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しおりを挟むジュードは満面の笑みで私と会った。
「クラン先輩 お会いできて光栄です!!私はジュードと申します。少し前まで第二騎士団に所属しておりましたが、クラン先輩に憧れに憧れて魔術師になろうと心に決め試験を受けました。実習で先輩が担当になったと知らされた昨日は大喜びでまさかと自分のほっぺをツネってみたら痛かったです。今日を楽しみにし過ぎてドキドキワクワクがとまらず、眠れない夜を過ごしましたが大丈夫です。一周回って頭が冴え渡っていますし、クラン先輩を前にして…」
「ちょっちょっと待って待って、ジュード君落ち着いて」
「はいクラン先輩 私は至って落ち着いておりますし、冷静です」
「ジュード君ってこんなにお喋りな人だったんだね。私の名前は知っているみたいだけど一応自己紹介するわね。クランです。上級魔術師になって3年が経ちました。ジュード君がもし副団長のままだったら私の方が敬語を使わなくちゃいけないのにごめんね。えっと、ジュード君の歳は…」
「私は25歳です。クラン先輩は16歳で下級魔術師に、17歳で中級そして19歳で上級魔術師になられ3年が経ちましたので22歳、私の3つ年下に当たります。
歳も丁度いいと思います。」
「あっえっ!丁度いい?殆ど年齢が変わらないのに副団長だったなんて凄いのね…それにしてもやけに私の事詳しいのね…」
「ファンですから…ブロマイド写真も何枚も持ち歩いて大切にしています。できれば今、私の眼球がカメラでしたらこの様なシャッターチャンスに恵まれ何千枚も撮れたのにと、悔しい気持ちでいっぱいになっており…」
「ジュード君、落ち着いて!」
「はい クラン先輩 落ち着いています。むしろクラン先輩はいつもより脈が早いように見受けられますね」
「クッ」
困ったわ……ジュード君は私にはやりにくい相手みたい……そしてやたらグイグイ私に絡んでくるわ……
チラっと木陰の向こう側でステラ姐さんも後輩と挨拶しているのが見えた。
ああ……ステラ姐さんのあの顔は「この子可愛いわぁ」って顔しているわ……ステラ姐さんの希望通り育てがいがありそうな子に当たったみたいでちょっと羨ましい。
「クラン先輩?何処見てるんですか?ああ…ステラ・マージですね……とても優秀だと聞いております。
……クラン先輩はあの様な方が好みですか……?」
「えっ?ああそうね……とても尊敬しているのよ。それに普段からお世話になっているんだよね」
「何だとっ普段からお世話だとっ!……っと失礼しました。何でもございません。私もクラン先輩にこれからお世話して頂けると思ったら胸の高鳴りが止まりません。何でも申し付け下さい。どんな事でも致します。」
「ええっ?ジュード君は私にそんなにお世話にならなくても大丈夫だと思っているのよ。正直私より魔術師の実力も上かも知れないしね!」
「何を言っているのですか?実習をクラン先輩は疎かにするつもりなんですか?それは先輩魔術師としてあってはならないと思います」
「ジュード君、向上心が高くて素晴らしいわよ。勿論しっかり指導もさせて貰うね。明日から実践実習が始まるから頑張ろうね」
「はい宜しくお願いします」
「此方こそ宜しくね」
こうしてジュードと私はご挨拶代わりにどんな食べ物が好きか?などとたわいもない事から、魔術の得意な技を見せあったりと仲を深め合った。
それからと言うもの、ジュードはやりにくい相手だと思っていたのは大きな間違いだった。
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