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3学年 後期
第255話
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『クッ!! まさかここで使ってくるなんて……』
一瞬にして自分の背後に移動したオレガリオ。
そのオレガリオが振り下ろす刀が迫る中、俊夫は自分の失策に歯噛みしていた。
『ここで転移か……』
どうして忘れていたのか。
オレガリオが転移魔術の使い手だということを……。
転移魔術のような高等魔術は、かなりの集中力を必要とするはず。
戦闘に使用するとなると、タイミングを一歩間違えれば死に直結する。
そんなリスクを負ってまで、戦闘時に使用するなんて常軌を逸していると言わざるを得ない。
その考えから、オレガリオが転移魔術を使用してくるなんて頭から抜けていたことで、このような結果になってしまった。
魔人も人間と同じ考えで行動すると、決めつけていたのが失敗だ。
死ぬ可能性もある方法でパワーアップを計るような、平気で自分の命を賭けに使用する生物だと、頭の片隅に入れておくべきだった。
これで自分は殺される。
そう思っているからこそ、俊夫の頭の中で色々な考えが高速回転していた。
「ガッ!?」
「っっっ!?」
オレガリオの刀が俊夫には届かなかった。
届く前に、オレガリオが吹き飛んだからだ。
吹き飛んだオレガリオだけでなく、俊夫も何が起きたのか分からず、驚きの表情を浮かべた。
「フンッ!! 私もいること忘れてるんじゃないわよ!!」
オレガリオがh期跳んだ理由。
それは、綾愛の放った火球の魔術が直撃したからだ。
父の窮地を防ぐことに成功した綾愛は、ドヤ顔でオレガリオに文句を言った。
「おのれ! 小娘っ!?」
「あ、綾愛!?」
綾愛のことを眼中に入れていなかった上に、転移魔術を使用して俊夫を葬り去る事ばかりに集中していた。
そのため、まさか攻撃を合わせてくるとは思いもしなかった。
父の俊夫ですら、オレガリオの考えを読み解くことに集中していたためか、綾愛のことを忘れていたくらいだ。
「あんたたち魔人はどこか狂った思考をしている。だから、私は危険を冒しても戦闘に転移魔術を使用してくる可能性を排除していなかったのよ! 成功すれば、お父さんに致命傷を与えられるものね?」
オレガリオがカウンターの構えを取った時、綾愛は何をしてくるのか様々な可能性を頭に浮かべた。
自分は遠距離で援護することしかできない。
だからこそ、父が思いつかないことまで気が付かなければならない。
頭を使っての援護も自分の役割だ。
そう考えていたからこそ、転移魔術を使用してのカウンター攻撃の可能性があることを斬り捨てなかったのだ。
一番最悪な可能性を考えていたことにより、オレガリオのたくらみを阻止することに成功できた。
自分の考えが父の役に立てたことが嬉しいためか、少し興奮気味だ。
「くっ! まさか娘の方に気付かれていたとは……」
俊夫の反応から、彼は転移魔術のことに思い至らなかった。
洞察力の高い俊夫だからこそ、転移魔術を戦闘に使用するときのリスクを理解していたからだろう。
だからこそ、この一撃に掛けたというのに、まさかパワーアップの時同様失敗に終わるなんて思いもしなかった。
俊夫を騙すことができれば勝てると思っていたが、その娘の方も洞察力が高い可能性があるかもしれないということを少しも疑わなかった。
「どうやら、疲労の色が見えるな。それもそうか、またも賭けに失敗して精神的疲労が一気に押し寄せて来たのだろう?」
「……チッ!」
オレガリオは、先程よりも汗を掻いている。
その様子から、俊夫はオレガリオが綾愛の攻撃によるダメージだけでなく、疲労していることに気付く。
徹底的に集中し、死の危険を冒してまでおこなったカウンター攻撃。
転移魔術を使用する時、遠距離よりも近距離の方が移動先に余計なイメージが入ってくるためかなりの集中力を必要とするのに、それが失敗してしまったのだ。
精神的疲労はとんでもない。
カウンター攻撃を阻止した綾愛といい、疲労のことを指摘した俊夫といい、こちらにとって嫌な事にばかり気が付く親子だ。
不愉快に思ったオレガリオは、怒りの表情で舌打ちをするしかなかった。
「休ませない! 行くぞ!」
「うんっ!」
綾愛の火球が直撃したダメージと精神的疲労により、オレガリオの動きは鈍くなったはず。
休ませて回復されてはまた何をしてくるか分からないため、俊夫は攻撃をおこなうことを決意した。
そして、綾愛に声をかけてオレガリオへと向かって斬りかかって行った。
「フンッ!!」
「グッ!!」
接近と共に上段から振り下ろされた俊夫の攻撃を、オレガリオは刀で受け止める。
ダメージ・疲労のどちらによるものかは分からないが、オレガリオの動きが鈍くなっている。
「ハッ!!」
「くっ!!」
俊夫の攻撃を止めたことで動きが止まったオレガリオに向かって、綾愛がまたも火球魔術で攻撃をする。
少し前までなら気にしていなかった綾愛の攻撃だが、今は無視できなくなったらしく、オレガリオは必死に俊夫から距離を取ることで綾愛の攻撃を回避することに成功した。
「ハァ、ハァ、おのれっ!!」
