8 / 63
第7話 初対面
しおりを挟む
「ギャッ!!」「グアッ!!」
エレウテリオが青垣砦からいなくなっても、まだスケルトンの進撃は続いていた。
あれだけ大量にいた帝国兵が、スケルトンの群れによって全滅目前まで数を減らしていた。
ジリジリとスケルトンに追い立てられ、残った帝国兵は青垣砦からも見える位置で戦っていた。
青垣砦の方からも攻撃される可能性があったが、そんな事を気にしている暇などない。
個人で戦っては、すぐに囲まれて殺されるだけのため、兵たちは固まって戦うようにしたのだが、それでも次々と襲い掛かられて殺されて行くが、目の前のスケルトンに集中して戦う以外に活路は見いだせない状況だった。
「…………」
大和王国の水元公爵家当主の江奈は、無言で帝国兵が死んでいく様を見ていた。
江奈だけではない。
王国兵たちも、無残に死んでいく様を無言で見ていた。
帝国兵が死んだら、次は自分たちになると想像してしまい、何も考えられず、何も言葉を発せないでいた。
「……っ!!」
しばらく無言でいた江奈は、ようやく他の者たちが抵抗することを諦めていることに気付いた。
その気持ちは分からなくはない。
江奈自身も、もう駄目だと思っていたからだ。
「みんな! 魔導砲に魔力を込めて!」
「江奈様……?」
突然言葉を発した江奈に、王国兵たちは首を傾げる。
自分たちが戦場にいるということを、忘れていたかのような反応だ。
「何もせずに死ぬのは戦士にあるまじきことよ! 最後まで抗いましょう!! 大和国民の意地を最後まで貫くのよ!!」
「……おぉ」
江奈の熱意ある言葉に、兵たちの目にも火が灯る。
「「「「「おぉーー!!」」」」」
公爵家当主とは言っても、まだ16歳の少女が最後まで戦うというのだ。
自分たちが先に諦めるわけにはいかない。
最後まで戦い、全力で生き残ろうとしなければ奇跡なんて起きない。
そう考えた兵たちは、スケルトンが自分たちを標的にした時のために、江奈の指示通り最後の足掻きをするための準備を始めたのだった。
「江奈様! 準備出来ました」
「分かったわ!」
江奈の指示通り、砦の上部に横一列に並べられた魔導砲に魔力が込められ、後は発射をするだけの状態になった。
帝国兵も残りわずか。
スケルトンたちは、いつ帝国兵を全滅させてこちらへ向かってくるか分からない。
向かってくる前に動いたのは、やはり正解だった。
「スケルトンがこちらへ動き出したのを合図に一斉砲火をするわよ!」
「了解しました!!」
こちらへ向かってきたら一斉砲撃によって一気に数を減らす。
後は野となれ山となれだ。
そんな思いで、江奈をはじめとする王国の者たちは戦場の動きを注視した。
「んっ? 何っ?」
動いている帝国兵は見当たらなくなった。
全滅したようだ。
江奈は次は自分たちが襲われる番だと、いつでも魔導砲を打てるようにして構えていたところ、スケルトンが変な動きを始めたことに気付く。
「道が……」
砦の門へと続く道のように、スケルトンたちが左右に分かれて整列を始めたのだ。
何をする気なのか理解できない。
江奈や王国兵たちが戸惑っていると、スケルトンが作った道の奥から、2人の人間が前後に並ぶようにしてこちらへ向かって歩いてきた。
「…………誰?」
「初めまして! 大和王国の皆さま! 私、ヴァンパイアのファウストと申します!」
