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昨日の出来事(レティシア視点)
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お昼頃、ウェリア野原に異常な魔力を持った者が現れたとの報告がお兄様に入りました。
なんでもその場に、まるで召喚されたかの様にいきなり現れたそうで…。
危険かどうかを確かめるべく、手の開いている何名かの騎士の方々がウェリア野原に調査に行かれるとか。
第2騎士団副団長であるお兄様もそれに参加するそうなので、私も(勝手に)ついて行きました。
ウェリア野原についてから、バラけて捜索した方が速いと思い、私はお兄様達騎士団とは別行動を撮ることにしました。
危ないからと、お兄様は私に護衛として一人騎士を付けようとしましたが、大丈夫と言って私は駆けて行った。
それにしても、これは……。
辺りが焼き尽くされている。
長閑で緑が生い茂る様なウェリア野原が見る影もなかった。
魔力残滓の濃い方に追って行くと中心に、人影を見つけた。
小さい少女だった。
警戒したようにこちらを伺っている。
…漏れ出ている魔力からして、恐らくこの子で間違いはない。
でも、いったい何でここにいて…何でここを焼け野原にしたのか…。
「あの、これはいったい……。
それに貴方は?」
思わず問うた。
ハッとした様子で、少し考えてから答えてくれた。
「えっと………。私は、ノエル…です。」
ノエル……。
声が幼く、矢張りまだ少女の様だ。
「これは、その……えっと………。
わ、私が…私がファイヤーボールで…。」
続けて言ってくれたが、矢張りそうなのか、と思った。
でもこんな小さい少女がこれほどの事をしたのか、と驚いてしまった。
他にも幾つか質問したが、すんなりと答えてくれた。
家族については、分からなく、気付いたらここに居たと言っていた。
正直、驚いた。
ではこの子は家も無いのか…。
種族は?と聞くと、天族、妖精族、神龍族、人族と言われた。
3つの種族が混ざるだけでも珍しいのに、この子は4つの種族が混ざる異種だった。
しかも新龍族や妖精族といったこれまた珍しい種族がはいっている。
取り敢えず、一緒に来てと言いましたが…この子の事が王族に知れれば彼女が危ない。
見た目からして歳は、10か12位でしょうか。
そんな子が危ない目に遭うのは、見過ごせません。
ひとまず私の家に匿う事に(勝手に)決定しました。
念の為、お兄様には伝書鳩を飛ばしておいた。
まだ完全に警戒が解かれた訳ではありませんが、どうやら着いてきてくれるようです。
「あぁ、私はレティシアと言います。
周りにはよくティアと呼ばれるので、ぜひそう呼んでね、ノエルちゃん。」
安心させるように、出来るだけ微笑んでそう言いました。
するとノエルちゃんも微笑み、よろしくお願いしますと言って返してくれた。
(お兄様達に着いてきて良かった…。)
(もしこの子が他の、お兄様以外の騎士にでも見つかれば…王族に知らせがいってノエルちゃんが危険だった。)
そんな事を思いつつ、ノエルちゃんと一緒に馬に乗って帰路についた。
途中、ここについてほぼ何も知らないノエルちゃんに色々な事を教えた。
もうすぐで家に着く頃、馬に乗り慣れていないのか、ノエルちゃんは辛そうにしていた。
家に帰ると、メイド達に事情を説明し、ノエルちゃんを私の部屋に案内した。
少し待っててね、とノエルちゃんに言うとお兄様を迎える為に部屋を出た。
(そう言えば、ノエルちゃんは家族が分からないのよね…。)
私は、お父様は居るものの…お母様は私を産んで1年ほどで亡くなってしまったそうだ。
家族の事が分からないって、とても…苦しいだろう。
お母様がいない…思い出もない私は、とても苦しい思いをした。
家族の誰一人として、分からないのは苦しいし、寂しい…だろう。
そう思って待っていると、お兄様が帰ってきた様だった。
