御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅

文字の大きさ
118 / 242
学院編

118 密談(クリフトン視点)

しおりを挟む
 翌日、登校したクリフトンが教室に入ると、いつも通りのクラスメイト達の姿がそこにあった。

(とても昨日、クラスを二分するような口論があったとは思えないな)

 だが、エドワード王子達と対立した記憶は朧気おぼろげだがしっかりとクリフトンの中に残っている。

 それなのにクラスの誰もがそんな事はなかったかのように振る舞っている。

 ブライアンも登校してくるといつもと変わらぬ顔でクリフトンに挨拶してきた。

「おはよう、クリフトン」

「あ、ああ。おはよう」

 戸惑いつつクリフトンが挨拶を返すとブライアンはそのまま自分の席に向かう。

 そんな中、エドワード王子だけは何故か戸惑ったような表情で教室に入って来た。

 すかさずブライアンがエドワード王子の元に駆け寄る。

「エドワード王子、おはようございます。…おや? どうかされましたか?」

 ブライアンの言葉が耳に入り、クリフトンは二人の会話に聞き耳をたてる。

「昨日、ちょっと険悪なムードになったじゃないか。それなのにどうして何事もなかったかのように話しているんだ?」

 エドワード王子が指さしていたのは、昨日の対立で睨み合っていた二人だ。

 エドワード王子の言葉によりクリフトンの記憶の中にもその光景が浮かび上がってくる。

(…確かにあの二人は掴み合いの喧嘩になりそうな雰囲気だったな。それなのに今朝は何事もなかったかのように笑っている)

 クリフトンはクラスメイトの二人から再びエドワード王子達に視線を戻す。

 エドワード王子に言われてブライアンは「は?」と間の抜けた声を出す。

「険悪なムード? そんな事ありましたっけ?」

 ブライアンは目をパチクリとさせている。

(どうやら、エドワード王子には昨日の口論の記憶が残っているようだ。…だとすると、誰かが意図的に昨日の記憶を消した事になる。…だが、どうしてエドワード王子の記憶だけ残っているのだろうか?)

 そんな疑問が浮かんできたが、その答えはすぐには出そうにない。

 クリフトンは何気ない顔でエドワード王子の所に向かった。

「おはようございます、エドワード王子」

 いつも通りの挨拶をしたにも関わらず、エドワード王子は戸惑ったような表情を見せる。

「あ、クリフトン。…おはよう」

 昨日、エドワード王子に対して反旗を翻したクリフトンにどんな顔をして良いのかわからないようだ。

 そんなエドワード王子の表情を見てクリフトンは確信した。

(やはり、エドワード王子には昨日の記憶が残っているようだ。だが、ブライアンは何一つ覚えていないようだな。…となればブライアンは抜きにしてエドワード王子だけと話をした方が良さそうだ)

 クリフトンはそう決意すると、エドワード王子と二人きりになる機会をうかがった。

 授業が終わって休憩時間になった。

 ブライアンはトイレにでも行ったのか教室内に姿が見えない。

 ブライアンはすかさず席に着いているエドワード王子の所へ近寄った。

「エドワード王子、少しよろしいですか?」

 クリフトンが声をかけるとエドワード王子は少し警戒したような表情を見せた。

(やはり、昨日の事で私の事を警戒しているようだな)

「…何だ?」

 少し尖ったような声にクリフトンは軽く口角を上げる。

「エドワード王子は昨日の事を覚えていらっしゃるようですね」

 周りに聞かれないようにエドワード王子の耳元で囁くと、エドワード王子はギョッとしたような表情を見せた。

「エドワード王子。そんなに感情を露わにされると他の人に気付かれますよ」

 クリフトンが注意するとエドワード王子はすぐに何気ない表情へと戻す。

「これでいいだろう?」

「完璧です。私には断片的な記憶しかないのですが、『双子』が関係しているのですか?」

「そうだ。昨日、お前の方からその話を持ち出したんだ」

「そうですか、私から…」

 エドワード王子にそう告げられて、クリフトンは考え込む。

 だが、そこへブライアンが教室に戻ってきたのが目に入った。

「エドワード王子。また後ほどお話しましょう」

 ブライアンは話を打ち切ると自分の席へと戻って行った。



 
しおりを挟む
感想 144

あなたにおすすめの小説

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた

夏菜しの
恋愛
 幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。  彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。  そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。  彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。  いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。  のらりくらりと躱すがもう限界。  いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。  彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。  これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?  エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。

処理中です...