「……ヴァンパイア?」
門近くの城壁の上に立つ江奈が小さく疑問の言葉を呟くと、前を進んで歩いてきた男はその呟きが聞こえたかのように、恭しく礼をして自己紹介をして来た。
しかし、その自己紹介にまたも首を傾げることになる。
「あいつは何をいっているんだ?」
「ヴァンパイアなんて冗談だろ?」
どうやら、王国兵たちもエレウテリオに自己紹介した時のように、信じてもらえていないようだ。
大和王国でも、ヴァンパイアは昔話に出てくる種族としてしか知られていない。
だから、ファウストのことをヴァンパイアと自称する男として映ったようだ。
「やはり信じてもらえないようですね」
「それはそうだろ」
嘘偽りなく自己紹介したというのに、信じてもらえないことにファウストは困ったように呟いた。
そんなファウストを慰めるように話しかけると、背後にいる人物が前に出てきた。
向かって来るその人物に、ファウストは恭しく頭を下げながら自分の立っていた場所を譲る。
それだけで、その人物がファウストより上の存在であるということが分かる。
「何だあいつは……」
「胡散臭いな……」
顏の上半分を隠すような骨を被った男の登場に、王国兵たちは更にざわめき出した。
「…………」
兵たちとは違い、江奈は無言でその人物に目を向けていた。
状況が状況だからだ。
あれだけいるスケルトンが、ファウストと骨を被っている男に襲い掛かろうとしない。
その異様な光景に、次に何を言って来るのか目が離せないといった思いだった。
「初めまして、私、送故司と申します。あなたが水元公爵様ですか?」
「……えぇ、水元公爵家当主、水元江奈です」
ファウストに代わるように出てきた男は、被っている骨の眼窩の部分から視線をこちらに向けてくる。
江奈と目が遭うと、その男は自己紹介をして来た。
格好に反して礼儀正しく、江奈は思わず自己紹介を返した。
「このような格好をしておりますが、私は大和王国国民です。今回私がこの場に現れたのは、自己紹介のためと……」
被っている骨で顔が見えないが、司が大和国民といったことで王国兵たちは少しだけ警戒レベルを下がる。
しかし、だからと言って胡散臭いことに変わりはないため、いつでも動けるように戦闘態勢は変えていない。
そんな彼らを気にすることなく、司はファウストへ手を向ける。
何を言われたわけでもないというのに、ファウストは木箱を持ってきて司へと渡した。
「こちらをお渡しに来た次第です」
「っっっ!!」
渡された木箱に誰もが注視した所で、司は木箱の蓋を開けた。
そして、その木箱の中身を見た江奈は、手を口に当てて悲鳴を上げるのを必死にこらえた。
「ここ青垣砦へ攻めてきた帝国のエレウテリオ将軍の首です。私どもには必要ないので差し上げます」
木箱に入っていたのは、ファウストが仕留めてきたエレウテリオの首だった。
これまでの戦いでその顔を知っていた者たちは、憎き帝国の将軍の首を見て固まった。
「私の用は済みましたので、これにて失礼」
「えっ!? ちょっと!!」
全員が訳も分からず固まっていると、司はその場にエレウテリオの首が入った木箱を置いて一礼すると踵を返した。
帰るつもりのようだが、説明が足りなさすぎる。
まだ聞きたいことがあるというのに帰ろうとしている司を江奈は呼び止めようとするが、司は全く気にすることなく離れていく。
“パチンッ!!”
