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本当のこと 2
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彼女の顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃで普段の美少女っぷりが台無しだ。
「お姉ちゃん」
と声をかける冬木を見上げる環奈の手が木の根からはずれそうになった時、崖の先に突き出していた木の幹に左手でしがみついた冬木が身を乗り出して右手を伸ばした。
冬木の腕に環奈が両手でしがみついたのは奇跡的だった。
自分がしてしまったことに茫然自失となっていた洸夜が慌てて環奈の重みで一緒に落ちていきそうになる冬木の体にしがみつく。
「冬木!」
「こうやお兄ちゃん……」
無理な体勢で、うまく力が入らない。
洸夜は目の前が真っ暗になるのを感じた。
(……だめだ。このままじゃ三人とも落ちてしまう)
「洸夜にーちゃん!」
もう一度冬木に呼ばれてハッとなる。
こんな時なのに冬木は言いつけを守って、自分の呼び方を〈こうや君〉から〈洸夜にーちゃん〉に変えているのが(律儀なやつだなぁ……)と妙におかしい。
このまま死ぬかも……チラッとそんな考えが頭をよぎった時、
「助けを呼んで。早く!」
と、冬木が叫んだ。
「えっ」
洸夜が口ごもってしまったのは、彼がこれまで他人に助けてもらう経験があまりになく〈助けを呼ぶ〉ことを躊躇してしまったせいだった。
いつも優秀で正しかった洸夜は助けることはあっても、助けを求めた経験が皆無だったから……。
こんな時なのにためらってしまう心の動きは、自分でもなんともしようがない。
プライドが邪魔をしたと言うより、やり慣れていないことへの嫌悪感というべきものだったかと洸夜は後になって振り返ったものだ。
「洸夜にーちゃん、助けを呼んで。死んじゃう。死にたくない!」
普段の無表情をかなぐり捨てて叫ぶ冬木に、気を取り直した洸夜が必死の声で「助けて!」と大声を出した。冬木も環奈も「助けて」を連呼する。
その叫びに気づいた他の生徒が教師を呼びにゆく。驚いた教師たちが血相変えて駆けつけて、三人は無事助けられた。
このことによって、洸夜は初めて人に頼るという経験をし、冬木は五年一の美少女である環奈のことを助けたとヒーロー扱いを受ける。一方、環奈は自分から崖下に落ちたものの、そのきっかけを作った洸夜に怒り心頭だった。洸夜は環奈を突き飛ばしてしまったことを土下座して謝ったが、彼と環奈の小学生カップルはその場で破局した。
「お姉ちゃん」
と声をかける冬木を見上げる環奈の手が木の根からはずれそうになった時、崖の先に突き出していた木の幹に左手でしがみついた冬木が身を乗り出して右手を伸ばした。
冬木の腕に環奈が両手でしがみついたのは奇跡的だった。
自分がしてしまったことに茫然自失となっていた洸夜が慌てて環奈の重みで一緒に落ちていきそうになる冬木の体にしがみつく。
「冬木!」
「こうやお兄ちゃん……」
無理な体勢で、うまく力が入らない。
洸夜は目の前が真っ暗になるのを感じた。
(……だめだ。このままじゃ三人とも落ちてしまう)
「洸夜にーちゃん!」
もう一度冬木に呼ばれてハッとなる。
こんな時なのに冬木は言いつけを守って、自分の呼び方を〈こうや君〉から〈洸夜にーちゃん〉に変えているのが(律儀なやつだなぁ……)と妙におかしい。
このまま死ぬかも……チラッとそんな考えが頭をよぎった時、
「助けを呼んで。早く!」
と、冬木が叫んだ。
「えっ」
洸夜が口ごもってしまったのは、彼がこれまで他人に助けてもらう経験があまりになく〈助けを呼ぶ〉ことを躊躇してしまったせいだった。
いつも優秀で正しかった洸夜は助けることはあっても、助けを求めた経験が皆無だったから……。
こんな時なのにためらってしまう心の動きは、自分でもなんともしようがない。
プライドが邪魔をしたと言うより、やり慣れていないことへの嫌悪感というべきものだったかと洸夜は後になって振り返ったものだ。
「洸夜にーちゃん、助けを呼んで。死んじゃう。死にたくない!」
普段の無表情をかなぐり捨てて叫ぶ冬木に、気を取り直した洸夜が必死の声で「助けて!」と大声を出した。冬木も環奈も「助けて」を連呼する。
その叫びに気づいた他の生徒が教師を呼びにゆく。驚いた教師たちが血相変えて駆けつけて、三人は無事助けられた。
このことによって、洸夜は初めて人に頼るという経験をし、冬木は五年一の美少女である環奈のことを助けたとヒーロー扱いを受ける。一方、環奈は自分から崖下に落ちたものの、そのきっかけを作った洸夜に怒り心頭だった。洸夜は環奈を突き飛ばしてしまったことを土下座して謝ったが、彼と環奈の小学生カップルはその場で破局した。
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