押し倒した。


「ぁっ……!」


 リヒトは狼狽えるフィンの両手首を掴み、ググッと体重をかけ動けないようにする。


「ぅぅ……」


 少し痛いのか、フィンは目をぎゅっと瞑り耐え、肉食獣に食べられそうな小動物のように震えた。
 いつもとは違い、乱暴にベッドに押さえ付けられるフィン。この時、リヒトが普段どれだけ力を加減していたかを知る。


「(リヒト、こんなに力あったんだ……)」


 リヒトは息を荒げたまま、何も言わず真顔でフィンの寝間着を脱がそうとボタンに手を這わすも、熱でうまく手元が動かず、そのまま両手で左右に引き裂いた。


「ゃっ……!」


 ボタンがあちこちに弾け飛び、フィンの上半身がリヒトに晒される。
 リヒトは再びフィンの手を強く押さえつけると、首元に顔を埋め舌を這わせ、少し強めに首を噛んだ。


「きゃぅ……」


 フィンは小さく悲鳴を出すも、リヒトはその声にさらに興奮し、次は控えめに尖る耳を舐め上げて噛み付く。


「う、うぅ!」


 フィンは足をビクッと震わせ目を見開き、刺すような痛みに耐えていると、気付けば口端から唾液が垂れていた。


「はっ……はっ……」


 リヒトは首から口を離すと、フィンの胸の突起に目を映しすぐに歯を立てる。


「ひっ……」


 全身をビクッと震わせ反射的に体を反らして逃げようとするフィン。
 リヒトは容赦せず、再度体を押さえ付けて息を荒げる。


「フィン、フィン……」


 次は強く舌をグリグリと押し付けて突起を押し潰し、強く吸い付いてパッと口を離した。


「きゃあっ……」


 フィンは、切ない悲鳴を上げながら、リヒトの激しい愛撫を受け入れ全身を震わせる。この状況でも既に自分が興奮し、勃起していることに気付いていた。


「(僕、興奮してるんだ……)」


 フィンは潤んだ視界に映るリヒトを見る。


「フィン……君は全部俺のものだ……」


 リヒトは、低い声で小さく呟き、必死に愛を貪るようにフィンを求める悲痛な表情を浮かべる。本当はもっと優しくしたいと葛藤しつつ、抗えない欲望の波に飲まれているリヒトの姿を見ても、フィンは美しいと思った。


「リヒトもぼくのものだよ……」


 痛くても、激しくても、フィンは何一つ嫌だとは思わず、むしろ嬉しいと思っている自分に気付いた時、自分は相当リヒトを愛しているのだと実感する。
 フィンは目に涙を溜めつつ、少し大人びた表情でリヒトを見つめ強く握られる手首の痛さに顔を歪めることもなかった。
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