「「「「「っっっ!!」」」」」
去っていく司は、手を上げて指を鳴らす。
すると、あれだけいた大量のスケルトンが、一瞬にしてその場から消え去った。
あまりの出来事に、見ていた王国の者たちはまたも驚きで固まった。
「き、消えた!?」
「あれだけの数のスケルトンが……」
スケルトンの消失により、脅威はなくなった。
しかし、それよりも何が起きたのかが知りたい。
司と名乗った者がしたことは分かるが、そんな事が個人にできるわけがない。
「では、またお会いしましょう」
何をしたのかをわざわざ答えるつもりはない。
王国兵たちのなかでさらなるざわめきが起こっているが、司は江奈へと向かって一言呟くと、ファウストと共にその場から消えるようにいなくなっていった。
エレウテリオが青垣砦からいなくなっても、まだスケルトンの進撃は続いていた。
あれだけ大量にいた帝国兵が、スケルトンの群れによって全滅目前まで数を減らしていた。
ジリジリとスケルトンに追い立てられ、残った帝国兵は青垣砦からも見える位置で戦っていた。
青垣砦の方からも攻撃される可能性があったが、そんな事を気にしている暇などない。
個人で戦っては、すぐに囲まれて殺されるだけのため、兵たちは固まって戦うようにしたのだが、それでも次々と襲い掛かられて殺されて行くが、目の前のスケルトンに集中して戦う以外に活路は見いだせない状況だった。
「…………」
大和王国の水元公爵家当主の江奈は、無言で帝国兵が死んでいく様を見ていた。
江奈だけではない。
王国兵たちも、無残に死んでいく様を無言で見ていた。
帝国兵が死んだら、次は自分たちになると想像してしまい、何も考えられず、何も言葉を発せないでいた。
「……っ!!」
しばらく無言でいた江奈は、ようやく他の者たちが抵抗することを諦めていることに気付いた。
その気持ちは分からなくはない。
江奈自身も、もう駄目だと思っていたからだ。
「みんな! 魔導砲に魔力を込めて!」
「江奈様……?」
突然言葉を発した江奈に、王国兵たちは首を傾げる。
自分たちが戦場にいるということを、忘れていたかのような反応だ。
「何もせずに死ぬのは戦士にあるまじきことよ! 最後まで抗いましょう!! 大和国民の意地を最後まで貫くのよ!!」
「……おぉ」
江奈の熱意ある言葉に、兵たちの目にも火が灯る。
「「「「「おぉーー!!」」」」」
公爵家当主とは言っても、まだ16歳の少女が最後まで戦うというのだ。
自分たちが先に諦めるわけにはいかない。
最後まで戦い、全力で生き残ろうとしなければ奇跡なんて起きない。
そう考えた兵たちは、スケルトンが自分たちを標的にした時のために、江奈の指示通り最後の足掻きをするための準備を始めたのだった。
「江奈様! 準備出来ました」
「分かったわ!」
江奈の指示通り、砦の上部に横一列に並べられた魔導砲に魔力が込められ、後は発射をするだけの状態になった。
帝国兵も残りわずか。
スケルトンたちは、いつ帝国兵を全滅させてこちらへ向かってくるか分からない。
向かってくる前に動いたのは、やはり正解だった。
「スケルトンがこちらへ動き出したのを合図に一斉砲火をするわよ!」
「了解しました!!」
こちらへ向かってきたら一斉砲撃によって一気に数を減らす。
後は野となれ山となれだ。
そんな思いで、江奈をはじめとする王国の者たちは戦場の動きを注視した。
「んっ? 何っ?」
動いている帝国兵は見当たらなくなった。
全滅したようだ。
江奈は次は自分たちが襲われる番だと、いつでも魔導砲を打てるようにして構えていたところ、スケルトンが変な動きを始めたことに気付く。
「道が……」
砦の門へと続く道のように、スケルトンたちが左右に分かれて整列を始めたのだ。
何をする気なのか理解できない。
江奈や王国兵たちが戸惑っていると、スケルトンが作った道の奥から、2人の人間が前後に並ぶようにしてこちらへ向かって歩いてきた。
「…………誰?」
「初めまして! 大和王国の皆さま! 私、ヴァンパイアのファウストと申します!」
「……ヴァンパイア?」
門近くの城壁の上に立つ江奈が小さく疑問の言葉を呟くと、前を進んで歩いてきた男はその呟きが聞こえたかのように、恭しく礼をして自己紹介をして来た。
しかし、その自己紹介にまたも首を傾げることになる。
「あいつは何をいっているんだ?」
「ヴァンパイアなんて冗談だろ?」
どうやら、王国兵たちもエレウテリオに自己紹介した時のように、信じてもらえていないようだ。
