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幼少期
45 稽古開始
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僕の向かいに座ったアンソニーは、ニコリともせずに僕を見据えてくる。
その眼差しに僕は職員室に呼び出された生徒のような気分になり、少しばかり身体を縮こませる。
そんな僕の様子を見た義母様がクスリと笑った。
「アンソニーったら相変わらず表情が固いわね。エドアルド、アンソニーは別に怒っているわけじゃないからそんなに怖がらなくて大丈夫よ」
随分と親しげにアンソニーの名前を呼ぶ義母様に僕は少し首を傾げた。
「義母様はアンソニーさんと親しいんですか?」
僕の視線を受けて義母様は微笑み返してくれた。
「ええ。私とダニエルとアンソニーは幼なじみなの。学院でも一緒だったわ。もっとも途中からアンソニーは騎士科を選択したから別々になっちゃったけどね」
義母様が昔話をしているのに、アンソニーは無表情のまま、侍女が入れたお茶を黙って飲んでいる。
僕がじっとアンソニーを見つめると、彼はカッブを置いて僕に挨拶をしてくる。
「はじめまして、エドアルド様。アンソニー・モーリスと申します。よろしくお願いします」
アンソニーの挨拶を受けて僕も背筋を伸ばした。
「エドアルドです。よろしくお願いします」
僕がペコっと頭を下げると、アンソニーはカッブを持って残っていたお茶を一気に飲み干した。
「さっそく稽古に入りましょうか。エルガー夫人、どちらで行うのか案内していただけますか?」
義母様は苦笑を漏らしてアンソニーを見つめる。
「せっかちなところは相変わらずね。そこの貴方、案内してあげて」
義母様が部屋の隅で待機している。侍女に告げた。
「かしこまりました。アンソニー様、エドアルド様、ご案内いたします」
侍女が僕達の方にやってきて頭を下げた。
アンソニーが立ち上がったので、僕も慌ててそれにならう。
アンソニーと一緒に侍女の後について行くと中庭の方に向かっていった。
そこには既に木剣が用意されていた。
本物の剣を見られると思っていた僕はちょっとがっかりした。
せめて模造剣くらいなら良かったのにな。
アンソニーは木剣を手に取ると僕に一本を差し出してきた。
「今日は最初ですから安全を考慮してこちらを使います。木で出来ているので切れる事はないですが、当たるとそれなりに痛いですからね」
僕は差し出された木剣を手に取った。
そんなに重たくはないけれど、七歳児が振り回すにはそこそこ重みがある。
「おや? 随分と浮かない顔をしていらっしゃいますね。もしかして本物の剣が見たかったのですか?」
アンソニーに図星を刺されて僕はちょっと恥ずかしくなる。
「えっと…はい…」
僕が口籠っていると、アンソニーは「ハハハッ」と大声で笑った。
だが、顔は相変わらず表情が変わっていない。
「いや、済まない。私は表情筋が固いらしく笑っても笑顔にならないんだ。だが、エドアルド様がそんなに剣がお好きだとは知りませんでした。次回の稽古の時には用意しておきましょう。まずは剣を両手で持って構えてください」
アンソニーに言われるまま、僕は剣を握ると構えて振り下ろした。
そうやって素振りを繰り返したが、最初は軽いと思っていた木剣も、何度か素振りをしているうちに徐々に腕がだるくなってきた。
たった五分、素振りをしただけで僕の腕は上がらなくなり、顔は汗が滴り落ちてくる。
「まだまた剣を扱うには体力が足りないようですね。剣を振るよりも基礎体力を身につける方が先のようですね」
そう言ってアンソニーは、毎日ランニングをするように告げた。
確かにこの世界に生まれてから外で遊ぶなんて事をしていないからな。
体力がないと言われても当然だ。
幸い、というかエルガー家は土地だけは広いから屋敷の周囲を走るだけでもかなり体力が付きそうだ。
