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2 側妃
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ガヴェニャック王国の王太子アロイスが結婚して三年経っても、ルイーズとの間に子供が出来る気配はなかった。
これには王国の重鎮や貴族達は大いに焦った。
何故ならアロイスが結婚して一年も経たないうちに国王が流行り病で呆気なく死んでしまっていたからだ。
元々体の弱い国王ではあったが、大きな病気もなく過ごしていた。
それが流行り病にかかった途端、どんなに手を尽くしても回復する事はなかった。
回復魔法の使い手を呼んでも一時的に症状が落ち着くだけで快方に向かうことはなかった。
アロイスが王座を継いだが、未だにルイーズには妊娠の兆候はみられなかった。
このままでは万が一アロイスに何かがあった場合、跡を継ぐ者がいなくなってしまう。
傍系王族はいるが下手をすれば玉座の取り合いで内乱が起こりかねなかった。
何としてでもアロイスには早急に跡継ぎを作って貰う必要があった。
貴族達が集まって話し合いを始めたところ、デュルフェ公爵が自分の娘のリリアーナを側妃にさせると発言した。
その発言に反対する者もいたが、結局は賛成派の貴族に押し切られてしまった。
実際に跡継ぎに恵まれない以上、対策は必要である。
内乱が起こりかねない傍系王族を担ぎ上げるよりは、側妃をあてがった方がマシだと思われたからだ。
貴族達の決定にアロイスは必死に抵抗していたが、ルイーズに子供が出来ない以上受け入れるしかなかった。
リリアーナが自宅で寛いでいると、登城したはずの父親が上機嫌で戻ってきた。
「リリアーナ! 早く出かける支度をするんだ! アロイス樣の側妃に決まったんだからな!」
思いもかけない父親の言葉にリリアーナはすぐには理解出来なかった。
「お父様。帰るなり何をおっしゃいますの?」
だが、リリアーナの戸惑いをよそに公爵は使用人に命じてリリアーナの登城の準備をさせた。
このまま押し切らないとアロイスが側妃を拒否してしまう可能性もあるからだ。
リリアーナが突然の事に戸惑っているうちに準備が整えられ、馬車に押し込められて王宮へと向かった。
馬車が王宮に近付くにつれ、リリアーナの胸に徐々に喜びが溢れてくる。
側妃という立場ではあってもアロイスと結ばれるのが嬉しくて堪らなかった。
一度は諦めたアロイスだったけれど、結局は自分と結ばれる運命だったのかもしれない。
これからアロイスと結ばれて自分が先に身籠って王子を産めば、ルイーズなんかより自分を寵愛してくれるに決まっている。
そしてルイーズとは離婚して自分を正妃にしてくれるかも…。
リリアーナは馬車の中でそんな想像をしながら前方に見えてきた王宮を眺めていた。
王宮に入るとリリアーナは側妃がすむ西の宮へと案内された。
急な決定だったため、すべての準備が整っておらず寝室と浴室のみが使えるようにされていた。
王宮の使用人がリリアーナの荷物をバタバタと運び込んでいる。
寝室のベッドの脇に備えられたソファーに座って、リリアーナはただじっと待っている事しか出来なかった。
ルイーズは婚約発表のパーティーを開いてもらって、豪華な結婚式まで執り行ったのに…。
リリアーナは側妃になるため、何のお披露目もされず、誰からのお祝いの言葉ももらえない…。
いくらアロイスと結ばれるからといっても、本当にこれで良かったのだろうか?
