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第三章 御伽ヒロイック学院
魔法少女科と合同授業
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魔法少女科の生徒は全部で五人。その中でも可愛い子と言ったら今朝会ったピンク娘、愛くらいである。あとはハズレ感が漂う。
「それでは皆ペアを組んで下さい」
都留岐の合図で男達が一斉に愛に群がった。
「おい、お前等!ペア組めって言ったろ!」
「糾先生。言っちゃ悪いんすけど可愛い子相手じゃないと本気でないっすよ」
男性一同が翔にうなずく。
「お前等なぁ・・・」
気持ちは分かる。いかにも純情そうな愛を除くと、先程の性格悪いみなみ。小学生に見間違えるほど小柄でウェーブのかかった髪に大きめのオーバーコートから細い素足を伸ばす青。長手袋とエナメルブーツ、体に張り付くノースリーブのニットワンピースからそのグラマスなスタイルが一目で分かる黄。全身を黒一色にまとめたチュニックにレギンス姿の眼鏡の陰険そうな紫。
どの子も素材は悪くないがいかんせん玉に瑕だらけ。正義も生徒の立場なら無難な愛を選んでしまう。
「これでは話になりませんね・・・」
愛が手を上げる。
「都留岐先生、私達も選びたいです!」
「では女子に選んでもらいましょう」
女性陣は一斉にいくさの前に群がった。
「あのぉ・・・皆?」
「つ~るぎ先生。そもそもわたし達ぃ~、あんな人類の吹き出物みたいな連中とペア組む気ありませんからぁ~」
女子一同が青い子に頷く。
「ていうか都留岐先生、私女なんですけど女同士でペア組まなきゃいけないんですか?」
紫の子が小声でいくさに問う。
「もしかしていくささん・・・私達とペア組むの・・・嫌なの?」
「女を口説く趣味は無いよ」
「では朏さんは糾先生とペアを組んで下さい」
「はっ!?何で!」
思わず二人は口を揃えた。
「仕方ないじゃないですか。ラノベ主人公科は6人、魔法少女科は5人、生徒だけでは頭数が足りないんですから」
「無理無理無理無理、絶対無理!こんなオッサンに口説かれたら鳥肌立つ」
「口説くのは朏さんの方ですよ」
「もっと無理!!」
「では女の子同士でもいいと?」
「・・・仕方ない」
いくさが肩を落とすと魔法少女達はハイタッチして喜んだ。
「だけど都留岐先生、この調子だとペア組むだけで今日の授業終るぞ?」
「ではくじ引きで決めましょう」
都留岐は紙を切り、一から七の数字を振って右手に握りしめる。
「今からこれを魔法少女科の皆が出席番号順に引きます。そして書かれた番号と同じ出席番号の男子とペアを組む。これなら公平ですよね?」
「では魔法少女科の一番からくじを引いて下さい。あと簡単な自己紹介もお願いします」
黄色の子が前に出た。
「魔法少女科出席番号第一番、竹井未希です」
彼女が魔法少女科のエース。
オトヒロでは成績の優劣で出席番号の順番を決める。即ち出席番号第一番とはそのクラスで最優を意味する。講師ですら強さで威厳を誇示するような歪んだ体制。オトヒロの闇は生徒にも深く根付いていた。
正義は竹さんをなじる様に見る。
一番を張るにしては華奢だしどんくさそう。とても強いようには思えない。だがそこは魔法少女、どんな能力を持っているか見た目で判断するのは難しい。
底知れぬ実力にもどかしさを感じつつ、正義は机にひじをつく。
「ところでいくささんは出席番号何番かしら?」
「七番・・・」
「そう、なら七番引けば良いのね」
「竹さんまでいくささん狙ってるの?意外だなぁー、あんまそういうの興味なさそうなんだけど」
「本当は誰でも良いのよ、ただ皆狙ってるから私が当てたら面白いかなと思って」
「うっわ・・・性格悪っるぅ~」
