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53 実地演習開始
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3ヶ月に及ぶ学校での訓練の後、交代で騎士団のパトロールに参加することになっている。
各小隊に学生1名ずつが配置される。
配置を通達されるときに細々とした注意事項も聞かされた。
他の騎士達の足手まといにならないように、自分の身は自分で守る事や、先走って暴走しないようにと口を酸っぱくして教師が告げていた。
このパトロールでの経験を積んだ後に魔獣の討伐隊に参加出来るようになっている。
他の学生の中には魔獣の討伐隊に早く参加したくてウズウズしている奴もいた。
最もパトロール中に魔獣に出会わないとも限らないので、そういう機会があればいいと話していたっけ。
野党や盗賊を警戒するためのパトロールだけれど、街道の途中には森もあったりするから、まるきり魔獣がいないわけではない。
いよいよ僕もパトロールに参加する日、シヴァがいつものように僕の影にスッと入っていった。
「万が一の時は援護するからな。しっかりやれよ」
そう言ってくれるのはいいけど、僕の影から飛び出た途端、魔獣と間違えられないか心配だな。
予め、騎士団の人に従魔がいることを知らせておいた方がいいのだろうか?
判断がつかないまま、僕は学校へと登校して騎士コースの教室に向かった。
流石に全員がパトロールに参加するわけではないので、お留守番組はいつものように訓練だ。
訓練組はひと足早くパトロールに参加する僕達を羨ましそうな目で見ながら訓練へと向かった。
パトロールに参加する僕達は今一度、注意事項を聞かされて、騎士団の待つ校庭へと向かった。
校庭には既に騎士団が列を組んで待機している。
それぞれの小隊に一人ずつ学生が割り当てられていく。
僕が名前を呼ばれて向かった小隊は、騎士団長がいる小隊だった。
「やぁ、ジェレミー。今日はよろしく頼むよ」
シリル団長に先に声をかけられ、僕は慌てて頭を下げた。
「シリル団長。こちらこそよろしくお願いします」
顔をあげて他の騎士達を見回したが、以前助けて貰った時と同じメンバーのようで、なんとなく見覚えのある顔が並んでいる。
だけど僕の所属先が騎士団長の小隊だなんて、これは偶然なんだろうか?
そんな疑問が顔に出ていたのか、シリル団長が軽く頷いた。
「どうしても身分順に配置されるからね。ジェレミーが私の小隊に配置されるのは当然だ」
そういうことか。
身分社会というものはそれが当たり前なんだろうな。
前世でも平等だと言いつつも、どこかで優遇される人達が少なからずいた。
それに不満を覚えた所で改善などされることはなかった。
この世界では身分が明確な分、特別扱いされる事がわかっているだけマシかもしれない。
軽く自己紹介をされた。子爵から侯爵まで爵位がバラバラだったが皆が皆、爵位を継ぐわけではないらしい。
我が家では跡継ぎが僕しかいないから、考えた事もなかったけれど、他の家では何人も子供がいるのは当たり前だよね。
いよいよパトロールに出発する、という時に僕はシリル団長にこっそりと耳打ちをした。
「シリル団長。僕には従魔がいるのですが、皆に知らせておいた方がいいのでしょうか?」
シリル団長はどうやら父上から聞いていたらしく、軽く手を上げて僕を制した。
「ここではやめておこう。これからパトロール地に向かうから、そこで皆に披露してくれ」
確かにここではまだ他の人の目があるから、不用意に目立つ必要はない。
僕は頷くと馬に跨って、団長の後をついて行った。
小隊は二人ずつ並んで行く事になる。
先頭に団長と他の騎士が並び、僕は二番目に別の騎士と一緒に続いた。
街中では並足より少し早く馬を走らせていたが、街道に出て人通りが少なくなると一気に馬を走らせた。
しばらく馬を走らせていたが、やがてシリル団長が片手を上げて止まるように合図をしてきた。
皆が馬を止めて降り立ったのを見ると、僕を隣に呼び寄せた。
「ジェレミー、こっちへ」
僕がシリル団長の隣に立つと、シリル団長が皆を見回した。
「ジェレミーから皆に知らせておきたい事があるそうだ。ジェレミー、ここなら従魔を出していいぞ」
シリル団長の言葉を聞いて皆が「えっ?」というような顔をした。
僕が「シヴァ」と声をかけると僕の影からシヴァが飛び出した。
いきなり現れたシヴァに騎士達は少したじろいだ様子を見せたが、そこはやはり鍛えられた騎士達だ。
すぐに立ち直って物珍しそうにシヴァを見ている。
「僕の従魔のシヴァです。余程の危険が無ければ出て来ないように言っていますが、万が一の時は飛び出して来ると思うのでよろしくお願いします」
シヴァは普通の犬のようなフリをして、ブンブンと尻尾を振っている。
騎士達もシヴァを好意的に受け入れてくれているようだ。
シヴァとの顔合わせを終えると僕達は先程と同じように隊列を組んでパトロールを再開した。
別の小隊と交代するまでパトロールを続けたが、特に何事も無く一日目のパトロールは終了した。
各小隊に学生1名ずつが配置される。
配置を通達されるときに細々とした注意事項も聞かされた。
他の騎士達の足手まといにならないように、自分の身は自分で守る事や、先走って暴走しないようにと口を酸っぱくして教師が告げていた。
このパトロールでの経験を積んだ後に魔獣の討伐隊に参加出来るようになっている。
他の学生の中には魔獣の討伐隊に早く参加したくてウズウズしている奴もいた。
最もパトロール中に魔獣に出会わないとも限らないので、そういう機会があればいいと話していたっけ。
野党や盗賊を警戒するためのパトロールだけれど、街道の途中には森もあったりするから、まるきり魔獣がいないわけではない。
いよいよ僕もパトロールに参加する日、シヴァがいつものように僕の影にスッと入っていった。
「万が一の時は援護するからな。しっかりやれよ」
そう言ってくれるのはいいけど、僕の影から飛び出た途端、魔獣と間違えられないか心配だな。
予め、騎士団の人に従魔がいることを知らせておいた方がいいのだろうか?
