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本編
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幾つもの山を越え、川を渡り、森を抜けて不気味な洞窟へとうやって来る。そこで私は降ろされ、たくさんのオーク達に囲まれた。
こんな奴等に性玩具にされるくらいだったらいっそ死んだ方がマシ。ラルクと交わした約束も忘れ感情的になっていた私は、
「くっ・・・殺せ!」
ついそんな言葉を口走ってしまう。するとあの子オークがしみじみと拳を握った。
「『くっ殺』頂きました!」
は?クッコロ?
他のオーク達も胸を熱くして騒ぎだす。
「やっぱ本場のくっ殺は違うぜ!」
「生きてる内に姫騎士の口からその言葉が聞けてオラぁ幸せだ!」
泣き出すオークまでいる。私は訳が分からずしかめた眉を歪に曲げた。
すると黒いオークが言う。
「ハハハ、すまんな姫騎士。いや、スティアーナ・・・だったか?俺様達オークにとって姫騎士の『くっ殺』は最高の誉れだ。かくいう俺様も、
戦う力を奪われなす術もなく屈辱される、気高く、凛々しい乙女が辱めを受けるくらいなら殺せと要求する。
シチュに感動を禁じ得ない」
・・・
意味不明で私は呆ける。
「お姉ちゃん、もう一回!もう一回僕達を睨みながらくっ殺言ってよ」
「やめとけルゥア、こう言うのは無理矢理言わせたら意味がない」
「ルゥア?それってその子の名前?」
「そうだ、そう言えば自己紹介がまだだったな。俺様はここの頭をやらせてもらっているアルトってもんだ、そしてこいつは弟のルゥア。よろしく頼む」
アルトは巨大な手で握手を求めてくるが私はそれを拒んだ。だって相手はオーク、敵である。そんな奴等と仲良しこよしなんて出来る訳がない。
「その手は何?今から犯そうって相手と握手なんて出来る訳ないでしょ?」
「そうやって威勢を張るお前も魅力的だぞ?」
調子を狂わされる。私が何を言ってもこいつ等は興奮してしまうようだ。
それからオーク達は装備を外して徐にくつろぎ始めた。捕えた獲物を早速犯そうとする訳でもなく、岩に腰かけたり、硬い地面の上に寝転がったり。思っていた展開と違って何だか拍子抜けする。
「スティアーナ、長旅で疲れたろ、腹は減ってないか?それとも先に風呂にするか?」
アルトが優しく語りかける。
食べ物に媚薬でも盛るつもりだろうか?
体を洗わせて裸を覗きみるつもりだろうか?
私はあれこれとやらしいことばかり考えて警戒した。
「なら飯にするか、丁度俺様も腹が減ったところだ。ルゥア、仕度を頼む」
ルゥアが手を叩いて合図する。奥から手下のオーク達が大きな竹の皿を持ってやって来た。そして私の前に差し出され、私は背筋を凍らせる。
いっ、芋虫!?
そこにはこんがり焼かれた芋虫が山のように積まれていた。
「おお!今日はたくさんラーバモスが取れたな、美味そうだ」
アルトはぺろりと唇を舐めて歓喜する。だが私は耳を、目を疑う。うっ・・・美味そう?まさかこれを食べるの?
「スティアーナ、遠慮はいらない。お腹の子のためにもたらふく食っていいぞ」
アルトは幼虫を摘まんで自らの口に入れた。
いやいやいや、こんなの食べれる訳ないでしょ?虫よ?
だけど彼はむしゃむしゃと美味しそうに食べる。
確かにお腹は空いてるけど、だけど・・・だけど!円筒のぶよぶよした蛇腹状の形を見ると食欲が失せる。先端が丸く黒くなっていてそれが虫の頭と分かるのがまたキモイ。これをお腹の中に入れると思うと身の毛もよだつ。
そうして私が食べるのを躊躇っていると見かねたルゥアが芋虫を一匹私の口に運んできた。
私は口を一の字にして精一杯抵抗する。
「お姉ちゃん、食わず嫌いはいけないよ?一杯食べて、栄養付けて、元気な赤ちゃんを産まないと」
「これは何の拷問?私にこんなゲテモノ食べさせて何が嬉しいの?」
「拷問?何を言ってるスティアーナ、このどこが拷問なんだ?ただご馳走を振舞ってるだけだろ、お前はおかしなことを言う」
「こんなの食べれる訳ないでしょ?虫なんて人間の食べるもんじゃないわ!」
「何だ、人間とは虫の食べれない生き物だったか。知らなかった、すまん」
「いや兄さん、人間は雑食性の動物だから虫も食べれるはずだよ。これは単なる好き嫌いって奴じゃないかな?
知ってるかいお姉ちゃん、虫の幼虫ってのは3匹で鶏の卵一個分の栄養価に匹敵するんだ。世界的に見ても芋や麦に次ぐ重要なタンパク源なんだよ。栄養吸収にはとても効率が良いんだ」
だから何?私は両手を突き出してルゥアの差し出した芋虫を押し返す。
「やれやれ、お上品なお姫様にも困ったもんだ。だったら何なら食えるんだ?」
「・・・肉」
少し間をおいて私がそう答えるとアルトは
「分かった」
と言って立ち上がりノシノシと洞窟の外へと出て行った。
こんな奴等に性玩具にされるくらいだったらいっそ死んだ方がマシ。ラルクと交わした約束も忘れ感情的になっていた私は、
「くっ・・・殺せ!」
ついそんな言葉を口走ってしまう。するとあの子オークがしみじみと拳を握った。
「『くっ殺』頂きました!」
は?クッコロ?
