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学院編
70 制服
健康診断が終わると今度は制服を作るようにと義母様に言われた。
この世界の学院にも制服なんてあるんだ、とちょっと驚く。
そんなわけで今日もエミーと共に馬車に乗って出かける。
勿論、外出のタイミングはクリスのお昼寝の時間に合わせてある。
クリスに出かける所を見つかると「ぼくもいく~」と言って聞かないからね。
馬車に乗り込むと僕はすかさず黒縁メガネをかけた。
もしかしたら出かけた先でこれから学院で一緒になる人に会うかもしれないし、もしかしたらその人はエドワード王子に近しい人かもしれない。
学院に入学する前に『エドワード王子に似ている』と噂になるのは避けたかった。
「エドアルド様、眼鏡をかけられるんですか?」
僕が黒縁メガネをかけるのを見てエミーが難色を示す。
「だって、制服を作りにいくんだろう? 学院では眼鏡をかけて過ごすんだから、眼鏡をかけていた方がイメージしやすいと思わない?」
などと思いっきりこじつけな理由を述べると
「はぁ…そんなものですかねぇ?」
なんとも煮えきらない返事が返ってきた。
エミーとそんなやり取りをしているうちに馬車は一軒の洋品店の前で停まった。
この店は学院の制服をメインに製作しているそうだ。
したがってこの時期は制服以外の服は作らないらしい。
馬車を降りてエミーが開けてくれた店舗の扉を入ると「いらっしゃいませ」の声と共に一人の店員が近付いて来た。
僕の後から店内に入ったエミーが、ずいと店員と僕の間に割り込む。
「エルガーです。制服の注文をお願いします」
「エルガー様ですね。こちらにどうぞ」
店員は僕達を店の一角にあるテーブルへと案内してくれた。
三人が座れそうなゆったりとしたソファーにエミーと共に腰を下ろすと、店員はカウンターの方へ向かった。
そこにある書類ケースの蓋を開けると、ガサガサと何かを探し始めた。
やがて、その中の一枚を手に取ると、蓋を閉めてこちらへ戻ってきて僕達の真向かいに座った。
「お待たせいたしました。エドアルド様ですね。ご注文は制服一式でよろしいですね」
「はい、それでお願いします」
エミーと店員がやり取りしている間、僕は店員が持ってきた書類を眺めた。
一番上に僕の名前が書いてあり、その下に採寸する項目が書かれていた。
おそらくこの店には学院の方から入学する生徒の名簿が届いているのだろう。
と、いう事は、エドワードの書類もここにあるという事だ。
まさか、エドワードが直接この店に来たりするのかな?
まさか、採寸している最中にエドワードと鉢合わせたりしないよね。
内心そんな事を考えながらドキドキしていると
「それでは採寸に入りましょうか。エドアルド様。こちらへいらしてください」
店員が立ち上がったのに合わせて僕も立ち上がると、店の奥へと連れて行かれた。
奥には小部屋があり、そこへ入るように促された。
小部屋の中にテーブルがあり、その上には筆記用具やメジャーが置かれていた。
店員はテーブルの上に持ってきた書類を置くと、代わりにメジャーを手に取った。
「それでは採寸いたしますね。…あ、一番上の上着は脱いでいただけますか?」
僕は一番上の上着を脱ぐと、横にあったハンガーラックのハンガーにそれをかけた。
シャツとズボンという格好になると、店員はシャツの上から僕の肩幅や胸回り、腕の長さなどを測っていく。
更にズボンの上から胴回り、腰回り、ズボン丈などを測っていく。
「あの、服の上からで大丈夫なんですか?」
下着一枚になって採寸されるかと思っていたので思わず聞いてしまった。
「大丈夫ですよ。それに成長期ですからね。多少の余裕を持って作らないと、中には出来上がった時には窮屈で着られなくなる方もおられますからね」
出来上がった服が着られないって、どれだけデカくなったんだよ。
まあ、縦じゃなくて横に大きくなる場合だってあるからね。