「さやか、あんたが言うなよ」
竹さんは都留岐の手からくじを引いた。
手を合わせ必死に祈る京ちゃん。
「当てられませんように当てられませんように当てられませんように・・・」
「京ちゃん、あの子そこまで悪くないだろ?スタイルもなかなかのもんだぜ?逆に本命外して残りの三人に当たった時の方が悲惨だろ」
「クマさん、俺幼女にしか奴興味ないんで。お姉さんにはあんま興奮しないんです」
「幼女なんていないだろ、あの青い子だって実際いくつか分かったもんじゃない」
「いや、あれどっからどう見ても小学生っすよ。もう抱きしめてちゅっちゅしたぁ~い!」
京ちゃんは両腕で自分の肩を抱えると、左右に体を揺らす。
青い子は身震いした。
竹さんはくじを男達に見せる。
「あら残念、一番だわ」
くじを掲げ、素気なく微笑む竹さん。
番号を見てラノベ主人公科の男達は一斉に雄叫びを上げた。
「うおぉぉぉ、ラノベ科と魔法少女科の一番対決うぅぅ!」
「ノブさんやったじゃないっすか、もの凄くグラマスな女の子っすよ」
眼鏡の長身の男が立ち上がる。いかにも真面目そうな男、ノブさん。
皆がチャカす中、彼は一歩前へ出て小さく会釈した。
「ラノベ主人公科出席番号第一番、高梨伸男です。よろしくお願いします」
竹さんもつられて会釈する。
正義は手を叩いた。
「はい!次。たかがくじにどんだけ時間かける気だ?後がつかえてんだから早くしろ」
「じゃあ出席番号第二番、片倉愛、いっきま~す☆」
本命の登場に男達のテンションはさらに上がる。教室全体がむさ苦しい熱気に包まれた。
「来たあぁぁぁ!!」
「あの子二番だったのか」
「ここで外したら後はもうハズレしかない」
「お願いだから四番引いてくれぇ~」
「ハイウェーブは無理だよ。ここはたぶん一番主人公補正の高い京ちゃんかクマさんが選ばれるんじゃね?」
愛が都留岐の手からくじを引く。
男達はかたずを飲んでそれを見守った。
「残念・・・五番」
しょぼくれる愛。
「愛ついてないわね、あんなオークとペアだなんて」
「オーク!?」
女子の心無い言葉、クマさんは石膏のように固まった。
翔は羨ましそうにそんなクマさんの肩を揺する。
「クマさん大本命じゃないっすか、超羨ましいんすけど」
「オーク・・・」
ハイウェーブは地に膝をつき嘆く。
「絶望的だ、死のう・・・」
「ハイウェーブ絶望するの早えぇよ、まだ希望は残ってるぜ!」
「出席番号第三番・・・松木陽子です。よろしくお願いします」
紫の子の登場に男達のテンションは地に落ちた。教室内が一気に冷え込む。
「松っちゃん頑張れぇ~」
「七番七番七番七番・・・」
女性陣が見守る中、禍々しいオーラを発しながら少女は念仏を唱えるように七番と連呼する。
「松木さん、早く引いて下さい」
都留岐にうながされ渋々くじを引く松っちゃん、番号を見るやいなや床に手を付いた。
クラスが静まる。
「四番・・・」
絶望に打ちひしぐ眼鏡の少女。
ハイウェーブは白目をむいて倒れた。
「ハイウェーブ逝ったぁぁぁぁ!」
京ちゃんは喜びに声を上げ、いくさにハイタッチする。
いくさはそれを避けた。
「ちょっと触んないでくんない」
空を切る京ちゃんの手。彼は寂しげにその手を見つめると、ハイタッチなどはなから無かったかのように前を向く。
「これでハズレが一つ消えた、後はあのデカいのが消えれば!」
「京ちゃん小学生狙ってるなら譲るよ、俺あの赤い子でいいや」
「男子勝手な事言ってんじゃないわよ、出席番号第四番日野みなみっ!」
みなみは手早く自己紹介を済ませて都留岐からくじを奪った。番号を見て少し浮かない顔をする。
一体何番を引いたのか?まるで受験合格を祈るように翔と京ちゃんは手を合わせた。
七番の番号を見せるみなみ。
「よし!」と京ちゃんは小さくガッツポーズする。