判断がつかないまま、僕は学校へと登校して騎士コースの教室に向かった。
流石に全員がパトロールに参加するわけではないので、お留守番組はいつものように訓練だ。
訓練組はひと足早くパトロールに参加する僕達を羨ましそうな目で見ながら訓練へと向かった。
パトロールに参加する僕達は今一度、注意事項を聞かされて、騎士団の待つ校庭へと向かった。
校庭には既に騎士団が列を組んで待機している。
それぞれの小隊に一人ずつ学生が割り当てられていく。
僕が名前を呼ばれて向かった小隊は、騎士団長がいる小隊だった。
「やぁ、ジェレミー。今日はよろしく頼むよ」
シリル団長に先に声をかけられ、僕は慌てて頭を下げた。
「シリル団長。こちらこそよろしくお願いします」
顔をあげて他の騎士達を見回したが、以前助けて貰った時と同じメンバーのようで、なんとなく見覚えのある顔が並んでいる。
だけど僕の所属先が騎士団長の小隊だなんて、これは偶然なんだろうか?
そんな疑問が顔に出ていたのか、シリル団長が軽く頷いた。
「どうしても身分順に配置されるからね。ジェレミーが私の小隊に配置されるのは当然だ」
そういうことか。
身分社会というものはそれが当たり前なんだろうな。
前世でも平等だと言いつつも、どこかで優遇される人達が少なからずいた。
それに不満を覚えた所で改善などされることはなかった。
この世界では身分が明確な分、特別扱いされる事がわかっているだけマシかもしれない。
軽く自己紹介をされた。子爵から侯爵まで爵位がバラバラだったが皆が皆、爵位を継ぐわけではないらしい。
我が家では跡継ぎが僕しかいないから、考えた事もなかったけれど、他の家では何人も子供がいるのは当たり前だよね。
いよいよパトロールに出発する、という時に僕はシリル団長にこっそりと耳打ちをした。
「シリル団長。僕には従魔がいるのですが、皆に知らせておいた方がいいのでしょうか?」
シリル団長はどうやら父上から聞いていたらしく、軽く手を上げて僕を制した。
「ここではやめておこう。これからパトロール地に向かうから、そこで皆に披露してくれ」
確かにここではまだ他の人の目があるから、不用意に目立つ必要はない。
僕は頷くと馬に跨って、団長の後をついて行った。
小隊は二人ずつ並んで行く事になる。
先頭に団長と他の騎士が並び、僕は二番目に別の騎士と一緒に続いた。
街中では並足より少し早く馬を走らせていたが、街道に出て人通りが少なくなると一気に馬を走らせた。
しばらく馬を走らせていたが、やがてシリル団長が片手を上げて止まるように合図をしてきた。
皆が馬を止めて降り立ったのを見ると、僕を隣に呼び寄せた。
「ジェレミー、こっちへ」
僕がシリル団長の隣に立つと、シリル団長が皆を見回した。
「ジェレミーから皆に知らせておきたい事があるそうだ。ジェレミー、ここなら従魔を出していいぞ」
シリル団長の言葉を聞いて皆が「えっ?」というような顔をした。
僕が「シヴァ」と声をかけると僕の影からシヴァが飛び出した。
いきなり現れたシヴァに騎士達は少したじろいだ様子を見せたが、そこはやはり鍛えられた騎士達だ。
すぐに立ち直って物珍しそうにシヴァを見ている。
「僕の従魔のシヴァです。余程の危険が無ければ出て来ないように言っていますが、万が一の時は飛び出して来ると思うのでよろしくお願いします」
シヴァは普通の犬のようなフリをして、ブンブンと尻尾を振っている。
騎士達もシヴァを好意的に受け入れてくれているようだ。
シヴァとの顔合わせを終えると僕達は先程と同じように隊列を組んでパトロールを再開した。
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