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一年生・秋の章<それぞれの一週間>
うぉーあいにー⑬
しおりを挟む「今日はありがとうございました。貴方を残して帰るのが嫌なので、本当は僕が送りたかったのですけど……」
寂しそうなフォンゼルを見て、切なげに笑うシャオラン。そっと頬に触れて優しくすりすりと撫でる。
「それはええて。昨日来てくれたんやし、ボクの番や」
フォンゼルはシャオランの鼻をちょんちょんと撫でて笑う。
「…………(帰りたくない、な)」
「…………(帰りたくないなぁ)」
二人は名残惜しい気持ちを表情に表しながらも、何も言わずに見つめ合う。お互いの顔を見て多幸感でいっぱいになった二人だが、突然冷たい風が吹きフォンゼルは震えた。
「(もう冬が近いんやなぁ。陽が落ちるとグッと冷える)」
フォンゼルは少しだけ離れて相手を見上げた。
「あんまりこうしてると帰りたくなくなるから、ボクもう行く。シャオくんも風邪ひかんよーに、はよ戻って」
「っあ……フォンゼ」
シャオランが手を出し引き止めようとするが、フォンゼルは背を見せて歩き出す。
「ほな、またね!次はちゃんとお手紙返事してや?」
フォンゼルは顔だけ振り向くと、そう言って笑い杖を取り出そうとした。しかし、シャオランは反射的に後ろからフォンゼルの手首を掴んでそれを止めてしまう。
「……へ?」
フォンゼルは驚きで目を見開く。シャオランも自分の行動に驚いていたが、相手の冷えた体を感じると意を決したように口を開いた。
「あの……少し。もう少しだけ一緒にいませんか?僕の部屋に来てください」
顔を赤くし目を逸らしながら必死にそうお願いするシャオランに、フォンゼルもつられて顔を赤くする。
「ええけど……でも、少しだけでええの……?」
フォンゼルは俯きながらそう問いかけると、シャオランは胸を高鳴らせ一気に目の色を変えた。
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「へー、結構広いやん!高級ホテルみたいやね?」
スレクトゥ寮の最上階にあるシャオランの部屋に入ったフォンゼルは、入った瞬間に目を見開き驚きを示す。
「僕も来た時には驚きました。私は一応グンロンの貴族の子息ということで客人扱いなので、恐縮ですが一番良いグレードの部屋なんです。
食事を摂るダイニングスペースや団欒室、稽古場などは共有ですが、シャワーとかは全部自分の部屋にあるので、下手すれば一日中この部屋にいます。ルームサービスのようなものもあって、片付けもしてもらえるんです」
三大魔法学院の中で唯一寮があるスレクトゥ騎士団養成学院。その施設は洗練されており、正直外に出なくても不自由のない生活を送れる。それもあってか、シャオランは今日のデートが初めての散策だった。
「そうなんや、寮って案外快適なんやねー」
「そうですね。でも一応このフロアは何人か生徒が住んでますので……」
シャオランはそう言ってフォンゼルを見下ろし続ける。
「今日はあまり大きい声は出さないでくださいね?」
「っ!?」
フォンゼルは一気に顔を赤くするも、シャオランの服を掴んで強引にキスする。
「シャオくん、随分と生意気になったやんか」
唇を離したフォンゼルが悔しそうに顔を赤らめたままそう嘆くと、シャオランは軽く笑って目を細める。
「僕は至って真面目ですよ。イデアルの不良さん」
シャオランはフォンゼルを追い詰めるように近づいて行くと、フォンゼルはいつの間にかベッドに引っかかりそのままぼふっと沈み込んでしまい苦笑する。
「不良ちゃうもん。たまにサボってるだけやで?」
「僕が風紀委員なら真っ先に指導します」
シャオランはそのままフォンゼルを押し倒すように覆い被さり舌なめずりをして見下ろした。
「指導ってえろい。セックスで叱ってくれるん?」
フォンゼルはクスクス笑ってそう返すと、シャオランはニィッと笑みを浮かべ結んだおさげを解き鎖骨まである髪をスルリと垂らして色っぽい雰囲気を放つ。
「そうですね。言うこと聞くまで何度も」
フォンゼルは急に変わった雰囲気に息を飲んで心臓をバクバクと鳴らした。
「おーこわっ」
緊張していることに気付かれないようあしらうように返すフォンゼル。
「また今日も、無理矢理一番奥を突いて空イキさせましょうか。まだ狭いからたくさん開発しないと」
シャオランはにかーっと朗らかな表情とは裏腹にそんなセリフを吐き捨ててフォンゼルの服に手をかけて器用に脱がせ始めた。
「一番奥はあかんよ!ほんまに変になるんやで?ずっとイってるみたいにおかしくなるんやから」
フォンゼルはぶんぶんと首を振って目を細め悔しそうに下唇を噛んだが、その表情に興奮したシャオランにその後結局好きなように犯される夜を迎えるのであった。
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~次の日の朝~
「これ、お手紙です。いっぱい貰ってたのに何も返さないのは、と思ったんですが」
別れ際、フォンゼルに一通の手紙を渡すフォンゼル。
「ええぇ、いつの間に書いたん!?ありがとう!」
フォンゼルはその手紙を嬉しそうに受け取ると早速中身を確認した。
一枚の紙の真ん中に、“我爱你”と書かれたシンプルな手紙。
「これ、グンロンの文字?なんて読むん?」
フォンゼルは首を傾げる。
「恥ずかしいので、次会った時に教えます」
「えー」
「ふふ。それでは、気を付けて帰ってくださいね」
「うん、またねシャオくん」
フォンゼルはそう言って箒に跨ると、少しずつ浮遊して手を大きく振ってからシャオランに背を向けて飛ぶ。
それを見送ったシャオランだったが、フォンゼルは少し飛んでから一度止まって振り返る。
「シャオくーん!」
「?はーい」
少し遠くにいたフォンゼルに大声で返事をしたシャオラン。
「ボクもー、うぉー、あい、にー!!!!」
フォンゼルはそう言って満面の笑みを浮かべてから飛び去り、シャオランは目を見開き固まったままそれを見送る。
「知ってたんですね……読み方も意味も」
“貴方を愛している”というグンロンの母国語。
フォンゼルは知らないフリをして、最後に驚かせて帰っていった。
「……はぁ」
残されたシャオランは顔を赤くして「やられた」と言うも、その表情は幸せに満ちていたのであった。
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