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学院編
73 初登校
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制服も無事に出来上がり、入学の準備は整った。
いよいよ入学式となるが、前世のように親が参列したりはしないようだ。
その事にはちょっとホッとしたような、がっかりしたような複雑な心境ではある。
そして入学式の当日の朝、僕はエミーに付き添われて学院の馬車が停まる場所へとやって来た。
スクールバスならぬスクール馬車というものがあるらしい。
もっともスクール馬車に乗って学院に通うのは子爵家と男爵家の子供だけで、伯爵家以上の子供は自分の家の馬車で通うという。
指定された場所に到着すると、既に数人の子供達が待っていた。
その中にアーサーの姿を見つけて僕は小走りで駆け寄った。
「アーサー、おはよう」
「あ、エド、おはよう」
アーサーに初めて『エド』と呼ばれて僕は軽く目を見張った。
そんな僕を見てアーサーがクスッと笑う。
「あれ? 『エド』って呼んでよかったんだよね?」
「そう言ったのは初めて会った時だよ。もう何年経っていると思っているのさ」
ちょっと口を尖らせて反論すると、アーサーは更にクスクスと笑う。
「そうだったね。学院に通うようになるからこの際、『エド』と呼ぶ事にしたんだけど、良かったかな?」
「当たり前じゃないか。むしろ遅すぎるくらいだよ」
そう言ってちょっと怒ったフリをしてみたけれど、すぐにこらえきれずに僕は吹き出してしまった。
「それにしても、眼鏡をかけるとやはり印象が変わるな」
アーサーは僕の眼鏡姿をまじまじと見て感心したように述べる。
「やっぱり違うだろう?」
「ああ。特にこの眼鏡はフレームが厚くて眼鏡が強調させるから余計に目立ってるよ」
やはり、この黒縁メガネにして正解だったようだ。
そうこうしているうちに通りの向こうから馬車がやって来た。
後ろのキャビンが大きくてかなりの人数の子供が乗れそうだ。
二人いた御者の一人が御者台から降りてきて、扉を開けてくれた。
馬車に乗り込もうとする僕をエミーが引き留める。
「エドアルド様。お帰りの時間の頃にお迎えに参ります。いってらっしゃいませ」
「わかった。じゃ、行ってくるね」
馬車の中に入ると、二~三人掛けの椅子が五列ほど並んでいた。
僕とアーサーはその内の一つの椅子に並んで腰を下ろす。
皆が乗り込むと扉が閉められ、ゆっくりと馬車が動き出した。
僕は窓から外を眺め、エミーに軽く手を振った。
馬車は街を抜けて学院がある郊外へと進んで行く。
やがて馬車は学院の門をくぐって敷地内へと入っていった。
校庭を通り過ぎ、校舎へと着くとようやく馬車が停まる。
馬車の扉が開かれ、僕とアーサーも皆に続いて馬車から降りた。
「新入生の皆さんは講堂に集まってください」
学校関係者らしき人が、馬車から降りた人達に声をかけている。
僕達も皆と一緒に講堂に向かって歩き出した。
講堂に入る手前に受付があり、爵位別に分けられていた。
「僕は向こうみたいだね」
子爵家のアーサーが少し離れた場所にある受付を指差した。
「僕はこっちみたいだね」
男爵家の僕はすぐ近くに受付があった。
「同じクラスになるかどうかはわからないけど、とりあえず帰りは一緒になるからね。じゃ、また後で」
そう言ってアーサーは子爵家の受付の方に行ってしまった。
若干の寂しさを感じながらその背中を見送った僕はフルリと頭を振って気分を切り替えた。
身分差がある事はわかりきっていたはずだ。
それに身分差があるからこそ、おいそれとエドワード王子には出会わないかもしれない。
受付に行くと職員らしき女の人が対応してくれた。
「ご入学おめでとうございます。お名前をお願いします」
「エドアルド・エルガーです」
「エドアルド・エルガー様ですね」
女の人は名簿の中から僕の名前を見つけると、空欄にチェックを入れた。
「そちらの扉からお入りください」
教えられた扉から講堂の中に入ると、そこにいた人に席へ案内された。
どうやら受付を済ませた順番に座っているようだ。
