主人公は高みの見物していたい

ポリ 外丸

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3学年 前期

第205話

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「フゥ~……」

 変身を終え、カサンドラは一息吐く。

「……人間と魔物の中間、ってところか……」

 巨大化したりなど、どんな姿に変身するのかと思っていた伸は、カサンドラの姿を見ての感想を呟く。
 人間の女性の姿から巨大な虹蛇のウングルに変身し、強力な遠距離攻撃を放ってきていたが、今の姿は半分人間半分魔物とでも言うかのような姿に変わっている。
 人間の体に、蛇の顔で虹色の鱗と尻尾がある。
 巨大蛇の姿から受けるプレッシャーという意味では、スケールダウンしたようにも見えるため、伸としてはどうしてこの姿に変身したのか分からない。

「……んっ? その顔は魔物の姿から弱体化したと思っているようね?」

「……違うのか?」

「さあね……」

 伸が思っていることを表情から読み取ったらしく、カサンドラは問いかけてくる。
 その質問に伸が質問で返すと、カサンドラは意味深な笑みを返してきた。

「そりゃそうか……」

「…………」

 敵なのだから、全ての質問に答えるわけがない。
 カサンドラの笑みは、そう言う意味なのだろう。
 そう感じ取った伸は、カサンドラがこの姿に変身した意味を理解するためには、自分で試すしかないと刀を構えた。
 それを見て、カサンドラも無言で身構える。

「……ハッ!!」

 武器を持たない状態で、どうやって自分の攻撃を弾くつもりなのか。
 そんな疑問がわくが、考えても始まらない。
 一旦思考するのをやめ、伸は地を蹴った。

“ガキンッ!!”

「っっっ!?」

 接近と共に突きを放つ伸。
 その攻撃がカサンドラの喉へ迫ると、金属音が鳴り響いた。
 伸の攻撃が防がれたことによるものだ。

「……なるほど、そのための半人半魔か……」

 伸の攻撃を防いだのは、カサンドラが手に持つ魔力で出来たブーメランだった。
 それを見た伸は、変身をした理由を察した。
 エラズモがいなくなった今、虹蛇姿のカサンドラは遠距離攻撃だけではそのうち伸に攻略される。
 そうなったとき、近接戦がしづらい虹蛇の姿では振りでしかない。
 両手があれば接近戦もできるため、先を見越して今の姿に変身したのだろう。

「ハッ!!」

「フッ!!」

 伸の攻撃を止めたカサンドラは、力任せにブーメランを振り払う。
 それに押された伸は、自ら後ろに飛ぶことで態勢を崩すことを回避する。

「セイッ!!」

「っ!!」

 後退したことで、伸とカサンドラの間には距離ができる。
 その瞬間、カサンドラは手に持つブーメランを伸に向かって投擲してきた。

『速いな……』

 虹蛇姿の時のブーメランよりも、込められている魔力が少ない分威力は落ちているが、速度の方は増している。
 これも姿を変えたことによるメリットなのか。
 放出するのと投擲するのでは、カサンドラ自身の腕力が加わる分速度が加算されているようだ。
 これまでどおりに反応していたら深手を負っていたかもしれないが、変身した理由を探すために警戒していたのが功を奏した。
 伸は頭を屈ませることでブーメランを回避する。

「シッ!!」

 ブーメランを投げたことで、またも武器を持たない状態になっている。
 そんなカサンドラとの距離を詰め、伸は胴へ向かって薙ぎ払いを放つ。

“ガキンッ!!”

「……まぁ、そうだよな……」

 武器を持たない状態のカサンドラの胴に伸の刀が迫ると、金属音が鳴り響く。
 またもカサンドラが魔力で出来たブーメランで防いだからだ。
 魔力で武器を作ることは難しくはない。
 伸でもやろうと思えばできることだからだ。
 しかし、それでも少しの時間を要する。
 それなのに、カサンドラはかなり短い時間で武器を作り出している。
 そのことから、とんでもない魔力コントロールと言わざるを得ないが、伸はこの状況になることをある程度予想していた。

「フンッ!!」

「っと!」

 攻撃を防いだ右手だけでなく、左手にも魔力のブーメランが出現している。
 その左手のブーメランを使って、カサンドラは伸に向かって攻撃をしてくる。
 右手でそうなのだから、左手でも同じ速度で作り上げることも可能。
 そう考えられたため、伸は左へ飛ぶことでカサンドラの攻撃を回避した。

「ウングルだもんな……」

 魔力で武器を作り出すには、先ほども言ったように伸でも僅かとはいえ時間が必要だ。
 しかし、それは作り慣れていないからだ。
 持っている刀を身体強化の要領で強化すれば、わざわざ魔力で刀を作り出す必要なんてない。
 だから、伸でも僅かでも時間が必要になる。
 だが、ブーメラン攻撃を主にする魔物のウングルから進化したカサンドラは、誰よりも魔力武器の製作に慣れている。
 それならば、魔力武器製作という能力に関しては自分より上でも不思議ではないため、伸はそこまで驚くことはなかった。

「ニッ!!」

「……っっっ!?」

 左手のブーメランの攻撃を躱した伸を見て、カサンドラはうっすら笑みを浮かべる。
 それに気づいた伸は、何かあるのかと疑いの意識を向ける。
 そして、察知した。
 自分に回避した自分に向かって、何かが高速で飛来してくるのを。

「チッ!!」

 先ほど躱したブーメランが、戻ってきていた。
 どうやら、カサンドラに誘導されたようだ。
 攻撃を回避して体勢的を立て直す瞬間に合わせて飛んできたブーメラン。
 しかも、落下速度が加わり、投擲した瞬間よりも速いかもしれない。
 そんなブーメランを回避するために、伸は必死に身を捩じった。

「……とんでもない反応速度ね。肩を掠るだけなんて……」

「ぐう……」

 カサンドラが言うように、伸はギリギリで攻撃を躱すことができた。
 とはいっても、伸の左肩を掠り、僅かに出血することになった。

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