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第三章 御伽ヒロイック学院
ラノベ科の授業
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今日のラノベ主人公科はいつもと少し違った。皆、緊張した面持ちでそわそわしている。
男は跳ねた髪をクシで頻りに整えた。
いくさは後ろに座る彼に声をかける。
「ハイウェーブ髪いじり過ぎ、そんなんじゃ癖っ気直らないよ」
「いやいや、これわざと跳ねさせてるから。こういうヘアスタイルだから朏さん」
「それにしても今日に限ってどうしてそんな気合入れるかなぁ」
「ハイフェーブ無駄だって」
二人の会話に翔が割り込む。
「魔法少女科との合同授業でカッコつけたいのは分かるけど、ハイウェーブの場合まず顔からセットしないとだめだから」
「そうだよなぁ、俺みたいな不細工いくらお洒落したってキモいだけだもんなぁ・・・」
高波涼太、通称ハイウェーブ。顔立ちは中性的で言うほど不細工ではない。服装にも気を使い、ラノベ主人公科の中ではお洒落な方と言って良いだろう。
しかし彼は物凄くネガティブだった。その心はガラス細工のようにもろい。しかも一度砕けるとなかなか戻らないのがまた厄介。
彼は見るからに落ち込んだ。
いくさは翔を睨む。
「自分の事棚に上げてよく言うよ。そう言う事は鏡見てから言ってよね翔」
「朏さん!それどういう事!?」
いくさは翔にそっぽを向いた。
そこへ正義がやって来る。
「お前等席に着けぇ~」
そのやる気無い声に翔はそつがなく応じる。
正義は困惑した。男の指示にはめっぽう億劫な連中が今日に限って気持ち悪いくらい素直だ。目を輝かせる男達を前に正義は職員会議の内容をつい忘れてしまう。
「お前等、そんなに魔法少女科との合同授業が楽しみなのか?」
男一同口を揃えて言う。
「はい!」
「たく・・・女なら朏がいるだろ?」
「確かに朏さんの太腿にはそそられます」
「はぁっ!?何言ってんの京ちゃん?」
いくさは恥ずかしげに上着を下ろした。
京ちゃんと呼ばれる丸眼鏡に顎鬚を生やした秋葉系男子はさらに言葉を続ける。その瞳からは涙があふれた。
「しかし先生、それでも俺は・・・幼い女の子に興味があるんです!!」
「岡本おぉ!!犯罪者予備軍は今すぐ帰れ!」
正義は涙ぐむ生徒を激しく叱咤した。
※
それから彼等は魔法少女のクラスへと移動する。
「ようこそ魔法少女科へ」
笑顔で出迎える都留岐。彼女に導かれ、男達は女の園へ足を踏み入れた。
ラノベ主人公科と大して変わらない間取り。だがその空気はまるで違う。壁に貼られた掲示物には可愛らしいイラストが描かれ、手作り感あふれる飾りや文字の丸みには女性らしさを感じる。
男達は大きく深呼吸した。
「それでは授業を始めます」
都留岐はホワイトボードに今日のテーマを書くとそれを激しく叩く。
「今日のテーマはカリスマです!
ラノベ主人公に最も必要な能力、それは女性を引き付ける魅力です。身体能力・パワー・能力評価・才能・カリスマ性・主人公補正の六評価の内、カリスマ性は最もいらない能力と思われがちですが例えば熊田君、カリスマ性が高いとどんなメリットがありますか?」
都留岐がペンで指すと、小太りのおっさんが答えた。
「女の子にモテる!」
「違います!」
「例えばとんでもなく強い敵がいて、とてもじゃないけど勝てない。でもその敵がもし仲間になったら頼もしいと思いませんか?他者を魅了し、従わせる能力。それがカリスマなのです」
「今日ラノベ主人公科の皆には異性を口説いてカリスマ性を磨いてもらいます。処女であろう魔法少女科の皆は男に対して耐性を養って下さい」
“くっだらねぇ~・・・”と思いながら正義は授業を傍観した。
要するにこれは授業と言う名の冠を模した合コン。口説き落とせば男の勝ち、耐え切れば女の勝ち。カリスマを磨くとか、男に対する耐性を養うとか全て後付の口実である。そもそも女口説いてカリスマ性が上がる訳ない。こういう羨ましい授業をして生徒を集めるのが今のオトヒロの実態。半分詐欺のような授業に正義は今一つやる気を出せずにいた。
正義が怠けて教卓の椅子に座ろうとすると思いきり尻餅をつく。大きな音を立てて床が揺れた。
椅子が移動している?・・・。
正義は再び敵意を感じ取る。職員室のと同じものである。あの場にいてこの場にもいる人物と言ったら都留岐しかいない。
魔法を使って悪戯したのか?だが都留岐の性格を考えるとそんな事するようには思えない。都留岐以外の誰かがやっている。そしてそれは今も正義の事を狙っている。
