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学院編
181 モブ令嬢の発見
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アンはとある子爵家の令嬢である。
貴族の家に生まれながら『アン』という平凡な名前に少々不満を持っていた。
(どうせならもっと華やかな名前にして欲しかったわ)
名前には不満を持っていたが、両親との仲は良好で生活もそれなりに裕福だった。
そんなアンの密かな楽しみは学院の食堂でエドワード王子の姿を観察する事だった。
本来ならばアンが行く食堂はエドワード王子が来るような所ではない。
それなのにエドワード王子は一人の男子生徒と一緒に食事をするために下位貴族用の食堂を利用していた。
初めはざわついていた他の生徒達も、何度もエドワード王子を見ているうちに慣れてきてしまったようで、特に気にする事も無くなっていた。
それでもアンは変わらずエドワード王子の姿を見つける度にその一挙手一投足を観察し続けていた。
そして今日、学院のホールで国王陛下の告白を聞き、アンはポロポロと涙をこぼしたのだった。
(エドワード様に双子の兄弟がいらしたなんて…。しかもお小さいうちにさらわれて行方がわからないなんて…。国王陛下や王妃様はもとより、エドワード様もご自分の兄弟に会いたくてたまらないでしょうね)
そんな悲しみをおくびにも出さずに学院に通っているエドワード王子が不憫で仕方がなかった。
エドワード王子の悲しみに思いを馳せながら食堂に向かうと、そこには久しぶりに見るエドワード王子の姿があった。
アンはすかさずエドワード王子の姿を観察出来る席を陣取って、食事をしつつエドワード王子を見つめていた。
エドワード王子のテーブルにはいつものようにブライアンとクリフトンがいて、アンと同じクラスのエドアルドとアーサーの姿もそこにあった。
何を話しているのか聞こえはしないが、楽しそうな雰囲気だけは伝わってきた。
(はぁー、相変わらず素敵だわ。あの完璧なお顔。とても私と同じ人間とは思えないわ)
失礼にならないようにチラチラとエドワード王子の姿を盗み見ては、その顔を堪能していた。
(エドワード様と双子という事は、お顔もエドワード様と瓜二つなのかしら?)
アンは今朝聞いたエドワード王子の双子の兄弟の事を考えていたが、そのうちにふと妙な事に気づいた。
(あら? こうして見るとエドアルド様ってエドワード様に似てる? …まさか?)
一旦はそんな考えを振り払ったが、一度頭に浮かんだ疑惑は晴れてはくれなかった。
今まであの目を引く黒縁眼鏡に惑わされていたが、あの黒縁眼鏡の下の鼻から顎までは二人ともそっくりだった。
(まさか? …本当に?)
アンはじっとエドアルドの顔を見つめて、あの黒縁眼鏡がない顔を想像してみた。
(やはり、お二人共そっくりだわ)
そこでアンは思い出した。
エドアルドがエルガー男爵家の養子である事を。
(双子の一人はさらわれて孤児院に連れて行かれたのかもしれないわ。恐らく、攫ってみたものの、どこの子供かわからずに身代金が取れなかったのよ。その子供をエルガー男爵家が王子と知らずに養子に迎えたんだわ。エドワード様がエドアルド様とこうして一緒にお食事をするのも、エドアルド様がご自分の兄弟だとわかっていらっしゃるからなんだわ。王宮に連れて行かれないのは国王陛下が危惧しているような事が起こるのを避けるためなんだわ)
想像力が豊かなアンは、当たらずとも遠からずな答えを導いて一人悦に入っていた。
だが、アンはこの考えを誰にも話すつもりはなかった。
アンにとって重要なのはこうしてエドワード王子を観察する事である。
あの二人が兄弟だと発覚したら、今のようにエドワード王子がここに通って来なくなるかもしれない。
それだけは何としても避けたかった。
(やはりご兄弟ね。見れば見るほどそっくりだわ。エドアルド様には黒縁眼鏡を外していただきたいけれどそれは叶わないでしょうね)