青い子が奇声を上げた。
「はあぁぁ!?信じらんなぁ~い。メスゴリラにはあの人モドキ達がお似合いよ」
「誰がメスゴリラよロリガッパ!」
「相変わらず二人は仲良しだなぁ」
「仲良くない!」
二人は愛を叩きつける。
残るは一人、ウェーブのかかった長い髪に青いケープコートの小学生。ハズレ中のハズレだが、ここで外せば女の子とすらペアを組めない。翔はハズレに全てをかける。
一方京ちゃんにとっては愛に次ぐ大本命。心の中で勝利に酔いしれる。なぜなら翔の主人公補正はEマイナス、対して自分はC。運負けする筈がない。
「出席番号第五番、水上さやか、ハズレくじ引きま~す」
彼女がくじを引く。
心臓の鼓動が時を刻んだ。
二人にはその動きがコマ送りのように見えた。それは達人だけが到達する境地、とてつもない集中力が生み出す超世界。
風は静まり、音は消える。
水の流れは止まり、飛沫が空気中で水玉となって固まる。
世界は時に置き去りにされた。
「六番・・・」
時が・・・元に戻る。
「やったぁぁぁ!!」
翔は手を天にかかげ喜びに打ち震えた。
京ちゃんは真っ白に染まる。
ずっと楽しみにしていた魔法少女科との合同授業。ただこの日のためだけに辛い授業に耐えてきた。しかし結果はどうだ?たった六分の一のハズレ・・・それを見事に引いてしまう。
京ちゃんはただ黙って涙を流す。
正義は彼を哀れんだ。
「岡本・・・まぁそう気を落とすな。生きてりゃこの先良い事もある」
京ちゃんの眼鏡が涙で曇る。
「先生・・・俺は一体誰と組めば良いんですか?」
都留岐は正義を見た。
「やっぱオレか?男に告られるような趣味は無いんだが」
「俺だってやですよぉー!男を口説くなんて」
「そりゃそうだ、だけど仕方ないだろ?」
都留岐は最後に残ったくじを見る。そして京ちゃんにそれを見せた。
「ならこうしましょう。魔法少女科担任講師、都留岐社。岡本君とペアを組みます」
「ちょっと待てぇい!!」
男達は計ったように同じ言葉を吐き捨てる。
その日、皆の心は一つになった。
「それでは皆ペアを組んで下さい」
都留岐の合図で男達が一斉に愛に群がった。
「おい、お前等!ペア組めって言ったろ!」
「糾先生。言っちゃ悪いんすけど可愛い子相手じゃないと本気でないっすよ」
男性一同が翔にうなずく。
「お前等なぁ・・・」
気持ちは分かる。いかにも純情そうな愛を除くと、先程の性格悪いみなみ。小学生に見間違えるほど小柄でウェーブのかかった髪に大きめのオーバーコートから細い素足を伸ばす青。長手袋とエナメルブーツ、体に張り付くノースリーブのニットワンピースからそのグラマスなスタイルが一目で分かる黄。全身を黒一色にまとめたチュニックにレギンス姿の眼鏡の陰険そうな紫。
どの子も素材は悪くないがいかんせん玉に瑕だらけ。正義も生徒の立場なら無難な愛を選んでしまう。
「これでは話になりませんね・・・」
愛が手を上げる。
「都留岐先生、私達も選びたいです!」
「では女子に選んでもらいましょう」
女性陣は一斉にいくさの前に群がった。
「あのぉ・・・皆?」
「つ~るぎ先生。そもそもわたし達ぃ~、あんな人類の吹き出物みたいな連中とペア組む気ありませんからぁ~」
女子一同が青い子に頷く。
「ていうか都留岐先生、私女なんですけど女同士でペア組まなきゃいけないんですか?」
紫の子が小声でいくさに問う。
「もしかしていくささん・・・私達とペア組むの・・・嫌なの?」
「女を口説く趣味は無いよ」
「では朏さんは糾先生とペアを組んで下さい」
「はっ!?何で!」
思わず二人は口を揃えた。
「仕方ないじゃないですか。ラノベ主人公科は6人、魔法少女科は5人、生徒だけでは頭数が足りないんですから」
「無理無理無理無理、絶対無理!こんなオッサンに口説かれたら鳥肌立つ」
