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第四章:うちは自給自足で商売します。

新たな商売。

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「残念ながら出来た試しがありません、今までずっと旅をしていて恋愛とは無縁の生活でしたから」

 やったぞアーシェ、リグレットはフリーだ!

「じゃあリグレット、お前どんな女子がタイプだ?」

「タイプなんて無いですよ、今まで女の子とか好きになったこと無いし」

 マジでか!?それでも男かよ?
 いや、まだだ、まだ終わらんよ!

「強いて言うなら、強いて言うならどんな子が好きだ?」

「強いてですか?まあ・・・割と抜けてる子が好きかも、守ってあげたくなる」

 アーシェ、これ脈があるんじゃねぇ?

「じゃあ今度俺が良い子紹介してやるよ」

 さっきまで困惑気味だったリグレットの顔が急に真面目になる。

「結構です」

 え?

「私はまだまだ未熟な身、恋愛にうつつを抜かしてる暇などありません。私はゲンさんのように強くなりたい」

 だけど16って言ったらもう結婚して良い時期だろ?少なくともこの世界の結婚平均年齢は十代半ば、20過ぎてまだ結婚してないと行き遅れと言われるほどである。

 リグレットの奴、意外と堅物かも・・・

「いいかリグレット、人生の先輩として一つ忠告するが俺のような仕事一筋の人間にはなっちゃいけねぇよ。幸せは掴めるときに掴んどけ」

「そう言うゲンさんは結婚したいんですか?」

 おっと思わぬ逆襲が来た。
 ちょっとその辺の話はしたくないんだがなぁ・・・

「まあこんななりだし、モテた試しがなくてねぇ」

 とりあえず嘘をつく。

「私はゲンさんのような人、男らしくて好きですよ」

 いや、男に好かれても嬉しくねぇよ!

「世事はいいから!さっき抜けてる奴がタイプって言ってただろ?」

 リグレットは噴き出すように笑う。

 なんだ、まさかこの俺が抜けてるって言うのか?

「なんなら私の知人を紹介しましょう。もちろんゲンさんが私に稽古けいこをつけると言う条件付きで」

 なぬ!見合いだと?これは思わぬ展開だ。だがこれはチャンスでもある。合コンならばアーシェも気兼ねなくリグレットに話しかけられるだろう。

「良し乗った!だが一対一はちょっと恥ずかしい。三対三の合コンとしゃれこもうじゃないか?」

「ごうこん?」

 あ、この世界の人間には通じない言葉だったか。

「合コンとは複数のお見合いを一つの席で同時にやる、言わば混合パーティだ。それをこの店で開催する、費用は全て男持ち、参加者は俺、アーシェ、リグレット、それとその知人」

「私もですか?」

 当然だ。



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