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女の人は自分の体を見下ろしたかと思うと、今度は自分の顔をペタペタと触ったりして、元の姿に戻ったのを確認していた。
自分が本当に人型に戻ったとわかると、ハッと我に返りベルナールさんや僕達をキョロキョロと見比べてガバっと頭を下げた。
「ありがとうございます。こうして人間の姿に戻れるなんて…。あのままハムスターの姿で何処かに売られてもう元には戻れないと諦めてました。本当にありがとう…」
女の人はそこまで一気にまくし立てるとポロポロと泣き出した。
ベルナールさんが立ち上がって女の人の肩を優しく叩いた。
「儂の息子が作った首輪のせいでお嬢さんには随分と辛い思いをさせてしまったようだな、まったく申し訳ない。とりあえずそこに座って話を聞かせてもらえないか?」
女の人はコクリと頷くと頬の涙を拭ってベルナールさんの隣に座った。
僕達を見てちょっと体を震わせているのは、僕達が狼と狐の獣人だからだろうか?
別に取って食べたりはしないのでそこはちょっと安心して欲しい。
「先ずは自己紹介といこうか。僕はテオ、そして隣にいるのがエリクで、その向こうはシリルだ。僕達はシリルの兄達を探しているんだが、君は奴隷商の所で狐の獣人を見なかったかな?」
テオが僕達の事を紹介すると、女の人は少し安心したように震えが止まっていた。
僕達が奴隷商を捕まえた理由がわかって安堵したのだろう。
「私はエミリーです。私の住んでいた獣人の里がハンターに襲われて逃げ遅れた私は捕まってあの奴隷商の所に連れて行かれました。そこであの首輪を付けられてしまったんです」
やはり僕の住んでいた里以外でもハンターに襲われた里はあったようだ。
依頼をしていた公爵が処刑されたから、この先獣人の里が襲われる事は無いと思うが、断定は出来ない。
他国から獣人を捕まえに来ないとも限らないからだ。
「エミリーさんは自分が何処に連れて行かれるか知っていたのかな?」
エリクの質問にエミリーさんはコクリと頷いた。
「あの奴隷商は私をパストゥール王国の王女樣に献上するって言ってました。何でも王女樣は小さい動物を沢山集めているそうなんです」
…小さい動物を集めている?
まさか、その中に兄さん達も含まれているのだろうか?
「エミリーさんはあの奴隷商の所で狐の獣人を見ませんでしたか?」
僕が尋ねるとエミリーさんは申し訳なさそうに首を横に振った。
「いえ、狐の姿は見ていません。人型を見ても誰がどの種族の獣人かはすぐにはわからないので…。こうして直接対峙すると私より強い獣人だとはわかるんですが…」
エミリーさんに言われて僕達は納得した。
同じ種族ならすぐに分かるが、違う種族だと自分より強いか弱いかを判断するだけで、どんな種族かはわからない。
兄さん達の手がかりが掴めそうで掴めないのがもどかしい。
「パストゥール王国の王女が獣人を集めているのなら、それらは皆儂の息子が作った首輪をしていると言う事だろうな」
パストゥール王国の王女が愛玩動物を集めているのであれば、当然人型にはなれないように首輪を付けられているに違いない。
何とか王女に獣人を開放して貰いたいのだが、僕達が進言したところで聞いてもらえるはずもないだろう。
だが、どうにかしてパストゥール王国の王女の所に行って兄さん達がいるかどうかを確認したい。
そして出来ればドサクサに紛れて集められている獣人を開放してあげたい。
僕達の会話を聞いていたベルナールさんはテーブルの上の魔法陣を僕達にスッと差し出してきた。
「パストゥール王国に行くんじゃろう。これを持って行きなさい。そして儂の息子が作った首輪を外してやっておくれ」
パストゥール王国に辿り着くまでに他にも首輪を付けられた獣人に出会うかもしれない。
一人でも多くの獣人を開放してあげるためにも、この魔法陣は必要だ。
「ありがとうございます。お借りします」
「もし、解除出来ない首輪を見つけたら儂の所に来なさい。必ず解除してみせよう」
ベルナールさんの申し出を有り難く受け取って僕達は店を後にした。
自分が本当に人型に戻ったとわかると、ハッと我に返りベルナールさんや僕達をキョロキョロと見比べてガバっと頭を下げた。
「ありがとうございます。こうして人間の姿に戻れるなんて…。あのままハムスターの姿で何処かに売られてもう元には戻れないと諦めてました。本当にありがとう…」
女の人はそこまで一気にまくし立てるとポロポロと泣き出した。
ベルナールさんが立ち上がって女の人の肩を優しく叩いた。
「儂の息子が作った首輪のせいでお嬢さんには随分と辛い思いをさせてしまったようだな、まったく申し訳ない。とりあえずそこに座って話を聞かせてもらえないか?」
女の人はコクリと頷くと頬の涙を拭ってベルナールさんの隣に座った。
僕達を見てちょっと体を震わせているのは、僕達が狼と狐の獣人だからだろうか?