僕もそうならないように注意しよう。
この世界の学院にも制服なんてあるんだ、とちょっと驚く。
そんなわけで今日もエミーと共に馬車に乗って出かける。
勿論、外出のタイミングはクリスのお昼寝の時間に合わせてある。
クリスに出かける所を見つかると「ぼくもいく~」と言って聞かないからね。
馬車に乗り込むと僕はすかさず黒縁メガネをかけた。
もしかしたら出かけた先でこれから学院で一緒になる人に会うかもしれないし、もしかしたらその人はエドワード王子に近しい人かもしれない。
学院に入学する前に『エドワード王子に似ている』と噂になるのは避けたかった。
「エドアルド様、眼鏡をかけられるんですか?」
僕が黒縁メガネをかけるのを見てエミーが難色を示す。
「だって、制服を作りにいくんだろう? 学院では眼鏡をかけて過ごすんだから、眼鏡をかけていた方がイメージしやすいと思わない?」
などと思いっきりこじつけな理由を述べると
「はぁ…そんなものですかねぇ?」
なんとも煮えきらない返事が返ってきた。
エミーとそんなやり取りをしているうちに馬車は一軒の洋品店の前で停まった。
この店は学院の制服をメインに製作しているそうだ。
したがってこの時期は制服以外の服は作らないらしい。
馬車を降りてエミーが開けてくれた店舗の扉を入ると「いらっしゃいませ」の声と共に一人の店員が近付いて来た。
僕の後から店内に入ったエミーが、ずいと店員と僕の間に割り込む。
「エルガーです。制服の注文をお願いします」
「エルガー様ですね。こちらにどうぞ」
店員は僕達を店の一角にあるテーブルへと案内してくれた。
三人が座れそうなゆったりとしたソファーにエミーと共に腰を下ろすと、店員はカウンターの方へ向かった。
そこにある書類ケースの蓋を開けると、ガサガサと何かを探し始めた。
やがて、その中の一枚を手に取ると、蓋を閉めてこちらへ戻ってきて僕達の真向かいに座った。
「お待たせいたしました。エドアルド様ですね。ご注文は制服一式でよろしいですね」
「はい、それでお願いします」
エミーと店員がやり取りしている間、僕は店員が持ってきた書類を眺めた。
一番上に僕の名前が書いてあり、その下に採寸する項目が書かれていた。
おそらくこの店には学院の方から入学する生徒の名簿が届いているのだろう。
と、いう事は、エドワードの書類もここにあるという事だ。
まさか、エドワードが直接この店に来たりするのかな?
まさか、採寸している最中にエドワードと鉢合わせたりしないよね。
内心そんな事を考えながらドキドキしていると
「それでは採寸に入りましょうか。エドアルド様。こちらへいらしてください」
店員が立ち上がったのに合わせて僕も立ち上がると、店の奥へと連れて行かれた。
奥には小部屋があり、そこへ入るように促された。
小部屋の中にテーブルがあり、その上には筆記用具やメジャーが置かれていた。
店員はテーブルの上に持ってきた書類を置くと、代わりにメジャーを手に取った。
「それでは採寸いたしますね。…あ、一番上の上着は脱いでいただけますか?」
僕は一番上の上着を脱ぐと、横にあったハンガーラックのハンガーにそれをかけた。
シャツとズボンという格好になると、店員はシャツの上から僕の肩幅や胸回り、腕の長さなどを測っていく。
更にズボンの上から胴回り、腰回り、ズボン丈などを測っていく。
「あの、服の上からで大丈夫なんですか?」
下着一枚になって採寸されるかと思っていたので思わず聞いてしまった。
「大丈夫ですよ。それに成長期ですからね。多少の余裕を持って作らないと、中には出来上がった時には窮屈で着られなくなる方もおられますからね」
出来上がった服が着られないって、どれだけデカくなったんだよ。
まあ、縦じゃなくて横に大きくなる場合だってあるからね。
僕もそうならないように注意しよう。
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