休む間もない俊夫と綾愛の攻撃により更に疲労が増したオレガリオは、息を切らして悔しそうに声を漏らした。
一瞬にして自分の背後に移動したオレガリオ。
そのオレガリオが振り下ろす刀が迫る中、俊夫は自分の失策に歯噛みしていた。
『ここで転移か……』
どうして忘れていたのか。
オレガリオが転移魔術の使い手だということを……。
転移魔術のような高等魔術は、かなりの集中力を必要とするはず。
戦闘に使用するとなると、タイミングを一歩間違えれば死に直結する。
そんなリスクを負ってまで、戦闘時に使用するなんて常軌を逸していると言わざるを得ない。
その考えから、オレガリオが転移魔術を使用してくるなんて頭から抜けていたことで、このような結果になってしまった。
魔人も人間と同じ考えで行動すると、決めつけていたのが失敗だ。
死ぬ可能性もある方法でパワーアップを計るような、平気で自分の命を賭けに使用する生物だと、頭の片隅に入れておくべきだった。
これで自分は殺される。
そう思っているからこそ、俊夫の頭の中で色々な考えが高速回転していた。
「ガッ!?」
「っっっ!?」
オレガリオの刀が俊夫には届かなかった。
届く前に、オレガリオが吹き飛んだからだ。
吹き飛んだオレガリオだけでなく、俊夫も何が起きたのか分からず、驚きの表情を浮かべた。
「フンッ!! 私もいること忘れてるんじゃないわよ!!」
オレガリオがh期跳んだ理由。
それは、綾愛の放った火球の魔術が直撃したからだ。
父の窮地を防ぐことに成功した綾愛は、ドヤ顔でオレガリオに文句を言った。
「おのれ! 小娘っ!?」
「あ、綾愛!?」
綾愛のことを眼中に入れていなかった上に、転移魔術を使用して俊夫を葬り去る事ばかりに集中していた。
そのため、まさか攻撃を合わせてくるとは思いもしなかった。
父の俊夫ですら、オレガリオの考えを読み解くことに集中していたためか、綾愛のことを忘れていたくらいだ。
「あんたたち魔人はどこか狂った思考をしている。だから、私は危険を冒しても戦闘に転移魔術を使用してくる可能性を排除していなかったのよ! 成功すれば、お父さんに致命傷を与えられるものね?」
オレガリオがカウンターの構えを取った時、綾愛は何をしてくるのか様々な可能性を頭に浮かべた。
自分は遠距離で援護することしかできない。
だからこそ、父が思いつかないことまで気が付かなければならない。
頭を使っての援護も自分の役割だ。
そう考えていたからこそ、転移魔術を使用してのカウンター攻撃の可能性があることを斬り捨てなかったのだ。
一番最悪な可能性を考えていたことにより、オレガリオのたくらみを阻止することに成功できた。
自分の考えが父の役に立てたことが嬉しいためか、少し興奮気味だ。
「くっ! まさか娘の方に気付かれていたとは……」
俊夫の反応から、彼は転移魔術のことに思い至らなかった。
洞察力の高い俊夫だからこそ、転移魔術を戦闘に使用するときのリスクを理解していたからだろう。
だからこそ、この一撃に掛けたというのに、まさかパワーアップの時同様失敗に終わるなんて思いもしなかった。
俊夫を騙すことができれば勝てると思っていたが、その娘の方も洞察力が高い可能性があるかもしれないということを少しも疑わなかった。
「どうやら、疲労の色が見えるな。それもそうか、またも賭けに失敗して精神的疲労が一気に押し寄せて来たのだろう?」
「……チッ!」
オレガリオは、先程よりも汗を掻いている。
その様子から、俊夫はオレガリオが綾愛の攻撃によるダメージだけでなく、疲労していることに気付く。
徹底的に集中し、死の危険を冒してまでおこなったカウンター攻撃。
転移魔術を使用する時、遠距離よりも近距離の方が移動先に余計なイメージが入ってくるためかなりの集中力を必要とするのに、それが失敗してしまったのだ。
精神的疲労はとんでもない。
カウンター攻撃を阻止した綾愛といい、疲労のことを指摘した俊夫といい、こちらにとって嫌な事にばかり気が付く親子だ。
不愉快に思ったオレガリオは、怒りの表情で舌打ちをするしかなかった。
「休ませない! 行くぞ!」
「うんっ!」
綾愛の火球が直撃したダメージと精神的疲労により、オレガリオの動きは鈍くなったはず。
休ませて回復されてはまた何をしてくるか分からないため、俊夫は攻撃をおこなうことを決意した。
そして、綾愛に声をかけてオレガリオへと向かって斬りかかって行った。
「フンッ!!」
「グッ!!」
接近と共に上段から振り下ろされた俊夫の攻撃を、オレガリオは刀で受け止める。
ダメージ・疲労のどちらによるものかは分からないが、オレガリオの動きが鈍くなっている。
「ハッ!!」
「くっ!!」
俊夫の攻撃を止めたことで動きが止まったオレガリオに向かって、綾愛がまたも火球魔術で攻撃をする。
少し前までなら気にしていなかった綾愛の攻撃だが、今は無視できなくなったらしく、オレガリオは必死に俊夫から距離を取ることで綾愛の攻撃を回避することに成功した。
「ハァ、ハァ、おのれっ!!」
休む間もない俊夫と綾愛の攻撃により更に疲労が増したオレガリオは、息を切らして悔しそうに声を漏らした。
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