他のオーク達も胸を熱くして騒ぎだす。
「やっぱ本場のくっ殺は違うぜ!」
「生きてる内に姫騎士の口からその言葉が聞けてオラぁ幸せだ!」
泣き出すオークまでいる。私は訳が分からずしかめた眉を歪に曲げた。
すると黒いオークが言う。
「ハハハ、すまんな姫騎士。いや、スティアーナ・・・だったか?俺様達オークにとって姫騎士の『くっ殺』は最高の誉れだ。かくいう俺様も、
戦う力を奪われなす術もなく屈辱される、気高く、凛々しい乙女が辱めを受けるくらいなら殺せと要求する。
シチュに感動を禁じ得ない」
・・・
意味不明で私は呆ける。
「お姉ちゃん、もう一回!もう一回僕達を睨みながらくっ殺言ってよ」
「やめとけルゥア、こう言うのは無理矢理言わせたら意味がない」
「ルゥア?それってその子の名前?」
「そうだ、そう言えば自己紹介がまだだったな。俺様はここの頭をやらせてもらっているアルトってもんだ、そしてこいつは弟のルゥア。よろしく頼む」
アルトは巨大な手で握手を求めてくるが私はそれを拒んだ。だって相手はオーク、敵である。そんな奴等と仲良しこよしなんて出来る訳がない。
「その手は何?今から犯そうって相手と握手なんて出来る訳ないでしょ?」
「そうやって威勢を張るお前も魅力的だぞ?」
調子を狂わされる。私が何を言ってもこいつ等は興奮してしまうようだ。
それからオーク達は装備を外して徐にくつろぎ始めた。捕えた獲物を早速犯そうとする訳でもなく、岩に腰かけたり、硬い地面の上に寝転がったり。思っていた展開と違って何だか拍子抜けする。
「スティアーナ、長旅で疲れたろ、腹は減ってないか?それとも先に風呂にするか?」
アルトが優しく語りかける。
食べ物に媚薬でも盛るつもりだろうか?
体を洗わせて裸を覗きみるつもりだろうか?
私はあれこれとやらしいことばかり考えて警戒した。
「なら飯にするか、丁度俺様も腹が減ったところだ。ルゥア、仕度を頼む」
ルゥアが手を叩いて合図する。奥から手下のオーク達が大きな竹の皿を持ってやって来た。そして私の前に差し出され、私は背筋を凍らせる。
いっ、芋虫!?
そこにはこんがり焼かれた芋虫が山のように積まれていた。
「おお!今日はたくさんラーバモスが取れたな、美味そうだ」
アルトはぺろりと唇を舐めて歓喜する。だが私は耳を、目を疑う。うっ・・・美味そう?まさかこれを食べるの?
「スティアーナ、遠慮はいらない。お腹の子のためにもたらふく食っていいぞ」
アルトは幼虫を摘まんで自らの口に入れた。
いやいやいや、こんなの食べれる訳ないでしょ?虫よ?
だけど彼はむしゃむしゃと美味しそうに食べる。
確かにお腹は空いてるけど、だけど・・・だけど!円筒のぶよぶよした蛇腹状の形を見ると食欲が失せる。先端が丸く黒くなっていてそれが虫の頭と分かるのがまたキモイ。これをお腹の中に入れると思うと身の毛もよだつ。
そうして私が食べるのを躊躇っていると見かねたルゥアが芋虫を一匹私の口に運んできた。
私は口を一の字にして精一杯抵抗する。
「お姉ちゃん、食わず嫌いはいけないよ?一杯食べて、栄養付けて、元気な赤ちゃんを産まないと」
「これは何の拷問?私にこんなゲテモノ食べさせて何が嬉しいの?」
「拷問?何を言ってるスティアーナ、このどこが拷問なんだ?ただご馳走を振舞ってるだけだろ、お前はおかしなことを言う」
「こんなの食べれる訳ないでしょ?虫なんて人間の食べるもんじゃないわ!」
「何だ、人間とは虫の食べれない生き物だったか。知らなかった、すまん」
「いや兄さん、人間は雑食性の動物だから虫も食べれるはずだよ。これは単なる好き嫌いって奴じゃないかな?
知ってるかいお姉ちゃん、虫の幼虫ってのは3匹で鶏の卵一個分の栄養価に匹敵するんだ。世界的に見ても芋や麦に次ぐ重要なタンパク源なんだよ。栄養吸収にはとても効率が良いんだ」
だから何?私は両手を突き出してルゥアの差し出した芋虫を押し返す。
「やれやれ、お上品なお姫様にも困ったもんだ。だったら何なら食えるんだ?」
「・・・肉」
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と言って立ち上がりノシノシと洞窟の外へと出て行った。
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