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スレイド伯爵

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ティアさんの家に向かう途中、
色々な事を聞きました。

まず、今いる所について。
ここはエルストス王国と言うらしいです。
周りを海と大国に囲まれた国ですが、武力に長け、貿易も盛んだとか。
王国と言うからには王様もいるそうです。ちょっと見てみたい。

それから魔法と、種族などについて。
魔法は耐性というものが無ければ扱えないそうです。
ステイタス画面で見たところによると私はほぼ全部の属性に耐性があるようです。
ただ、空間と時間という属性もあるそうですが…それは神族しか扱えない属性だそうです。
種族に関しては、色々な種族がいる事。
純血、混血、異種というものがあることを教えてもらいました。
私は異種で、しかも3つどころか4つも種族が混ざってるなんて信じられない事だそうです。
…珍しすぎて売買されたり、しないよね?
少なくともティアさんはしないと思うけど、されないよね?異種が珍しいからって売買されてないよね…?

禁忌魔法があるというのも聞きましたが、禁忌というもの自体に特に興味は無いので聞き流しました。

人間って衝撃が過ぎると笑っちゃうんですね…。
出来心でティアさんのステイタス画面で年齢見ちゃったんですけど…40代でした。ありえない…どう見ても高校生みたいな見た目ですけど!?
この国の平均年齢とか聞いてみましたが、種族によって違うそうです。
人族でも長生きすると200年まで生きれるそうです。異世界って凄い…。


そうこうしてるうちに、到着したようです。
…なんか、家と言うより屋敷ですね。
ティアさんは貴族様でしたか。
そっとステイタスを見ると、スレイド伯爵の次女と説明書きされてました。
は、伯爵家の…御息女か。
確かに言い回しとか動作とか流れるようで凄い綺麗だったけど、そういう事か…。
ポケーっと驚いていましたが、
そう言えばこの家の…スレイド伯爵家の御当主は私を売ったりなんてするんでしょうか…。
ティアさんに手を引かれて恐る恐る入ると、まさに貴族と言ったような(しかし華美では無い)内装で、目を奪われた。
手を引かれるままに案内されると、
そこはティアさんのお部屋だとか。
正直、そこにいるのも何だか烏滸がましく思えるほど豪華で気品のあるお部屋です。居心地が悪い……。
少し待っててね、と言われて何となく正座をしながら待っていると、部屋にあった鏡に目が行きました。

(そう言えば、私の見た目ってどんな感じなんだろう…。)

そろっと立ち上がって鏡を覗き込むと恐ろしく美少女な人が鏡に映っていました。
年齢はステイタスによると13歳(今さっき確認した)ですが、誰ですかこの美少女は…。
歳は10歳くらいに見える、銀髪で
両目の色が違う…所謂オッドアイな
美少女です。

「これ…私、なの……?」

いちおう周りを確認しましたが、鏡の前に立っているのは私だけです。
この見た目、この年齢で焼け野原にする程の魔法が使えたの……。
なにそれ、ある意味怖い。

しばらく、自分の見た目と魔法に驚愕しているとティアさんが帰ってきたようです。
ドアの方を向くと、ティアさん以外に男の方が1人着いてきていました。
そっとステイタスを見てみれば、
なるほど…どうやらティアさんのお兄さんのようです。

エアリオ・スレイド。
人族の純血で、この王国の騎士。
年齢は50歳…(もう年齢にはツッこまないからね…!)。
ティアさんとは違う亜麻色の髪。
目の色は透き通った緑色で、お兄ちゃん感のする優しそうな方ですね。

ステイタスを見つつ考えていると、
ティアさんから紹介がありました。
やはり、お兄さんのようです。
どうやら一緒に匿ってくれるとか…。
見た目通り優しい方のようです。
紹介があったのですから、私も挨拶するのが礼儀ですね。

「えと…私はノエル・フェルナールと申します。よろしくお願いします。」

軽くお辞儀(漫画とか小説とかで貴族の人がやってる様なやつ)をした。
ぎこちない挨拶だったが優しく笑って、こちらこそよろしくねと言ってくれました。
うん、優しいです。
めちゃくちゃ紳士です。

ティアさんとエアリオさんのお父さん、スレイド伯爵様にも私が家にいる事をお伝えするそうです。
少し不安ではありますが、このお二人のお父様なのですから優しい人なんでしょうね。
念話というもので話をしていました。
スレイド伯爵様は夕方に帰ってくる様で、それまではエアリオさんとティアさんに色々な事を詳しく教えてもらいました。
おかげでまだ何となくではありますが、この世界の事を理解出来ました。



日が沈みかけてきた夕方。
予定通りスレイド伯爵は帰ってきた。
見た目30代の、とても穏やかそうな人だ。
私はティアさん達について行き、
客間へと通された。
促されてソファに座ると、まずは自己紹介をされた。
ちなみに私の横にはティアさん、前の方にスレイド伯爵とその隣にエアリオさんが座っている。

「私はグレイセス・スレイドだ。
この地を治める領主であり、伯爵家の当主をしている。この子達の父親だ。
よろしくね。」

「私はノエル・フェルナールと、申します。野原にいた所をレティシアさんに助けられました。えと…よろしく、お願いします。」

続いて、緊張し、どもりながらも自己紹介をした。
軽く会釈をして、ゆっくり顔を上げてスレイド伯爵の顔をみれば、優しそうな笑顔を浮かべていた。
そっとスレイド伯爵のステイタスを見てみれば、うん…凄かった。

グレイセス・スレイド。
90歳(ちょっとだけ、驚いた)。
なんとエルフ族と魔族のハーフ。
魔族なだけに魔力量が高くて、力もある。
亜麻色の髪に、深い海の様な青い色の目。
めちゃくちゃイケメンです。
こんなイケメンなお父様とか、ティアさん達がうらやましい。

などと考えていると、今後どのように匿うかの方針についてのお話を進められていました(ステイタス見て考えていて普通に聞いていませんでした)。

まず、異種ということを隠すこと。
これは妥当ですね。
異種は珍しいらしいのですが、
スレイド伯爵様のお話によると、私の種族、特に新龍族や妖精族も珍しいのだとか。
なので、種族も出来れば周りに言わないこと(新龍族は特に、との事です)。
それと、屋敷の外には極力出ないこと(中庭はいいらしい)。
出かける際には家の者に報告し、
必ず護衛役を1人と魔力漏れを防ぐブレスレットを付けておくこと。
もし万が一、1人になってしまったら
全速力で家に逃げて帰ってくること。

とりあえず、これぐらいのことを決めました。
話し合っているうちに外は暗くなり、お腹も空いたので中断し、夕食を食べました。
マナーはあまり覚えていなかったので、思い出しつつゆっくり食べました。
緊張したけど、うん…めちゃくちゃ美味しかったですよ。

魔法等については、また明日話し合う事になり、私は空いていた一部屋を借りておやすみする事になりました。
湯浴みした後、部屋に戻ってベッドに横たわりました。
ベッドはフカフカで気持ち良くて、
疲れもあってか、私はすぐに眠ってしまった。
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