別に取って食べたりはしないのでそこはちょっと安心して欲しい。
「先ずは自己紹介といこうか。僕はテオ、そして隣にいるのがエリクで、その向こうはシリルだ。僕達はシリルの兄達を探しているんだが、君は奴隷商の所で狐の獣人を見なかったかな?」
テオが僕達の事を紹介すると、女の人は少し安心したように震えが止まっていた。
僕達が奴隷商を捕まえた理由がわかって安堵したのだろう。
「私はエミリーです。私の住んでいた獣人の里がハンターに襲われて逃げ遅れた私は捕まってあの奴隷商の所に連れて行かれました。そこであの首輪を付けられてしまったんです」
やはり僕の住んでいた里以外でもハンターに襲われた里はあったようだ。
依頼をしていた公爵が処刑されたから、この先獣人の里が襲われる事は無いと思うが、断定は出来ない。
他国から獣人を捕まえに来ないとも限らないからだ。
「エミリーさんは自分が何処に連れて行かれるか知っていたのかな?」
エリクの質問にエミリーさんはコクリと頷いた。
「あの奴隷商は私をパストゥール王国の王女樣に献上するって言ってました。何でも王女樣は小さい動物を沢山集めているそうなんです」
…小さい動物を集めている?
まさか、その中に兄さん達も含まれているのだろうか?
「エミリーさんはあの奴隷商の所で狐の獣人を見ませんでしたか?」
僕が尋ねるとエミリーさんは申し訳なさそうに首を横に振った。
「いえ、狐の姿は見ていません。人型を見ても誰がどの種族の獣人かはすぐにはわからないので…。こうして直接対峙すると私より強い獣人だとはわかるんですが…」
エミリーさんに言われて僕達は納得した。
同じ種族ならすぐに分かるが、違う種族だと自分より強いか弱いかを判断するだけで、どんな種族かはわからない。
兄さん達の手がかりが掴めそうで掴めないのがもどかしい。
「パストゥール王国の王女が獣人を集めているのなら、それらは皆儂の息子が作った首輪をしていると言う事だろうな」
パストゥール王国の王女が愛玩動物を集めているのであれば、当然人型にはなれないように首輪を付けられているに違いない。
何とか王女に獣人を開放して貰いたいのだが、僕達が進言したところで聞いてもらえるはずもないだろう。
だが、どうにかしてパストゥール王国の王女の所に行って兄さん達がいるかどうかを確認したい。
そして出来ればドサクサに紛れて集められている獣人を開放してあげたい。
僕達の会話を聞いていたベルナールさんはテーブルの上の魔法陣を僕達にスッと差し出してきた。
「パストゥール王国に行くんじゃろう。これを持って行きなさい。そして儂の息子が作った首輪を外してやっておくれ」
パストゥール王国に辿り着くまでに他にも首輪を付けられた獣人に出会うかもしれない。
一人でも多くの獣人を開放してあげるためにも、この魔法陣は必要だ。
「ありがとうございます。お借りします」
「もし、解除出来ない首輪を見つけたら儂の所に来なさい。必ず解除してみせよう」
ベルナールさんの申し出を有り難く受け取って僕達は店を後にした。
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