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第四章 素晴らしき野宿生活
ホームレスの朝は早い
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「良いのかよおっちゃん、あたしの鎖外して」
「いい歳したおっさんが女児鎖に繋いで歩いてたら不審過ぎるだろ、戻ったらまた縛ってやるからそれまで大人しくしてろ」
「ぜってぇ嫌だ、あんな物もう二度と付けさせるか!」
レゥは正義に向かって大きく舌を出し苦味を利かせて息張る。と、引き付けられるように後ろを見た。
「どうしたレゥ?」
「何か見られてるような気がして・・・」
「まさか学院の奴か?」
「分かんね・・・気のせいかも」
「あまりビビらすなよ、オレがホームレスだって事は皆に内緒なんだぞ」
時刻は四時、まだ日も昇らぬ暗い朝、二人はとあるコンビニへとやって来る。雑居ビルの一角にある“7”の文字が際立つ店。自動扉をくぐると、「シャッセー」と気怠い挨拶に歓迎される。店内では赤茶とピンクのツートンの服を着る中年男性が一人、仕切りのある四角い鍋におでんの具を仕込んでいた。
「おう、待ってたよ正さん。今日もよろしく!」
そう言うと店員はつみれを凝視するレゥに目をやる。客だと思ったのか、用を言ってこないかじっと見る。
「あぁ、すみませんグッさん。こいつオレの連れです」
「連れ!?」
のけ反って大袈裟に驚く店員。
「まだ子供じゃないか?正さんとどういう関係だよ」
“子供”と言われレゥは口をへの字に曲げた。
「なんかこいつ家を追い出されたみたいで、今うちで預かってるんです」
「預かってるって正さん家無ぇじゃねぇか、家出なら警察に相談した方が良いぞ」
「それがのっぴきならない事情があって、落ち着くまでオレが面倒見てやってるんです」
「そんなに陰気な話なのかよ?嬢ちゃんも大変だな」
「それはそうと今日はこいつにも手伝わそうと思うんですが良いですか?」
「うちは構わんよ、手が増える分には助かるからな」
「今日もよろしくお願いします」
正義はまるでへつらうように店員に頭を下げると裏方から箒と塵取りを持ち出しレゥと一緒に外へ出た。
「オレはゴミを捨てて来るからお前は店の前掃除しろ。いいか、道なりに全部掃け。前だけじゃなく隣もだ」
掃除道具を押しつけられたレゥはあっけらかんとする。
「おい、一体これはどういう事だ?話がちげぇぞ!」
「今は何も言わず手伝え」
食い物にありつけると思ってついて来てみれば何故か掃除をさせられる。“騙された?”しかし正義が自分に嘘をついて得るものなど何一つ無い、何よりここで帰っても腹は満たされない。足元を見られているような何とも歯痒い気持ちだが今は黙って彼を信じるしかない。レゥは渋々箒を受け取った。
それからだらだらとゴミを車道に掃き散らしていると正義がしかめっ面で戻ってくる。
「待て待て待て!何のための塵取りだ!?遠くに飛ばすんじゃなくてちゃんと拾うんだよ」
「どうせ風が吹いたらゴミなんて飛んでくるんだから一緒だろ」
「いいか、よそに迷惑をかけない。それが人間社会におけるルールだ。例えば隣に住んでる奴が自分ちにゴミ捨ててきたらどう思うよ?」
「ムカつくな」
「だろ?自分がされて嫌な事はするな」
「だけどよおっちゃん、ここ道じゃん?」
「ただの道でもオレ達の物じゃないだろ?だからそう言うやり方はダメだ」
どうにも納得できないレゥは正義にどやされ仕方なく枯葉やゴミを拾う。
それが終わると今度は軍手をして冷蔵庫裏に回った。冷蔵庫の中は外と変わらない寒さ。箱を開け、手際よくドリンクを補充する正義にレゥが不満気に問いかける。
「なぁおっちゃん、今度は何してんだよ」
「品出しだ、コンビニってのは朝が一番の稼ぎ時なんだ。そん時物が無かったら売れないだろ?だからこうやって前もって準備しておくんだ」
「いや、そうじゃなくて何か食わせてくれんじゃねぇのかよ」
「とりあえずお前は空箱潰してろ」
何を聞いても返ってくる言葉は仕事の指示ばかり、どうにもこうにも騙されている気分でならない。レゥが八つ当たり気味に空箱を踏み潰すと、
「そんな風に潰すな!かさばるだろ?底を開いて畳むんだよ」と正義に叱られた。
“これでもし本当に嘘だったらおっちゃんを食う”商品の品定めをする正義を尻目にレゥは思った。レゥの持つカゴには消費期限の切れたおにぎりやパン、弁当などがどんどん入れられていく。そしてそれが一杯になるとグッさんの所へ持っていく。
「おっちゃん、意味分かんねぇよ。一体何がしてぇんだよ」
「何がしたいってお前、こいつを廃棄したいんだよ」
「はっ!?これ捨てんの??もったいねぇ!」
「消費期限が切れたもん客に売る訳にいかないからな」
「マジかよ・・・まだ食えそうなのに」
グッさんは廃棄登録の終えた商品をレゥに差し出した。
「ハハハ、欲しけりゃもってきな」
「良いのか!?」
「おうよ!どうせ捨てるんだ、好きなだけ持ってけ」
「グッさん悪いですよ、レゥ一個だけにしとけ」
「良いって良いって、今回は特別だ」
「やったー!」
「グッさん、恩に着ます」
「なぁに、困った時はお互い様だ。その代わりこれからもよろしく頼むよ嬢ちゃん」