魔法少女科の生徒が正義の無様な姿を見てクスクス笑った。
起き上がろうとすると手に何かが触れる。
ダックスフンドの縫いぐるみ。
正義はそれを机に置き椅子に座り直した。
男は跳ねた髪をクシで頻りに整えた。
いくさは後ろに座る彼に声をかける。
「ハイウェーブ髪いじり過ぎ、そんなんじゃ癖っ気直らないよ」
「いやいや、これわざと跳ねさせてるから。こういうヘアスタイルだから朏さん」
「それにしても今日に限ってどうしてそんな気合入れるかなぁ」
「ハイフェーブ無駄だって」
二人の会話に翔が割り込む。
「魔法少女科との合同授業でカッコつけたいのは分かるけど、ハイウェーブの場合まず顔からセットしないとだめだから」
「そうだよなぁ、俺みたいな不細工いくらお洒落したってキモいだけだもんなぁ・・・」
高波涼太、通称ハイウェーブ。顔立ちは中性的で言うほど不細工ではない。服装にも気を使い、ラノベ主人公科の中ではお洒落な方と言って良いだろう。
しかし彼は物凄くネガティブだった。その心はガラス細工のようにもろい。しかも一度砕けるとなかなか戻らないのがまた厄介。
彼は見るからに落ち込んだ。
いくさは翔を睨む。
「自分の事棚に上げてよく言うよ。そう言う事は鏡見てから言ってよね翔」
「朏さん!それどういう事!?」
いくさは翔にそっぽを向いた。
そこへ正義がやって来る。
「お前等席に着けぇ~」
そのやる気無い声に翔はそつがなく応じる。
正義は困惑した。男の指示にはめっぽう億劫な連中が今日に限って気持ち悪いくらい素直だ。目を輝かせる男達を前に正義は職員会議の内容をつい忘れてしまう。
「お前等、そんなに魔法少女科との合同授業が楽しみなのか?」
男一同口を揃えて言う。
「はい!」
「たく・・・女なら朏がいるだろ?」
「確かに朏さんの太腿にはそそられます」
「はぁっ!?何言ってんの京ちゃん?」
いくさは恥ずかしげに上着を下ろした。
京ちゃんと呼ばれる丸眼鏡に顎鬚を生やした秋葉系男子はさらに言葉を続ける。その瞳からは涙があふれた。
「しかし先生、それでも俺は・・・幼い女の子に興味があるんです!!」
「岡本おぉ!!犯罪者予備軍は今すぐ帰れ!」
正義は涙ぐむ生徒を激しく叱咤した。
※
それから彼等は魔法少女のクラスへと移動する。
「ようこそ魔法少女科へ」
笑顔で出迎える都留岐。彼女に導かれ、男達は女の園へ足を踏み入れた。
ラノベ主人公科と大して変わらない間取り。だがその空気はまるで違う。壁に貼られた掲示物には可愛らしいイラストが描かれ、手作り感あふれる飾りや文字の丸みには女性らしさを感じる。
男達は大きく深呼吸した。
「それでは授業を始めます」
都留岐はホワイトボードに今日のテーマを書くとそれを激しく叩く。
「今日のテーマはカリスマです!
ラノベ主人公に最も必要な能力、それは女性を引き付ける魅力です。身体能力・パワー・能力評価・才能・カリスマ性・主人公補正の六評価の内、カリスマ性は最もいらない能力と思われがちですが例えば熊田君、カリスマ性が高いとどんなメリットがありますか?」
都留岐がペンで指すと、小太りのおっさんが答えた。
「女の子にモテる!」
「違います!」
「例えばとんでもなく強い敵がいて、とてもじゃないけど勝てない。でもその敵がもし仲間になったら頼もしいと思いませんか?他者を魅了し、従わせる能力。それがカリスマなのです」
「今日ラノベ主人公科の皆には異性を口説いてカリスマ性を磨いてもらいます。処女であろう魔法少女科の皆は男に対して耐性を養って下さい」
“くっだらねぇ~・・・”と思いながら正義は授業を傍観した。
要するにこれは授業と言う名の冠を模した合コン。口説き落とせば男の勝ち、耐え切れば女の勝ち。カリスマを磨くとか、男に対する耐性を養うとか全て後付の口実である。そもそも女口説いてカリスマ性が上がる訳ない。こういう羨ましい授業をして生徒を集めるのが今のオトヒロの実態。半分詐欺のような授業に正義は今一つやる気を出せずにいた。
正義が怠けて教卓の椅子に座ろうとすると思いきり尻餅をつく。大きな音を立てて床が揺れた。
椅子が移動している?・・・。
正義は再び敵意を感じ取る。職員室のと同じものである。あの場にいてこの場にもいる人物と言ったら都留岐しかいない。
魔法を使って悪戯したのか?だが都留岐の性格を考えるとそんな事するようには思えない。都留岐以外の誰かがやっている。そしてそれは今も正義の事を狙っている。
魔法少女科の生徒が正義の無様な姿を見てクスクス笑った。
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