リリアーナの胸にそんな疑問が浮かんできたが、父親の決定に逆らえるはずもなかった。
国王となったアロイスが側妃を娶ると決めた以上、リリアーナに拒否は出来ない。
やがて入浴の支度が整ったと告げられ、リリアーナは浴室へと連れて行かれた。
侍女達に体を磨かれ、夜着を身に着けられた。
寝室に戻り一人、アロイスが訪れるのを待っていた。
…いよいよ、アロイスと結ばれる…。
その喜びに胸を震わせながら…。
これには王国の重鎮や貴族達は大いに焦った。
何故ならアロイスが結婚して一年も経たないうちに国王が流行り病で呆気なく死んでしまっていたからだ。
元々体の弱い国王ではあったが、大きな病気もなく過ごしていた。
それが流行り病にかかった途端、どんなに手を尽くしても回復する事はなかった。
回復魔法の使い手を呼んでも一時的に症状が落ち着くだけで快方に向かうことはなかった。
アロイスが王座を継いだが、未だにルイーズには妊娠の兆候はみられなかった。
このままでは万が一アロイスに何かがあった場合、跡を継ぐ者がいなくなってしまう。
傍系王族はいるが下手をすれば玉座の取り合いで内乱が起こりかねなかった。
何としてでもアロイスには早急に跡継ぎを作って貰う必要があった。
貴族達が集まって話し合いを始めたところ、デュルフェ公爵が自分の娘のリリアーナを側妃にさせると発言した。
その発言に反対する者もいたが、結局は賛成派の貴族に押し切られてしまった。
実際に跡継ぎに恵まれない以上、対策は必要である。
内乱が起こりかねない傍系王族を担ぎ上げるよりは、側妃をあてがった方がマシだと思われたからだ。
貴族達の決定にアロイスは必死に抵抗していたが、ルイーズに子供が出来ない以上受け入れるしかなかった。
リリアーナが自宅で寛いでいると、登城したはずの父親が上機嫌で戻ってきた。
「リリアーナ! 早く出かける支度をするんだ! アロイス樣の側妃に決まったんだからな!」
思いもかけない父親の言葉にリリアーナはすぐには理解出来なかった。
「お父様。帰るなり何をおっしゃいますの?」
だが、リリアーナの戸惑いをよそに公爵は使用人に命じてリリアーナの登城の準備をさせた。
このまま押し切らないとアロイスが側妃を拒否してしまう可能性もあるからだ。
リリアーナが突然の事に戸惑っているうちに準備が整えられ、馬車に押し込められて王宮へと向かった。
馬車が王宮に近付くにつれ、リリアーナの胸に徐々に喜びが溢れてくる。
側妃という立場ではあってもアロイスと結ばれるのが嬉しくて堪らなかった。
一度は諦めたアロイスだったけれど、結局は自分と結ばれる運命だったのかもしれない。
これからアロイスと結ばれて自分が先に身籠って王子を産めば、ルイーズなんかより自分を寵愛してくれるに決まっている。
そしてルイーズとは離婚して自分を正妃にしてくれるかも…。
リリアーナは馬車の中でそんな想像をしながら前方に見えてきた王宮を眺めていた。
王宮に入るとリリアーナは側妃がすむ西の宮へと案内された。
急な決定だったため、すべての準備が整っておらず寝室と浴室のみが使えるようにされていた。
王宮の使用人がリリアーナの荷物をバタバタと運び込んでいる。
寝室のベッドの脇に備えられたソファーに座って、リリアーナはただじっと待っている事しか出来なかった。
ルイーズは婚約発表のパーティーを開いてもらって、豪華な結婚式まで執り行ったのに…。
リリアーナは側妃になるため、何のお披露目もされず、誰からのお祝いの言葉ももらえない…。
いくらアロイスと結ばれるからといっても、本当にこれで良かったのだろうか?
リリアーナの胸にそんな疑問が浮かんできたが、父親の決定に逆らえるはずもなかった。
国王となったアロイスが側妃を娶ると決めた以上、リリアーナに拒否は出来ない。
やがて入浴の支度が整ったと告げられ、リリアーナは浴室へと連れて行かれた。
侍女達に体を磨かれ、夜着を身に着けられた。
寝室に戻り一人、アロイスが訪れるのを待っていた。
…いよいよ、アロイスと結ばれる…。
その喜びに胸を震わせながら…。
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