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34 祖父母と対面
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使用人が僕の馬車の扉を開けると、家令が手を差し出して僕が降りるのを補助してくれた。
シリル団長は馬から降りると、もう一人の騎士に馬を任せて僕と一緒に屋敷の中に入った。
玄関を入ると使用人達がズラリと並び、僕とシリル団長を出迎えてくれる。いまだにこの光景は慣れないな。
使用人達が並ぶ中を進んで行くと正面に初老の夫婦が立っていた。
お祖父様は父上と同じくあまり表情を見せないが、それでも僕を歓迎してくれている事は伝わる。
若い頃は随分とモテた、いや今でもモテるんじゃないかな。いわゆるロマンスグレーって言葉がビッタリくるようなハンサムだ。
お祖母様は先王の妹らしく、どことなくクリスに似ているような顔立ちだ。
ニコニコと笑っている顔は年を取ったと言っても、やはり美人であることに変わりはない。
「ジェレミー、いらっしゃい。待っていたわ。それにしてもシリル団長が一緒だとは思わなかったわ」
お祖母様に声をかけられて、先程野盗に襲われた事を伝えるべきかと迷ったが、僕よりも先にシリル団長が口を開いた。
「ご無沙汰しております、公爵夫人。ちょうど警ら中にジェレミー様に遭遇しまして、ご挨拶を兼ねて同行させていただきました。お二人共お変わりはありませんか?」
シリル団長は僕が野盗に襲われた事は隠すことにしたようだ。
幸い怪我も無かったし、変に二人を心配させる事もないだろう。
あ、だけど御者と使用人に口止めはしてなかったな。あの二人から話が漏れた場合にはちゃんと説明することにしよう。
「特に変わりはない。至って平穏な毎日を過ごしてるよ。…シリルも一緒にお茶でもどうだ?」
お祖父様がシリル団長をお茶に誘ったが、シリル団長は首を横に振ってやんわりとそれを断った。
「申し訳ありませんが、まだ警ら中ですのでこれで失礼いたします。今度アルフレッドがこちらに来るときにお邪魔しますよ。」
そう言ってシリル団長は僕達にお辞儀をすると使用人に連れられて玄関へと向かった。
「旦那様、立ち話もなんですからお部屋へご案内いたしましょう」
家令に先導されて僕達は応接室へと向かうことになった。
王都の屋敷ほど大きくはないが、それでもかなりの広さがある。
家督を譲ったとはいえ、領地を経営しているのだからそれなりに来客があるのだろう。
もしかしたら舞踏会なんかも開かれるのかもしれない。
応接室に入ると正面に大きな窓があって、そこから庭へと下りられるようになっていた。
庭には色とりどりの花が咲き誇っている。これを見るだけでも、ここに来た価値があると言うものだろう。
「…素晴らしいお庭ですね」
王都の屋敷にも庭はあるが、ここまでの規模ではない。
「綺麗でしょう。庭師が頑張ってくれているのよ。後で紹介するわね」
庭師を紹介されても…と思ったが、お祖母様にとっては自慢の庭を手入れしてくれる自慢の庭師なのだろう。
お茶の準備が出来ると、家令を含めて全ての使用人が退出し、応接室は僕達三人だけになった。
バタンと扉が閉まると、お祖父様が何やら懐から取り出してテーブルの上に置いて手をかざした。
途端に僕達が座っている辺りが魔法で包まれたのがわかる。
「盗聴防止の魔導具だ。使用人達を信用していないわけではないが、余計な事は耳に入れたくないからな」
お祖父様に言われて僕は頷いた。
「ジェレミー。無事に帰って来てくれて嬉しいわ。アレクシスとアルフレッドはアーサーが付いて行ったから大丈夫だって言ってたけど、それで納得出来る訳ないでしょう。すぐに会いに行きたかったけれど、なかなかここを離れられなくて…」