私を見つけたお兄様は駆け寄って言ってきた。
「レティシア、何で騎士に引き渡さなかったんだい?」
「だって…あの子の事が王族の、特に第1王子と王妃様に知れれば…危険だもの!」
「まぁ、そうだけど………。」
この国の第1王子、アルベルト・エルストスはどんな手を使っても一早く国王の座につきたいと思ってる様だ。
だから、とても危険だ。
もしノエルの事がアルベルト王子に伝われば、確実に手に入れようとしてくる。
ちなみに、何故そこまでして一早く玉座につこうとしているかと言うと、アルベルト王子の腹違いの弟の、第2王子レオンハルト・エルストスが国王候補に上がり、優勢な為だ。
「だから、ほんの少しだけ第1王子にバレないように匿って、国王や第2王子に伝えようと思って……。」
「…………………そう、だね。
じゃあ、僕から国王陛下に内密に伝えておくから。」
「分かりましたわ。
お父様には後程、念話で伝えますわ。」
「分かった、ありがとうレティシア。」
お兄様と結託し、ノエルの居る自身の部屋に案内した。
部屋に戻り、お兄様とノエルちゃんとでお話した。
それからお父様と念話で事情を説明し、夕刻くらいには帰ってくる様なので、それまで3人でお話をしていた。
お父様が帰ってきて、
今後、ノエルちゃんをどう匿うかと約束事について話した。
そうこう話している内に外は暗くなっていたので、4人でディナーを食べた。
その頃にはノエルちゃんも、だいぶ落ち着いたようで、特に警戒もせず楽しく会話しながら食べた。
その後、湯浴みをしてノエルちゃんは部屋に戻った。
尋ねてみたが、疲れもあってか熟睡していたので話は後にすることにした。
次の日、ノエルちゃんは少しムッとした顔をしていたが、朝食を食べながら会話をしているうちに笑っていた。
話は出来なかったが、そこまで重要でもないので話すのはやめにしておいた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
次回、ノエルちゃんは国王陛下と第1王子、第2王子に会います(予定)。
あくまで予定なので分かりませんが(*'ω'*)
なんでもその場に、まるで召喚されたかの様にいきなり現れたそうで…。
危険かどうかを確かめるべく、手の開いている何名かの騎士の方々がウェリア野原に調査に行かれるとか。
第2騎士団副団長であるお兄様もそれに参加するそうなので、私も(勝手に)ついて行きました。
ウェリア野原についてから、バラけて捜索した方が速いと思い、私はお兄様達騎士団とは別行動を撮ることにしました。
危ないからと、お兄様は私に護衛として一人騎士を付けようとしましたが、大丈夫と言って私は駆けて行った。
それにしても、これは……。
辺りが焼き尽くされている。
長閑で緑が生い茂る様なウェリア野原が見る影もなかった。
魔力残滓の濃い方に追って行くと中心に、人影を見つけた。
小さい少女だった。
警戒したようにこちらを伺っている。
…漏れ出ている魔力からして、恐らくこの子で間違いはない。
でも、いったい何でここにいて…何でここを焼け野原にしたのか…。
「あの、これはいったい……。
それに貴方は?」
思わず問うた。
ハッとした様子で、少し考えてから答えてくれた。
「えっと………。私は、ノエル…です。」
ノエル……。
声が幼く、矢張りまだ少女の様だ。
「これは、その……えっと………。
わ、私が…私がファイヤーボールで…。」
続けて言ってくれたが、矢張りそうなのか、と思った。
でもこんな小さい少女がこれほどの事をしたのか、と驚いてしまった。
他にも幾つか質問したが、すんなりと答えてくれた。
家族については、分からなく、気付いたらここに居たと言っていた。
正直、驚いた。
ではこの子は家も無いのか…。
種族は?と聞くと、天族、妖精族、神龍族、人族と言われた。
3つの種族が混ざるだけでも珍しいのに、この子は4つの種族が混ざる異種だった。
しかも新龍族や妖精族といったこれまた珍しい種族がはいっている。