席に座って前方に目をやると、子爵家の子供が座る一画にアーサーの後ろ姿が見えた。
いよいよ入学式となるが、前世のように親が参列したりはしないようだ。
その事にはちょっとホッとしたような、がっかりしたような複雑な心境ではある。
そして入学式の当日の朝、僕はエミーに付き添われて学院の馬車が停まる場所へとやって来た。
スクールバスならぬスクール馬車というものがあるらしい。
もっともスクール馬車に乗って学院に通うのは子爵家と男爵家の子供だけで、伯爵家以上の子供は自分の家の馬車で通うという。
指定された場所に到着すると、既に数人の子供達が待っていた。
その中にアーサーの姿を見つけて僕は小走りで駆け寄った。
「アーサー、おはよう」
「あ、エド、おはよう」
アーサーに初めて『エド』と呼ばれて僕は軽く目を見張った。
そんな僕を見てアーサーがクスッと笑う。
「あれ? 『エド』って呼んでよかったんだよね?」
「そう言ったのは初めて会った時だよ。もう何年経っていると思っているのさ」
ちょっと口を尖らせて反論すると、アーサーは更にクスクスと笑う。
「そうだったね。学院に通うようになるからこの際、『エド』と呼ぶ事にしたんだけど、良かったかな?」
「当たり前じゃないか。むしろ遅すぎるくらいだよ」
そう言ってちょっと怒ったフリをしてみたけれど、すぐにこらえきれずに僕は吹き出してしまった。
「それにしても、眼鏡をかけるとやはり印象が変わるな」
アーサーは僕の眼鏡姿をまじまじと見て感心したように述べる。
「やっぱり違うだろう?」
「ああ。特にこの眼鏡はフレームが厚くて眼鏡が強調させるから余計に目立ってるよ」
やはり、この黒縁メガネにして正解だったようだ。
そうこうしているうちに通りの向こうから馬車がやって来た。
後ろのキャビンが大きくてかなりの人数の子供が乗れそうだ。
二人いた御者の一人が御者台から降りてきて、扉を開けてくれた。
馬車に乗り込もうとする僕をエミーが引き留める。
「エドアルド様。お帰りの時間の頃にお迎えに参ります。いってらっしゃいませ」
「わかった。じゃ、行ってくるね」
馬車の中に入ると、二~三人掛けの椅子が五列ほど並んでいた。
僕とアーサーはその内の一つの椅子に並んで腰を下ろす。
皆が乗り込むと扉が閉められ、ゆっくりと馬車が動き出した。
僕は窓から外を眺め、エミーに軽く手を振った。
馬車は街を抜けて学院がある郊外へと進んで行く。
やがて馬車は学院の門をくぐって敷地内へと入っていった。
校庭を通り過ぎ、校舎へと着くとようやく馬車が停まる。
馬車の扉が開かれ、僕とアーサーも皆に続いて馬車から降りた。
「新入生の皆さんは講堂に集まってください」
学校関係者らしき人が、馬車から降りた人達に声をかけている。
僕達も皆と一緒に講堂に向かって歩き出した。
講堂に入る手前に受付があり、爵位別に分けられていた。
「僕は向こうみたいだね」
子爵家のアーサーが少し離れた場所にある受付を指差した。
「僕はこっちみたいだね」
男爵家の僕はすぐ近くに受付があった。
「同じクラスになるかどうかはわからないけど、とりあえず帰りは一緒になるからね。じゃ、また後で」
そう言ってアーサーは子爵家の受付の方に行ってしまった。
若干の寂しさを感じながらその背中を見送った僕はフルリと頭を振って気分を切り替えた。
身分差がある事はわかりきっていたはずだ。
それに身分差があるからこそ、おいそれとエドワード王子には出会わないかもしれない。
受付に行くと職員らしき女の人が対応してくれた。
「ご入学おめでとうございます。お名前をお願いします」
「エドアルド・エルガーです」
「エドアルド・エルガー様ですね」
女の人は名簿の中から僕の名前を見つけると、空欄にチェックを入れた。
「そちらの扉からお入りください」
教えられた扉から講堂の中に入ると、そこにいた人に席へ案内された。
どうやら受付を済ませた順番に座っているようだ。
席に座って前方に目をやると、子爵家の子供が座る一画にアーサーの後ろ姿が見えた。
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