「ハハ・・・」
グッさんの意地の悪い言葉。怪人・・・ましてや子供をこんな所でいつまでも働かす気など毛頭ない。レゥはさして気にしていないようだが正義は苦々しく愛想を返す。
「いい歳したおっさんが女児鎖に繋いで歩いてたら不審過ぎるだろ、戻ったらまた縛ってやるからそれまで大人しくしてろ」
「ぜってぇ嫌だ、あんな物もう二度と付けさせるか!」
レゥは正義に向かって大きく舌を出し苦味を利かせて息張る。と、引き付けられるように後ろを見た。
「どうしたレゥ?」
「何か見られてるような気がして・・・」
「まさか学院の奴か?」
「分かんね・・・気のせいかも」
「あまりビビらすなよ、オレがホームレスだって事は皆に内緒なんだぞ」
時刻は四時、まだ日も昇らぬ暗い朝、二人はとあるコンビニへとやって来る。雑居ビルの一角にある“7”の文字が際立つ店。自動扉をくぐると、「シャッセー」と気怠い挨拶に歓迎される。店内では赤茶とピンクのツートンの服を着る中年男性が一人、仕切りのある四角い鍋におでんの具を仕込んでいた。
「おう、待ってたよ正さん。今日もよろしく!」
そう言うと店員はつみれを凝視するレゥに目をやる。客だと思ったのか、用を言ってこないかじっと見る。
「あぁ、すみませんグッさん。こいつオレの連れです」
「連れ!?」
のけ反って大袈裟に驚く店員。
「まだ子供じゃないか?正さんとどういう関係だよ」
“子供”と言われレゥは口をへの字に曲げた。
「なんかこいつ家を追い出されたみたいで、今うちで預かってるんです」
「預かってるって正さん家無ぇじゃねぇか、家出なら警察に相談した方が良いぞ」
「それがのっぴきならない事情があって、落ち着くまでオレが面倒見てやってるんです」
「そんなに陰気な話なのかよ?嬢ちゃんも大変だな」
「それはそうと今日はこいつにも手伝わそうと思うんですが良いですか?」
「うちは構わんよ、手が増える分には助かるからな」
「今日もよろしくお願いします」
正義はまるでへつらうように店員に頭を下げると裏方から箒と塵取りを持ち出しレゥと一緒に外へ出た。
「オレはゴミを捨てて来るからお前は店の前掃除しろ。いいか、道なりに全部掃け。前だけじゃなく隣もだ」
掃除道具を押しつけられたレゥはあっけらかんとする。
「おい、一体これはどういう事だ?話がちげぇぞ!」
「今は何も言わず手伝え」
食い物にありつけると思ってついて来てみれば何故か掃除をさせられる。“騙された?”しかし正義が自分に嘘をついて得るものなど何一つ無い、何よりここで帰っても腹は満たされない。足元を見られているような何とも歯痒い気持ちだが今は黙って彼を信じるしかない。レゥは渋々箒を受け取った。
それからだらだらとゴミを車道に掃き散らしていると正義がしかめっ面で戻ってくる。
「待て待て待て!何のための塵取りだ!?遠くに飛ばすんじゃなくてちゃんと拾うんだよ」
「どうせ風が吹いたらゴミなんて飛んでくるんだから一緒だろ」
「いいか、よそに迷惑をかけない。それが人間社会におけるルールだ。例えば隣に住んでる奴が自分ちにゴミ捨ててきたらどう思うよ?」
「ムカつくな」
「だろ?自分がされて嫌な事はするな」
「だけどよおっちゃん、ここ道じゃん?」
「ただの道でもオレ達の物じゃないだろ?だからそう言うやり方はダメだ」
どうにも納得できないレゥは正義にどやされ仕方なく枯葉やゴミを拾う。
それが終わると今度は軍手をして冷蔵庫裏に回った。冷蔵庫の中は外と変わらない寒さ。箱を開け、手際よくドリンクを補充する正義にレゥが不満気に問いかける。
「なぁおっちゃん、今度は何してんだよ」
「品出しだ、コンビニってのは朝が一番の稼ぎ時なんだ。そん時物が無かったら売れないだろ?だからこうやって前もって準備しておくんだ」
「いや、そうじゃなくて何か食わせてくれんじゃねぇのかよ」
「とりあえずお前は空箱潰してろ」
何を聞いても返ってくる言葉は仕事の指示ばかり、どうにもこうにも騙されている気分でならない。レゥが八つ当たり気味に空箱を踏み潰すと、
「そんな風に潰すな!かさばるだろ?底を開いて畳むんだよ」と正義に叱られた。
“これでもし本当に嘘だったらおっちゃんを食う”商品の品定めをする正義を尻目にレゥは思った。レゥの持つカゴには消費期限の切れたおにぎりやパン、弁当などがどんどん入れられていく。そしてそれが一杯になるとグッさんの所へ持っていく。
「おっちゃん、意味分かんねぇよ。一体何がしてぇんだよ」
「何がしたいってお前、こいつを廃棄したいんだよ」
「はっ!?これ捨てんの??もったいねぇ!」
「消費期限が切れたもん客に売る訳にいかないからな」
「マジかよ・・・まだ食えそうなのに」
グッさんは廃棄登録の終えた商品をレゥに差し出した。
「ハハハ、欲しけりゃもってきな」
「良いのか!?」
「おうよ!どうせ捨てるんだ、好きなだけ持ってけ」
「グッさん悪いですよ、レゥ一個だけにしとけ」
「良いって良いって、今回は特別だ」
「やったー!」
「グッさん、恩に着ます」
「なぁに、困った時はお互い様だ。その代わりこれからもよろしく頼むよ嬢ちゃん」
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