取り敢えず、一緒に来てと言いましたが…この子の事が王族に知れれば彼女が危ない。
見た目からして歳は、10か12位でしょうか。
そんな子が危ない目に遭うのは、見過ごせません。
ひとまず私の家に匿う事に(勝手に)決定しました。
念の為、お兄様には伝書鳩を飛ばしておいた。
まだ完全に警戒が解かれた訳ではありませんが、どうやら着いてきてくれるようです。
「あぁ、私はレティシアと言います。
周りにはよくティアと呼ばれるので、ぜひそう呼んでね、ノエルちゃん。」
安心させるように、出来るだけ微笑んでそう言いました。
するとノエルちゃんも微笑み、よろしくお願いしますと言って返してくれた。
(お兄様達に着いてきて良かった…。)
(もしこの子が他の、お兄様以外の騎士にでも見つかれば…王族に知らせがいってノエルちゃんが危険だった。)
そんな事を思いつつ、ノエルちゃんと一緒に馬に乗って帰路についた。
途中、ここについてほぼ何も知らないノエルちゃんに色々な事を教えた。
もうすぐで家に着く頃、馬に乗り慣れていないのか、ノエルちゃんは辛そうにしていた。
家に帰ると、メイド達に事情を説明し、ノエルちゃんを私の部屋に案内した。
少し待っててね、とノエルちゃんに言うとお兄様を迎える為に部屋を出た。
(そう言えば、ノエルちゃんは家族が分からないのよね…。)
私は、お父様は居るものの…お母様は私を産んで1年ほどで亡くなってしまったそうだ。
家族の事が分からないって、とても…苦しいだろう。
お母様がいない…思い出もない私は、とても苦しい思いをした。
家族の誰一人として、分からないのは苦しいし、寂しい…だろう。
そう思って待っていると、お兄様が帰ってきた様だった。
私を見つけたお兄様は駆け寄って言ってきた。
「レティシア、何で騎士に引き渡さなかったんだい?」
「だって…あの子の事が王族の、特に第1王子と王妃様に知れれば…危険だもの!」
「まぁ、そうだけど………。」
この国の第1王子、アルベルト・エルストスはどんな手を使っても一早く国王の座につきたいと思ってる様だ。
だから、とても危険だ。
もしノエルの事がアルベルト王子に伝われば、確実に手に入れようとしてくる。
ちなみに、何故そこまでして一早く玉座につこうとしているかと言うと、アルベルト王子の腹違いの弟の、第2王子レオンハルト・エルストスが国王候補に上がり、優勢な為だ。
「だから、ほんの少しだけ第1王子にバレないように匿って、国王や第2王子に伝えようと思って……。」
「…………………そう、だね。
じゃあ、僕から国王陛下に内密に伝えておくから。」
「分かりましたわ。
お父様には後程、念話で伝えますわ。」
「分かった、ありがとうレティシア。」
お兄様と結託し、ノエルの居る自身の部屋に案内した。
部屋に戻り、お兄様とノエルちゃんとでお話した。
それからお父様と念話で事情を説明し、夕刻くらいには帰ってくる様なので、それまで3人でお話をしていた。
お父様が帰ってきて、
今後、ノエルちゃんをどう匿うかと約束事について話した。
そうこう話している内に外は暗くなっていたので、4人でディナーを食べた。
その頃にはノエルちゃんも、だいぶ落ち着いたようで、特に警戒もせず楽しく会話しながら食べた。
その後、湯浴みをしてノエルちゃんは部屋に戻った。
尋ねてみたが、疲れもあってか熟睡していたので話は後にすることにした。
次の日、ノエルちゃんは少しムッとした顔をしていたが、朝食を食べながら会話をしているうちに笑っていた。
話は出来なかったが、そこまで重要でもないので話すのはやめにしておいた。
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次回、ノエルちゃんは国王陛下と第1王子、第2王子に会います(予定)。
あくまで予定なので分かりませんが(*'ω'*)
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