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68 旅の途中で
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ベルナールさんの店を出た所で、テオはエミリーさんを振り返った。
「僕達はこれからパストゥール王国に向かうけど、エミリーさんはどうする? 自分のいた里に戻るのならばそれでもいいけど…」
エミリーさんの住んでいた里が何処にあるのかは知らないが、流石にこのままで放り出すわけにはいかないだろう。
着の身着のままだし、お金だって持っていないから食事や宿を取ることも出来ない。
「騎士団に行けばファビアン樣に話が伝わってどうにかしてくれると思うんだが…」
テオはそう言うけれど、ファビアン樣に話が伝わるのもすぐとは言えないだろう。
…この世界には電話なんてないしね。
エミリーさんはしばらく考えていたが、僕をチラリと見ると決意をしたように軽く頷いた。
「お邪魔でなかったら私もパストゥール王国に連れて行って下さい。小さくなれるのでもしかしたらお役に立てるかもしれません」
エミリーさんに言われてテオはエリクと顔を見合わせた。
万が一パストゥール王国の王宮に侵入するのにハムスターのような小さな体があれば容易かもしれない。
「まったく危険がないわけではないが、それでもいいのか?」
エミリーさんの覚悟を確かめるようにテオが聞き返すと、エミリーさんはコクリと頷いた。
「はい。このままここにいても何もする事はないし、シリルを早く家族に合わせてあげたいから…」
エミリーさんの返事を聞いてエリクが僕を見てニヤニヤと笑う。
「おやおや、シリルは大人気だな。可愛いっていうのは得だねぇ」
そんなエリクの頭をテオがパシッとはたいた。
「無駄口叩いてないでさっさと行くぞ。それじゃ、エミリーさん行きましょうか」
エミリーさんの旅の準備を整える為の買い物を済ませると、僕達は次の町へと向かう。
街道を外れて森に入ると僕達は人型から獣の姿へと変わる。
エミリーさんはテオとエリクの狼の姿にちょっとビビっていた。
「人型でもハムスターの姿でもいいから僕の背中に乗ってくれ」
テオに言われてエミリーさんは覚悟を決めたようにハムスターの姿になるとテオの背中に飛び乗った。
狼の背中にハムスター、というあり得ない組み合わせにちょっとほっこりしてしまう。
「よし、行くぞ!」
走り出したテオの背中で振り落とされないように必死にしがみついているハムスターの姿がとても可愛い。
次の町の手前で僕達は獣の姿から人型へと戻ったが、エミリーさんはハムスターから人型へと戻った途端、ペタリと地面に座り込んだ。
「…はあ、振り落とされるかと思った…」
どうやらテオの背中にしがみついていただけで、かなり疲労困憊したようだ。
「大丈夫か? 今日はこの町で宿を取ることにしよう」
今までは男ばかりだったので野宿でも平気だったが、女性が加わったとなればそういうわけにもいかないだろう。
「ごめんなさい。私が付いてきたばかりに余計なお金を使わせてしまうなんて…」
エミリーは恐縮しているが、たまには宿屋に泊まるのもいいだろう。
ここはパストゥール王国との国境にある町なので、多少はパストゥール王国の情報も入るだろう。
町で一番人が集まるという食堂で食事も兼ねて情報収集を行う。
それぞれ周りの声に耳をそばだてながらの食事だ。
食事をしている人の中にはちらほら獣人の姿があったが、向こうもこちらが獣人だと認識しているはずだ。
僕達の組み合わせに怪訝そうな顔をしているのもチラホラ見受けられた。
「…パストゥール王国の…」
そんな言葉が耳に飛び込んてきた。
少し離れた所で食事をしている二人組の獣人が目に入った。
「あそこの王女は色んな愛玩動物を集めているらしいが、噂によると中には獣人も混ざっているらしい」
「獣人も? それを王女は知っているのか?」
「さあな。知っていて集めているのか、知らずに集めているのか…。だが、問題はそこじゃない。可愛がっているうちはいいが、飽きたら見向きもしなくなるそうだ。飽きられた動物は檻に閉じ込められたまま、ただ死ぬのを待っているだけらしいからたちが悪い。せめて開放してやればいいのにな」
「それはまた酷いな。周りの人間は誰も何も言わないのか?」
「そこまでは知らん。いずれ嫁いで王宮を出るからと放置されているんじゃないのか?」
そんな会話が僕達の耳に入ってきた。