大和王国でも、ヴァンパイアは昔話に出てくる種族としてしか知られていない。
だから、ファウストのことをヴァンパイアと自称する男として映ったようだ。
「やはり信じてもらえないようですね」
「それはそうだろ」
嘘偽りなく自己紹介したというのに、信じてもらえないことにファウストは困ったように呟いた。
そんなファウストを慰めるように話しかけると、背後にいる人物が前に出てきた。
向かって来るその人物に、ファウストは恭しく頭を下げながら自分の立っていた場所を譲る。
それだけで、その人物がファウストより上の存在であるということが分かる。
「何だあいつは……」
「胡散臭いな……」
顏の上半分を隠すような骨を被った男の登場に、王国兵たちは更にざわめき出した。
「…………」
兵たちとは違い、江奈は無言でその人物に目を向けていた。
状況が状況だからだ。
あれだけいるスケルトンが、ファウストと骨を被っている男に襲い掛かろうとしない。
その異様な光景に、次に何を言って来るのか目が離せないといった思いだった。
「初めまして、私、送故司と申します。あなたが水元公爵様ですか?」
「……えぇ、水元公爵家当主、水元江奈です」
ファウストに代わるように出てきた男は、被っている骨の眼窩の部分から視線をこちらに向けてくる。
江奈と目が遭うと、その男は自己紹介をして来た。
格好に反して礼儀正しく、江奈は思わず自己紹介を返した。
「このような格好をしておりますが、私は大和王国国民です。今回私がこの場に現れたのは、自己紹介のためと……」
被っている骨で顔が見えないが、司が大和国民といったことで王国兵たちは少しだけ警戒レベルを下がる。
しかし、だからと言って胡散臭いことに変わりはないため、いつでも動けるように戦闘態勢は変えていない。
そんな彼らを気にすることなく、司はファウストへ手を向ける。
何を言われたわけでもないというのに、ファウストは木箱を持ってきて司へと渡した。
「こちらをお渡しに来た次第です」
「っっっ!!」
渡された木箱に誰もが注視した所で、司は木箱の蓋を開けた。
そして、その木箱の中身を見た江奈は、手を口に当てて悲鳴を上げるのを必死にこらえた。
「ここ青垣砦へ攻めてきた帝国のエレウテリオ将軍の首です。私どもには必要ないので差し上げます」
木箱に入っていたのは、ファウストが仕留めてきたエレウテリオの首だった。
これまでの戦いでその顔を知っていた者たちは、憎き帝国の将軍の首を見て固まった。
「私の用は済みましたので、これにて失礼」
「えっ!? ちょっと!!」
全員が訳も分からず固まっていると、司はその場にエレウテリオの首が入った木箱を置いて一礼すると踵を返した。
帰るつもりのようだが、説明が足りなさすぎる。
まだ聞きたいことがあるというのに帰ろうとしている司を江奈は呼び止めようとするが、司は全く気にすることなく離れていく。
“パチンッ!!”
「「「「「っっっ!!」」」」」
去っていく司は、手を上げて指を鳴らす。
すると、あれだけいた大量のスケルトンが、一瞬にしてその場から消え去った。
あまりの出来事に、見ていた王国の者たちはまたも驚きで固まった。
「き、消えた!?」
「あれだけの数のスケルトンが……」
スケルトンの消失により、脅威はなくなった。
しかし、それよりも何が起きたのかが知りたい。
司と名乗った者がしたことは分かるが、そんな事が個人にできるわけがない。
「では、またお会いしましょう」
何をしたのかをわざわざ答えるつもりはない。
王国兵たちのなかでさらなるざわめきが起こっているが、司は江奈へと向かって一言呟くと、ファウストと共にその場から消えるようにいなくなっていった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。
大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。
そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。
しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。
戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。
「面白いじゃん?」
アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる