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3学年 後期
第218話
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「思った通りだな……」
対抗戦は進み、あっという間にベスト4まで出そろった。
そのメンツを見て、伸は納得の表情で呟く。
というのも、残っているのは伸が予想していた3人と、一昨年・去年と4位で終わってしまった大橋だ。
「大橋は気合入っているな……」
選手に選ばれなかったため、伸は今回もセコンドに付いている。
了のではなく、綾愛のだ。
別に綾愛は他の女子たちとも仲がいいため、自分じゃなくてもいいのではないかと思ったのだが、一応婚約者という立場なため、綾愛の方に付くしかなかった。
そんな伸は、了と闘う大橋のことを見ていた。
1年の時に揉めた相手だが、その中でも棒術が得意だった奴だ。
その大橋が、目を閉じ精神集中して試合開始を待っていて、開始早々全力で行く気満々に見えた。
「今年こそはって思いが強いんだろうね」
「そういえばそうか……」
大橋は1年の時から八郷代表に選ばれていない。
毎回ベスト4に入るのだが、1年の時も2年の時も、あと少しというところで了に敗れてしまったためだ。
1度でも全国大会に出場できれば名を上げることができるというのに、それが毎回寸でのところで逃しているのだから、綾愛のいうように最後となる今年こそはと思って気合が入っているのだろう。
『……というか、今年は杉山と3位決定戦を行うことになるだろうな……』
1年の夏休みの時、伸が魔力による身体操作をしたことで、了の魔力操作能力は一気に向上した。
それによって、一番苦手だった魔力の放出も、今ではかなりの実力になりつつある。
元々剣術の技術が高く、接近戦の能力だけでもかなりの実力者だった了が、遠距離からも攻撃できる術を手に入れたため、弱点は少なくなりつつある。
そんな了に勝とうと思うなら、何かしらの技術で上に行かなければならない。
しかし、大橋も棒術の技術が高いが、了を相手にするとなると魔力操作技術がやや劣っている。
魔力使用禁止での勝負なら分からないが、対抗戦ルールの戦いなら了が勝つと伸は予想していた。
「ま、参った」
首先に突き付けられた了の木刀。
完全に勝敗が決定し、大橋は悔しそうに降参の声を上げる。
『魔力操作がもう少し上がればな……』
この一年相当努力したのだろう。
大橋の棒術能力は、去年と比較してかなり上がっていた。
了の剣術と大橋の棒術はほぼ互角で、勝敗を決めたのは魔力操作技術の差だった。
武術で同格でも、魔力操作能力の差で大橋の魔力の方が減りが速い。
その差がジワジワと出て、了の方に勝利が転がって行ったといったところだ。
もしも、大橋の魔力操作技術がもう少し高かったら、了が勝てるか微妙なことになっていただろう。
『俺が身体操作してやれば確実なんだろうけど……』
綾愛や了がそうだったように、伸の魔力による身体操作を受けると、副作用として魔力操作能力が向上する。
その身体操作をすれば、大橋が了より上に行くことも不可能ではないはずだ。
『まぁ、あいつが柊家関連の企業に入ったら考えるか……』
長男の文康のことで急落しているが、鷹藤家関連の企業には優秀な魔闘師が多く在籍しているため、時間はかかるだろうが、そのうち名声を取り戻すだろう。
その時までに、柊家の名をもっと上げておきたい。
そのためには、優秀な魔闘師を引き入るべきだ。
綾愛・奈津希・了という強力な3人がいたことで対抗戦の本選に出場できないでいたが、大橋はかなり有望株だ。
1年の時に少し揉めたが、今では特に大橋のことは何とも思っていないため、大橋をこのまま放っておくのはもったいない気がする。
しかし、大橋の進路がまだ分かっていないため、とりあえず柊家関連の企業に入社するようなら考えることにした。
「……まぁ、そうなるよな」
「勝者、柊!」
もう一つの校内選抜の準決勝戦。
トーナメントの都合上、綾愛と奈津希の戦いになった。
幼馴染の友人同士で試合なんて、いくらトーナメントとはいっても両者ともやりづらいことだろう。
そんな考えをしていた伸だったが、2人とも覚悟をしていたのか最初から本気の勝負を繰り広げ、勝ったのは綾愛だった。
短刀サイズの木刀の2刀流で、手数で押すスタイルの奈津希。
その回転の速い連続攻撃を、綾愛は木刀で弾き・躱し、すべての面で一段上という実力を見せて勝利した。
やはり、伸の身体操作による魔力操作能力上昇が、綾愛の元々あった才能を伸ばしたのかもしれない。
はっきり言って、同年代で綾愛に勝てる人間はいないのではないかと伸は思っている。
もちろん自分を除いてだが。
そのため、この結果には納得といった感じだ。
「大橋君もかなり強いけど、奈津希が勝つよね?」
綾愛と了の決勝戦を始める前、3位決定戦が開始される。
この試合に勝利すれば対抗戦の本選に出場できることになるため、奈津希も大橋も気合入っている。
そんな奈津希を選手入場口の通路から眺める綾愛は、心配そうに伸に問いかける。
「杉山ならたぶん勝てるだろう」
試合に絶対はないとはいえ、奈津希は了と互角くらいの実力だと思っている。
武器の相性を考えると大橋が距離を取って戦うだろうが、奈津希が自慢の速度でかき回し、最終的には奈津希が勝つのではないかと伸は自分の考えを綾愛に告げた。
「……くっ! 参った」
「勝者、杉山!」
試合は伸の予想通りの展開になった。
開始早々距離を取る大橋を奈津希が追う展開になり、その速度に追いつかなくなった大橋の懐に入った奈津希の短い木刀が首筋に添えられて試合終了といった具合だ。
「やった!!」
奈津希の勝利に、綾愛は大喜びする。
去年に続き、これで一緒に対抗戦に出場できるからだ。
「すいません。ちょっといいですか?」
「んっ? どうした杉山……」
3位が決まり、次は決勝戦という空気に会場がなる前、奈津希が審判役の三門に話しかける。
そして、次の瞬間会場中が固まるような発言をした。
「対抗戦出場権をかけて、新田君と勝負させてください!」
対抗戦は進み、あっという間にベスト4まで出そろった。
そのメンツを見て、伸は納得の表情で呟く。
というのも、残っているのは伸が予想していた3人と、一昨年・去年と4位で終わってしまった大橋だ。
「大橋は気合入っているな……」
選手に選ばれなかったため、伸は今回もセコンドに付いている。
了のではなく、綾愛のだ。
別に綾愛は他の女子たちとも仲がいいため、自分じゃなくてもいいのではないかと思ったのだが、一応婚約者という立場なため、綾愛の方に付くしかなかった。
そんな伸は、了と闘う大橋のことを見ていた。
1年の時に揉めた相手だが、その中でも棒術が得意だった奴だ。
その大橋が、目を閉じ精神集中して試合開始を待っていて、開始早々全力で行く気満々に見えた。
「今年こそはって思いが強いんだろうね」
「そういえばそうか……」
大橋は1年の時から八郷代表に選ばれていない。
毎回ベスト4に入るのだが、1年の時も2年の時も、あと少しというところで了に敗れてしまったためだ。
1度でも全国大会に出場できれば名を上げることができるというのに、それが毎回寸でのところで逃しているのだから、綾愛のいうように最後となる今年こそはと思って気合が入っているのだろう。
『……というか、今年は杉山と3位決定戦を行うことになるだろうな……』
1年の夏休みの時、伸が魔力による身体操作をしたことで、了の魔力操作能力は一気に向上した。
それによって、一番苦手だった魔力の放出も、今ではかなりの実力になりつつある。
元々剣術の技術が高く、接近戦の能力だけでもかなりの実力者だった了が、遠距離からも攻撃できる術を手に入れたため、弱点は少なくなりつつある。
そんな了に勝とうと思うなら、何かしらの技術で上に行かなければならない。
しかし、大橋も棒術の技術が高いが、了を相手にするとなると魔力操作技術がやや劣っている。
魔力使用禁止での勝負なら分からないが、対抗戦ルールの戦いなら了が勝つと伸は予想していた。
「ま、参った」
首先に突き付けられた了の木刀。
完全に勝敗が決定し、大橋は悔しそうに降参の声を上げる。
『魔力操作がもう少し上がればな……』
この一年相当努力したのだろう。
大橋の棒術能力は、去年と比較してかなり上がっていた。
了の剣術と大橋の棒術はほぼ互角で、勝敗を決めたのは魔力操作技術の差だった。
武術で同格でも、魔力操作能力の差で大橋の魔力の方が減りが速い。
その差がジワジワと出て、了の方に勝利が転がって行ったといったところだ。
もしも、大橋の魔力操作技術がもう少し高かったら、了が勝てるか微妙なことになっていただろう。
『俺が身体操作してやれば確実なんだろうけど……』
綾愛や了がそうだったように、伸の魔力による身体操作を受けると、副作用として魔力操作能力が向上する。
その身体操作をすれば、大橋が了より上に行くことも不可能ではないはずだ。
『まぁ、あいつが柊家関連の企業に入ったら考えるか……』
長男の文康のことで急落しているが、鷹藤家関連の企業には優秀な魔闘師が多く在籍しているため、時間はかかるだろうが、そのうち名声を取り戻すだろう。
その時までに、柊家の名をもっと上げておきたい。
そのためには、優秀な魔闘師を引き入るべきだ。
綾愛・奈津希・了という強力な3人がいたことで対抗戦の本選に出場できないでいたが、大橋はかなり有望株だ。
1年の時に少し揉めたが、今では特に大橋のことは何とも思っていないため、大橋をこのまま放っておくのはもったいない気がする。
しかし、大橋の進路がまだ分かっていないため、とりあえず柊家関連の企業に入社するようなら考えることにした。
「……まぁ、そうなるよな」
「勝者、柊!」
もう一つの校内選抜の準決勝戦。
トーナメントの都合上、綾愛と奈津希の戦いになった。
幼馴染の友人同士で試合なんて、いくらトーナメントとはいっても両者ともやりづらいことだろう。
そんな考えをしていた伸だったが、2人とも覚悟をしていたのか最初から本気の勝負を繰り広げ、勝ったのは綾愛だった。
短刀サイズの木刀の2刀流で、手数で押すスタイルの奈津希。
その回転の速い連続攻撃を、綾愛は木刀で弾き・躱し、すべての面で一段上という実力を見せて勝利した。
やはり、伸の身体操作による魔力操作能力上昇が、綾愛の元々あった才能を伸ばしたのかもしれない。
はっきり言って、同年代で綾愛に勝てる人間はいないのではないかと伸は思っている。
もちろん自分を除いてだが。
そのため、この結果には納得といった感じだ。
「大橋君もかなり強いけど、奈津希が勝つよね?」
綾愛と了の決勝戦を始める前、3位決定戦が開始される。
この試合に勝利すれば対抗戦の本選に出場できることになるため、奈津希も大橋も気合入っている。
そんな奈津希を選手入場口の通路から眺める綾愛は、心配そうに伸に問いかける。
「杉山ならたぶん勝てるだろう」
試合に絶対はないとはいえ、奈津希は了と互角くらいの実力だと思っている。
武器の相性を考えると大橋が距離を取って戦うだろうが、奈津希が自慢の速度でかき回し、最終的には奈津希が勝つのではないかと伸は自分の考えを綾愛に告げた。
「……くっ! 参った」
「勝者、杉山!」
試合は伸の予想通りの展開になった。
開始早々距離を取る大橋を奈津希が追う展開になり、その速度に追いつかなくなった大橋の懐に入った奈津希の短い木刀が首筋に添えられて試合終了といった具合だ。
「やった!!」
奈津希の勝利に、綾愛は大喜びする。
去年に続き、これで一緒に対抗戦に出場できるからだ。
「すいません。ちょっといいですか?」
「んっ? どうした杉山……」
3位が決まり、次は決勝戦という空気に会場がなる前、奈津希が審判役の三門に話しかける。
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「対抗戦出場権をかけて、新田君と勝負させてください!」
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