その中に兄さん達がいるかどうかは別としても、せめて獣人達を助け出してやりたい。
僕はそう固く心に決めた。
「僕達はこれからパストゥール王国に向かうけど、エミリーさんはどうする? 自分のいた里に戻るのならばそれでもいいけど…」
エミリーさんの住んでいた里が何処にあるのかは知らないが、流石にこのままで放り出すわけにはいかないだろう。
着の身着のままだし、お金だって持っていないから食事や宿を取ることも出来ない。
「騎士団に行けばファビアン樣に話が伝わってどうにかしてくれると思うんだが…」
テオはそう言うけれど、ファビアン樣に話が伝わるのもすぐとは言えないだろう。
…この世界には電話なんてないしね。
エミリーさんはしばらく考えていたが、僕をチラリと見ると決意をしたように軽く頷いた。
「お邪魔でなかったら私もパストゥール王国に連れて行って下さい。小さくなれるのでもしかしたらお役に立てるかもしれません」
エミリーさんに言われてテオはエリクと顔を見合わせた。
万が一パストゥール王国の王宮に侵入するのにハムスターのような小さな体があれば容易かもしれない。
「まったく危険がないわけではないが、それでもいいのか?」
エミリーさんの覚悟を確かめるようにテオが聞き返すと、エミリーさんはコクリと頷いた。
「はい。このままここにいても何もする事はないし、シリルを早く家族に合わせてあげたいから…」
エミリーさんの返事を聞いてエリクが僕を見てニヤニヤと笑う。
「おやおや、シリルは大人気だな。可愛いっていうのは得だねぇ」
そんなエリクの頭をテオがパシッとはたいた。
「無駄口叩いてないでさっさと行くぞ。それじゃ、エミリーさん行きましょうか」
エミリーさんの旅の準備を整える為の買い物を済ませると、僕達は次の町へと向かう。
街道を外れて森に入ると僕達は人型から獣の姿へと変わる。
エミリーさんはテオとエリクの狼の姿にちょっとビビっていた。
「人型でもハムスターの姿でもいいから僕の背中に乗ってくれ」
テオに言われてエミリーさんは覚悟を決めたようにハムスターの姿になるとテオの背中に飛び乗った。
狼の背中にハムスター、というあり得ない組み合わせにちょっとほっこりしてしまう。
「よし、行くぞ!」
走り出したテオの背中で振り落とされないように必死にしがみついているハムスターの姿がとても可愛い。
次の町の手前で僕達は獣の姿から人型へと戻ったが、エミリーさんはハムスターから人型へと戻った途端、ペタリと地面に座り込んだ。
「…はあ、振り落とされるかと思った…」
どうやらテオの背中にしがみついていただけで、かなり疲労困憊したようだ。
「大丈夫か? 今日はこの町で宿を取ることにしよう」
今までは男ばかりだったので野宿でも平気だったが、女性が加わったとなればそういうわけにもいかないだろう。
「ごめんなさい。私が付いてきたばかりに余計なお金を使わせてしまうなんて…」
エミリーは恐縮しているが、たまには宿屋に泊まるのもいいだろう。
ここはパストゥール王国との国境にある町なので、多少はパストゥール王国の情報も入るだろう。
町で一番人が集まるという食堂で食事も兼ねて情報収集を行う。
それぞれ周りの声に耳をそばだてながらの食事だ。
食事をしている人の中にはちらほら獣人の姿があったが、向こうもこちらが獣人だと認識しているはずだ。
僕達の組み合わせに怪訝そうな顔をしているのもチラホラ見受けられた。
「…パストゥール王国の…」
そんな言葉が耳に飛び込んてきた。
少し離れた所で食事をしている二人組の獣人が目に入った。
「あそこの王女は色んな愛玩動物を集めているらしいが、噂によると中には獣人も混ざっているらしい」
「獣人も? それを王女は知っているのか?」
「さあな。知っていて集めているのか、知らずに集めているのか…。だが、問題はそこじゃない。可愛がっているうちはいいが、飽きたら見向きもしなくなるそうだ。飽きられた動物は檻に閉じ込められたまま、ただ死ぬのを待っているだけらしいからたちが悪い。せめて開放してやればいいのにな」
「それはまた酷いな。周りの人間は誰も何も言わないのか?」
「そこまでは知らん。いずれ嫁いで王宮を出るからと放置されているんじゃないのか?」
そんな会話が僕達の耳に入ってきた。
その中に兄さん達がいるかどうかは別としても、せめて獣人達を助け出してやりたい。
僕はそう固く心に決めた。
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