初日は軽く木剣を振るだけで終わったが、その夜はベッドに入るなり眠ってしまったのだった。
その眼差しに僕は職員室に呼び出された生徒のような気分になり、少しばかり身体を縮こませる。
そんな僕の様子を見た義母様がクスリと笑った。
「アンソニーったら相変わらず表情が固いわね。エドアルド、アンソニーは別に怒っているわけじゃないからそんなに怖がらなくて大丈夫よ」
随分と親しげにアンソニーの名前を呼ぶ義母様に僕は少し首を傾げた。
「義母様はアンソニーさんと親しいんですか?」
僕の視線を受けて義母様は微笑み返してくれた。
「ええ。私とダニエルとアンソニーは幼なじみなの。学院でも一緒だったわ。もっとも途中からアンソニーは騎士科を選択したから別々になっちゃったけどね」
義母様が昔話をしているのに、アンソニーは無表情のまま、侍女が入れたお茶を黙って飲んでいる。
僕がじっとアンソニーを見つめると、彼はカッブを置いて僕に挨拶をしてくる。
「はじめまして、エドアルド様。アンソニー・モーリスと申します。よろしくお願いします」
アンソニーの挨拶を受けて僕も背筋を伸ばした。
「エドアルドです。よろしくお願いします」
僕がペコっと頭を下げると、アンソニーはカッブを持って残っていたお茶を一気に飲み干した。
「さっそく稽古に入りましょうか。エルガー夫人、どちらで行うのか案内していただけますか?」
義母様は苦笑を漏らしてアンソニーを見つめる。
「せっかちなところは相変わらずね。そこの貴方、案内してあげて」
義母様が部屋の隅で待機している。侍女に告げた。
「かしこまりました。アンソニー様、エドアルド様、ご案内いたします」
侍女が僕達の方にやってきて頭を下げた。
アンソニーが立ち上がったので、僕も慌ててそれにならう。
アンソニーと一緒に侍女の後について行くと中庭の方に向かっていった。
そこには既に木剣が用意されていた。
本物の剣を見られると思っていた僕はちょっとがっかりした。
せめて模造剣くらいなら良かったのにな。
アンソニーは木剣を手に取ると僕に一本を差し出してきた。
「今日は最初ですから安全を考慮してこちらを使います。木で出来ているので切れる事はないですが、当たるとそれなりに痛いですからね」
僕は差し出された木剣を手に取った。
そんなに重たくはないけれど、七歳児が振り回すにはそこそこ重みがある。
「おや? 随分と浮かない顔をしていらっしゃいますね。もしかして本物の剣が見たかったのですか?」
アンソニーに図星を刺されて僕はちょっと恥ずかしくなる。
「えっと…はい…」
僕が口籠っていると、アンソニーは「ハハハッ」と大声で笑った。
だが、顔は相変わらず表情が変わっていない。
「いや、済まない。私は表情筋が固いらしく笑っても笑顔にならないんだ。だが、エドアルド様がそんなに剣がお好きだとは知りませんでした。次回の稽古の時には用意しておきましょう。まずは剣を両手で持って構えてください」
アンソニーに言われるまま、僕は剣を握ると構えて振り下ろした。
そうやって素振りを繰り返したが、最初は軽いと思っていた木剣も、何度か素振りをしているうちに徐々に腕がだるくなってきた。
たった五分、素振りをしただけで僕の腕は上がらなくなり、顔は汗が滴り落ちてくる。
「まだまた剣を扱うには体力が足りないようですね。剣を振るよりも基礎体力を身につける方が先のようですね」
そう言ってアンソニーは、毎日ランニングをするように告げた。
確かにこの世界に生まれてから外で遊ぶなんて事をしていないからな。
体力がないと言われても当然だ。
幸い、というかエルガー家は土地だけは広いから屋敷の周囲を走るだけでもかなり体力が付きそうだ。
初日は軽く木剣を振るだけで終わったが、その夜はベッドに入るなり眠ってしまったのだった。
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