お祖母様が目をウルウルさせて僕に謝ってくるが、僕自身、お祖父様とお祖母様がいる事を知ったのは最近の事だ。
僕の方こそ祖父母の存在を知らなかった事を謝らないといけないんじゃないかな。
「アーサー、いるんだろう。さっさと出て来てどうしてこんなに時間がかかったのか説明しろ」
お祖父様の言葉と同時にアーサーが僕の懐から飛び出してきてお祖父様の目の前に浮かび上がる。
「よぉ、アレクシス、久しぶり。…随分と老けたな。」
失礼なアーサーの物言いにお祖父様がバシッとアーサーをはたき落とす。
アーサーは一旦、床に落ちそうになったがすぐに体制を立て直して、再びお祖父様の前に浮かび上がる。
「相変わらず、口より手の方が早い奴だな。久しぶりに会ったのにいきなり叩き落とす事は無いだろ」
アーサーはそう言って憤慨しているけれど、そういう自分はどうなんだって話だよね。
お祖母様は「アーサーは相変わらずね」なんてニコニコ笑ってるから、これがいつものことなんだろう。
「いいから、さっさと報告しろ!」
お祖父様に一喝されてアーサーはやれやれ、と肩をすくめた…ように見えた。
「私だってこんなにも時間がかかるとは思わなかったさ。だけどランスロットの奴はジェレミーを孤児院の前に捨ててジュリアから引き離したんだ。おまけにジェレミーがなかなか魔力覚醒しなかったんだ。10歳の時に孤児院で火事にあって初めて魔力覚醒したんだ」
アーサーの言葉にお祖父様とお祖母様は息を呑んだ。それが魔力覚醒の事か火事にあった事かはわからない。
「孤児院に捨てられた上に10歳でようやく魔力覚醒だと? ランスロットの奴め、アンデッドの姿で現れたと聞いたが私のこの手で八つ裂きにしてやりたかった!」
「孤児院に捨てられた上に火事にあったですって! ジェレミー、怪我は無かったの?」
…全てにだったようだ。
シリル団長は馬から降りると、もう一人の騎士に馬を任せて僕と一緒に屋敷の中に入った。
玄関を入ると使用人達がズラリと並び、僕とシリル団長を出迎えてくれる。いまだにこの光景は慣れないな。
使用人達が並ぶ中を進んで行くと正面に初老の夫婦が立っていた。
お祖父様は父上と同じくあまり表情を見せないが、それでも僕を歓迎してくれている事は伝わる。
若い頃は随分とモテた、いや今でもモテるんじゃないかな。いわゆるロマンスグレーって言葉がビッタリくるようなハンサムだ。
お祖母様は先王の妹らしく、どことなくクリスに似ているような顔立ちだ。
ニコニコと笑っている顔は年を取ったと言っても、やはり美人であることに変わりはない。
「ジェレミー、いらっしゃい。待っていたわ。それにしてもシリル団長が一緒だとは思わなかったわ」
お祖母様に声をかけられて、先程野盗に襲われた事を伝えるべきかと迷ったが、僕よりも先にシリル団長が口を開いた。
「ご無沙汰しております、公爵夫人。ちょうど警ら中にジェレミー様に遭遇しまして、ご挨拶を兼ねて同行させていただきました。お二人共お変わりはありませんか?」
シリル団長は僕が野盗に襲われた事は隠すことにしたようだ。
幸い怪我も無かったし、変に二人を心配させる事もないだろう。
あ、だけど御者と使用人に口止めはしてなかったな。あの二人から話が漏れた場合にはちゃんと説明することにしよう。
「特に変わりはない。至って平穏な毎日を過ごしてるよ。…シリルも一緒にお茶でもどうだ?」
お祖父様がシリル団長をお茶に誘ったが、シリル団長は首を横に振ってやんわりとそれを断った。
「申し訳ありませんが、まだ警ら中ですのでこれで失礼いたします。今度アルフレッドがこちらに来るときにお邪魔しますよ。」