「口説くのは朏さんの方ですよ」
「もっと無理!!」
「では女の子同士でもいいと?」
「・・・仕方ない」
いくさが肩を落とすと魔法少女達はハイタッチして喜んだ。
「だけど都留岐先生、この調子だとペア組むだけで今日の授業終るぞ?」
「ではくじ引きで決めましょう」
都留岐は紙を切り、一から七の数字を振って右手に握りしめる。
「今からこれを魔法少女科の皆が出席番号順に引きます。そして書かれた番号と同じ出席番号の男子とペアを組む。これなら公平ですよね?」
「では魔法少女科の一番からくじを引いて下さい。あと簡単な自己紹介もお願いします」
黄色の子が前に出た。
「魔法少女科出席番号第一番、竹井未希です」
彼女が魔法少女科のエース。
オトヒロでは成績の優劣で出席番号の順番を決める。即ち出席番号第一番とはそのクラスで最優を意味する。講師ですら強さで威厳を誇示するような歪んだ体制。オトヒロの闇は生徒にも深く根付いていた。
正義は竹さんをなじる様に見る。
一番を張るにしては華奢だしどんくさそう。とても強いようには思えない。だがそこは魔法少女、どんな能力を持っているか見た目で判断するのは難しい。
底知れぬ実力にもどかしさを感じつつ、正義は机にひじをつく。
「ところでいくささんは出席番号何番かしら?」
「七番・・・」
「そう、なら七番引けば良いのね」
「竹さんまでいくささん狙ってるの?意外だなぁー、あんまそういうの興味なさそうなんだけど」
「本当は誰でも良いのよ、ただ皆狙ってるから私が当てたら面白いかなと思って」
「うっわ・・・性格悪っるぅ~」
「さやか、あんたが言うなよ」
竹さんは都留岐の手からくじを引いた。
手を合わせ必死に祈る京ちゃん。
「当てられませんように当てられませんように当てられませんように・・・」
「京ちゃん、あの子そこまで悪くないだろ?スタイルもなかなかのもんだぜ?逆に本命外して残りの三人に当たった時の方が悲惨だろ」
「クマさん、俺幼女にしか奴興味ないんで。お姉さんにはあんま興奮しないんです」
「幼女なんていないだろ、あの青い子だって実際いくつか分かったもんじゃない」
「いや、あれどっからどう見ても小学生っすよ。もう抱きしめてちゅっちゅしたぁ~い!」
京ちゃんは両腕で自分の肩を抱えると、左右に体を揺らす。
青い子は身震いした。
竹さんはくじを男達に見せる。
「あら残念、一番だわ」
くじを掲げ、素気なく微笑む竹さん。
番号を見てラノベ主人公科の男達は一斉に雄叫びを上げた。
「うおぉぉぉ、ラノベ科と魔法少女科の一番対決うぅぅ!」
「ノブさんやったじゃないっすか、もの凄くグラマスな女の子っすよ」
眼鏡の長身の男が立ち上がる。いかにも真面目そうな男、ノブさん。
皆がチャカす中、彼は一歩前へ出て小さく会釈した。
「ラノベ主人公科出席番号第一番、高梨伸男です。よろしくお願いします」
竹さんもつられて会釈する。
正義は手を叩いた。
「はい!次。たかがくじにどんだけ時間かける気だ?後がつかえてんだから早くしろ」
「じゃあ出席番号第二番、片倉愛、いっきま~す☆」
本命の登場に男達のテンションはさらに上がる。教室全体がむさ苦しい熱気に包まれた。
「来たあぁぁぁ!!」
「あの子二番だったのか」
「ここで外したら後はもうハズレしかない」
「お願いだから四番引いてくれぇ~」
「ハイウェーブは無理だよ。ここはたぶん一番主人公補正の高い京ちゃんかクマさんが選ばれるんじゃね?」
愛が都留岐の手からくじを引く。
男達はかたずを飲んでそれを見守った。
「残念・・・五番」
しょぼくれる愛。
「愛ついてないわね、あんなオークとペアだなんて」
「オーク!?」
女子の心無い言葉、クマさんは石膏のように固まった。
翔は羨ましそうにそんなクマさんの肩を揺する。
