推しが可哀相だと可愛い!!

杵竺  タオ

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第一幕 転生

第三話

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ここで皆様、気になってるであろう私の特殊能力について話しておこうかな。竜と人の完璧な子供ハーフであり、この世界で最も(ちち除く)魔力保有量の多い竜人である私は、物を具現化する能力にとても長けている。それは本来の能力かはたまた痴女が中身として入ったせいか、前世で夢見た18禁漫画に出てきそうなラブグッズだって作り放題という事だった。しかも、話してなかったけどこの世界での与える側、せめ与えられる側うけの性に関することは18禁エロゲーの割には、魔力注入による媚薬に感じて果てることがメインでおもちゃで快楽攻めとかほとんどないらしいんだよね!興奮するよね!!!

「今日は王宮へいかないか?」
「「いや」です」

見事にセレノアと声が重なった。流石双子。血はつながってないが以心伝心。私とセレノアに断れた公爵はうなだれて膝をついている。

「ミリアが王妃様とお茶会なんだ!僕は2人を連れて行かないと、はっ倒されてしまうんだよ?!」

青ざめて泣き言いってる公爵に、冷たい視線を送る私とセレノア。うわぁ面倒くさいなぁ。なんて思ってたら、ぱちりとセレノアと目が合った。

「「……」」

数秒目があった私達は以心伝心よろしく同時に立ち上がり、公爵の後ろにある扉へ向かため静かに動いたつもりだった。気づいていないだろうと思ってた公爵の隣を通り抜けようとしたとき、私達の腕はいつのまにか公爵に掴まれていた。

「お父さま、離してください!」
「おうきゅーとかめんどうですよ!絶対行きません!」
「困るんだって2人共!パパを助けると思って、一緒に行こう?!」
「「やだ!!」」
「普通女の子って王子様がいる王宮とか好きじゃないの?!なんでうちの娘達はそんなに拒否するの!」
「セレニアが王宮にはわたくしたちを引き離してしまうような怪物がいると言ってましたのよ!」
「何その怪物僕も聞いたことないよ!セレニア!?」
「万が一にでもセレノアが王子に一目惚れでもしたら、嫁に行くじゃん。そしたら私とセレノアは離れ離れだよ…」
「お嫁!?僕もそれは嫌だ!!!」

大混乱だ。いやだいやだと騒ぎ立てても全く離れない公爵の拘束。セレノアが拒否する理由を言ったので、口をとがらせて事情を言えば公爵もまた嫌だと騒ぐ。実際のオトナイではセレノアは王子達に惚れ込んで暴走しているように見えたし、惚れちゃって恋する乙女状態のセレノアにやめろとは言えないだろう。そうしたら言わずもがな私はセレノアと引き離されて、きっかけを作り出した公爵に殺意を持って接してしまうかもしれない。

「うう…それでもミリアはこわい!!!!」

いやあんたの奥さん!!!!内心叫んだところでなんてこんな気弱そうなのに力だけ強いんだこのアホエルフ!!さすがに大人と子供では力では叶わず、見慣れた光景に公爵家の侍女たちが私とセレノアをよそ向きのドレスに着替えさせ始めた。

「これでノアが王子のよめになるとかいったら、父恨みますからね???」
「セレノア~、ミリアとそっくりになったね…」

あのときのミリアと同じ顔を~なんてすごくどうでもいい惚気話が始まったので、もう現実逃避よろしく双子の妹が可愛く天使になる姿を眺めることにした。
ストロベリーブロンドは原作とは違いまっすぐでつやつやさらさら。桜色のほっぺはいつ触ってもぷにぷにやわやわで、治癒魔力に長けるその瞳はエメラルドがはめ込まれたかのように鮮やかで、深い緑。その緑を囲うように猫目のまつげがくるんと上を向いていて天使のような愛らしさを併せ持つ嗚呼なんて可愛い私のセレノア。

「そんなに褒めないで!!」
「ブ、…あれ?口に出てた?」
「わざとでしょ、あなた!!!」
「セレノアの可愛さについ心に秘めてることが口からもれ出ちゃったみたい」
「しょうがないよ。うちの娘たちは可愛いからねぇ」
「私がオスならほうっておかないわ。やっぱり王宮なんて魔窟連れて行かないべきじゃないですかねとーさま」
「…そうしたいのは山々だけど、ミリアが怖いから行こうか」
「チッ」

押しきれなかった。自分の妻を怖い怖いいってるのチクってやる。そのくらいの報復は許されてもいいと思うわ。

「またなにかたくらんでるわね」
「あくじをかんがえるのは、いつでも楽しいことだよノア」
「まあ、いいわ。ニアが楽しいのならきっと私も楽しめるでしょ?」

悪ーい顔したセレノアかわいい。可愛すぎてやっぱり誘われるわ。もしや、原作の性格の悪さはこの超絶かわいい天使をよそにやらない為の公爵家の家訓だったのでは…そう考えてもいいくらい家の妹かわいい。かわいい。つらい。

「セレノア、セレニア。さぁ行こうか」
「わかりましたわ~お父さま」
「ちっ。りょうかいしましたぁ」
「う、うーーん。機嫌悪いなぁ」

悪くさせたのは誰でしょうかね。あーあーあー王宮なんて原作の舞台でも時々出る場所なのに。あーあーあー。面倒くさいなぁ。

「王宮燃やそうかな…」
「やめてね??!」

馬車に乗り逃避目的でつぶやいた言葉はきっちりと公爵に拾われて、注意される。目的地は王宮!そんなことより今しがた出た家に帰りセレノアと楽しいお茶会なんてしたかったなぁ。なんて。



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