そう言ってシリル団長は僕達にお辞儀をすると使用人に連れられて玄関へと向かった。
「旦那様、立ち話もなんですからお部屋へご案内いたしましょう」
家令に先導されて僕達は応接室へと向かうことになった。
王都の屋敷ほど大きくはないが、それでもかなりの広さがある。
家督を譲ったとはいえ、領地を経営しているのだからそれなりに来客があるのだろう。
もしかしたら舞踏会なんかも開かれるのかもしれない。
応接室に入ると正面に大きな窓があって、そこから庭へと下りられるようになっていた。
庭には色とりどりの花が咲き誇っている。これを見るだけでも、ここに来た価値があると言うものだろう。
「…素晴らしいお庭ですね」
王都の屋敷にも庭はあるが、ここまでの規模ではない。
「綺麗でしょう。庭師が頑張ってくれているのよ。後で紹介するわね」
庭師を紹介されても…と思ったが、お祖母様にとっては自慢の庭を手入れしてくれる自慢の庭師なのだろう。
お茶の準備が出来ると、家令を含めて全ての使用人が退出し、応接室は僕達三人だけになった。
バタンと扉が閉まると、お祖父様が何やら懐から取り出してテーブルの上に置いて手をかざした。
途端に僕達が座っている辺りが魔法で包まれたのがわかる。
「盗聴防止の魔導具だ。使用人達を信用していないわけではないが、余計な事は耳に入れたくないからな」
お祖父様に言われて僕は頷いた。
「ジェレミー。無事に帰って来てくれて嬉しいわ。アレクシスとアルフレッドはアーサーが付いて行ったから大丈夫だって言ってたけど、それで納得出来る訳ないでしょう。すぐに会いに行きたかったけれど、なかなかここを離れられなくて…」
お祖母様が目をウルウルさせて僕に謝ってくるが、僕自身、お祖父様とお祖母様がいる事を知ったのは最近の事だ。
僕の方こそ祖父母の存在を知らなかった事を謝らないといけないんじゃないかな。
「アーサー、いるんだろう。さっさと出て来てどうしてこんなに時間がかかったのか説明しろ」
お祖父様の言葉と同時にアーサーが僕の懐から飛び出してきてお祖父様の目の前に浮かび上がる。
「よぉ、アレクシス、久しぶり。…随分と老けたな。」
失礼なアーサーの物言いにお祖父様がバシッとアーサーをはたき落とす。
アーサーは一旦、床に落ちそうになったがすぐに体制を立て直して、再びお祖父様の前に浮かび上がる。
「相変わらず、口より手の方が早い奴だな。久しぶりに会ったのにいきなり叩き落とす事は無いだろ」
アーサーはそう言って憤慨しているけれど、そういう自分はどうなんだって話だよね。
お祖母様は「アーサーは相変わらずね」なんてニコニコ笑ってるから、これがいつものことなんだろう。
「いいから、さっさと報告しろ!」
お祖父様に一喝されてアーサーはやれやれ、と肩をすくめた…ように見えた。
「私だってこんなにも時間がかかるとは思わなかったさ。だけどランスロットの奴はジェレミーを孤児院の前に捨ててジュリアから引き離したんだ。おまけにジェレミーがなかなか魔力覚醒しなかったんだ。10歳の時に孤児院で火事にあって初めて魔力覚醒したんだ」
アーサーの言葉にお祖父様とお祖母様は息を呑んだ。それが魔力覚醒の事か火事にあった事かはわからない。
「孤児院に捨てられた上に10歳でようやく魔力覚醒だと? ランスロットの奴め、アンデッドの姿で現れたと聞いたが私のこの手で八つ裂きにしてやりたかった!」
「孤児院に捨てられた上に火事にあったですって! ジェレミー、怪我は無かったの?」
…全てにだったようだ。
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