「クマさん大本命じゃないっすか、超羨ましいんすけど」
「オーク・・・」
ハイウェーブは地に膝をつき嘆く。
「絶望的だ、死のう・・・」
「ハイウェーブ絶望するの早えぇよ、まだ希望は残ってるぜ!」
「出席番号第三番・・・松木陽子です。よろしくお願いします」
紫の子の登場に男達のテンションは地に落ちた。教室内が一気に冷え込む。
「松っちゃん頑張れぇ~」
「七番七番七番七番・・・」
女性陣が見守る中、禍々しいオーラを発しながら少女は念仏を唱えるように七番と連呼する。
「松木さん、早く引いて下さい」
都留岐にうながされ渋々くじを引く松っちゃん、番号を見るやいなや床に手を付いた。
クラスが静まる。
「四番・・・」
絶望に打ちひしぐ眼鏡の少女。
ハイウェーブは白目をむいて倒れた。
「ハイウェーブ逝ったぁぁぁぁ!」
京ちゃんは喜びに声を上げ、いくさにハイタッチする。
いくさはそれを避けた。
「ちょっと触んないでくんない」
空を切る京ちゃんの手。彼は寂しげにその手を見つめると、ハイタッチなどはなから無かったかのように前を向く。
「これでハズレが一つ消えた、後はあのデカいのが消えれば!」
「京ちゃん小学生狙ってるなら譲るよ、俺あの赤い子でいいや」
「男子勝手な事言ってんじゃないわよ、出席番号第四番日野みなみっ!」
みなみは手早く自己紹介を済ませて都留岐からくじを奪った。番号を見て少し浮かない顔をする。
一体何番を引いたのか?まるで受験合格を祈るように翔と京ちゃんは手を合わせた。
七番の番号を見せるみなみ。
「よし!」と京ちゃんは小さくガッツポーズする。
青い子が奇声を上げた。
「はあぁぁ!?信じらんなぁ~い。メスゴリラにはあの人モドキ達がお似合いよ」
「誰がメスゴリラよロリガッパ!」
「相変わらず二人は仲良しだなぁ」
「仲良くない!」
二人は愛を叩きつける。
残るは一人、ウェーブのかかった長い髪に青いケープコートの小学生。ハズレ中のハズレだが、ここで外せば女の子とすらペアを組めない。翔はハズレに全てをかける。
一方京ちゃんにとっては愛に次ぐ大本命。心の中で勝利に酔いしれる。なぜなら翔の主人公補正はEマイナス、対して自分はC。運負けする筈がない。
「出席番号第五番、水上さやか、ハズレくじ引きま~す」
彼女がくじを引く。
心臓の鼓動が時を刻んだ。
二人にはその動きがコマ送りのように見えた。それは達人だけが到達する境地、とてつもない集中力が生み出す超世界。
風は静まり、音は消える。
水の流れは止まり、飛沫が空気中で水玉となって固まる。
世界は時に置き去りにされた。
「六番・・・」
時が・・・元に戻る。
「やったぁぁぁ!!」
翔は手を天にかかげ喜びに打ち震えた。
京ちゃんは真っ白に染まる。
ずっと楽しみにしていた魔法少女科との合同授業。ただこの日のためだけに辛い授業に耐えてきた。しかし結果はどうだ?たった六分の一のハズレ・・・それを見事に引いてしまう。
京ちゃんはただ黙って涙を流す。
正義は彼を哀れんだ。
「岡本・・・まぁそう気を落とすな。生きてりゃこの先良い事もある」
京ちゃんの眼鏡が涙で曇る。
「先生・・・俺は一体誰と組めば良いんですか?」
都留岐は正義を見た。
「やっぱオレか?男に告られるような趣味は無いんだが」
「俺だってやですよぉー!男を口説くなんて」
「そりゃそうだ、だけど仕方ないだろ?」
都留岐は最後に残ったくじを見る。そして京ちゃんにそれを見せた。
「ならこうしましょう。魔法少女科担任講師、都留岐社。岡本君とペアを組みます」
「ちょっと待てぇい!!」
男達は計ったように同じ言葉を吐き捨てる。
その日、皆の心は一つになった。
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