アンは軽くため息をつきながらもエドワード王子の姿を堪能するのだった。
貴族の家に生まれながら『アン』という平凡な名前に少々不満を持っていた。
(どうせならもっと華やかな名前にして欲しかったわ)
名前には不満を持っていたが、両親との仲は良好で生活もそれなりに裕福だった。
そんなアンの密かな楽しみは学院の食堂でエドワード王子の姿を観察する事だった。
本来ならばアンが行く食堂はエドワード王子が来るような所ではない。
それなのにエドワード王子は一人の男子生徒と一緒に食事をするために下位貴族用の食堂を利用していた。
初めはざわついていた他の生徒達も、何度もエドワード王子を見ているうちに慣れてきてしまったようで、特に気にする事も無くなっていた。
それでもアンは変わらずエドワード王子の姿を見つける度にその一挙手一投足を観察し続けていた。
そして今日、学院のホールで国王陛下の告白を聞き、アンはポロポロと涙をこぼしたのだった。
(エドワード様に双子の兄弟がいらしたなんて…。しかもお小さいうちにさらわれて行方がわからないなんて…。国王陛下や王妃様はもとより、エドワード様もご自分の兄弟に会いたくてたまらないでしょうね)
そんな悲しみをおくびにも出さずに学院に通っているエドワード王子が不憫で仕方がなかった。
エドワード王子の悲しみに思いを馳せながら食堂に向かうと、そこには久しぶりに見るエドワード王子の姿があった。
アンはすかさずエドワード王子の姿を観察出来る席を陣取って、食事をしつつエドワード王子を見つめていた。
エドワード王子のテーブルにはいつものようにブライアンとクリフトンがいて、アンと同じクラスのエドアルドとアーサーの姿もそこにあった。
何を話しているのか聞こえはしないが、楽しそうな雰囲気だけは伝わってきた。
(はぁー、相変わらず素敵だわ。あの完璧なお顔。とても私と同じ人間とは思えないわ)
失礼にならないようにチラチラとエドワード王子の姿を盗み見ては、その顔を堪能していた。
(エドワード様と双子という事は、お顔もエドワード様と瓜二つなのかしら?)
アンは今朝聞いたエドワード王子の双子の兄弟の事を考えていたが、そのうちにふと妙な事に気づいた。
(あら? こうして見るとエドアルド様ってエドワード様に似てる? …まさか?)
一旦はそんな考えを振り払ったが、一度頭に浮かんだ疑惑は晴れてはくれなかった。
今まであの目を引く黒縁眼鏡に惑わされていたが、あの黒縁眼鏡の下の鼻から顎までは二人ともそっくりだった。
(まさか? …本当に?)
アンはじっとエドアルドの顔を見つめて、あの黒縁眼鏡がない顔を想像してみた。
(やはり、お二人共そっくりだわ)
そこでアンは思い出した。
エドアルドがエルガー男爵家の養子である事を。
(双子の一人はさらわれて孤児院に連れて行かれたのかもしれないわ。恐らく、攫ってみたものの、どこの子供かわからずに身代金が取れなかったのよ。その子供をエルガー男爵家が王子と知らずに養子に迎えたんだわ。エドワード様がエドアルド様とこうして一緒にお食事をするのも、エドアルド様がご自分の兄弟だとわかっていらっしゃるからなんだわ。王宮に連れて行かれないのは国王陛下が危惧しているような事が起こるのを避けるためなんだわ)
想像力が豊かなアンは、当たらずとも遠からずな答えを導いて一人悦に入っていた。
だが、アンはこの考えを誰にも話すつもりはなかった。
アンにとって重要なのはこうしてエドワード王子を観察する事である。
あの二人が兄弟だと発覚したら、今のようにエドワード王子がここに通って来なくなるかもしれない。
それだけは何としても避けたかった。
(やはりご兄弟ね。見れば見るほどそっくりだわ。エドアルド様には黒縁眼鏡を外していただきたいけれどそれは叶わないでしょうね)
アンは軽くため息をつきながらもエドワード王子の姿を堪能するのだった。
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