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第1王子・アルベルト・エルストス
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国王陛下との謁見から数日経って、私はついに冒険者ギルドに入りました。
ギルドカードも受け取って、今日から早速お仕事です!
はやくお金を貯めてマイハウスを持ちたいんです。
だって、今の今までティアさん達に頼りっぱなしですからね。
ギルドに入るのだって、スレイド伯爵が融通して下さったんですから。
私が異種である事、混ざった種族の中にとても珍しい種族がある事。
それから…ギルド登録する時に見せてしまった能力値が異常な事。
私を連れてギルドマスターに内密に会って、それらを報告して入れて下さったのです。
スレイド伯爵は、とても信頼のおける方だから安心していい、と言われました。
話してみて、とても優しく懐の深そうな方だったので、少し安心しました。
それからティアさんやエアリオさんには、この国の情勢などを教えてもらったのですが………。
第1王子とその母親───正妃様らしい───には絶対に私の種族などを話してはいけないと言われました。
どうにも面倒くさい方々らしいのです。
その分、国王陛下や第2王子は信用して良いとエアリオさんは言うのですが……。
ティアさんは第1王子もだけど、第2王子にも近付いちゃ駄目!と言うのです。
なんでも、
『男は狼なんだから!気を付けて!』
らしい…。
第2王子の第一印象はとても良い人そうなんですけど…。
エアリオさんの方を見て、首を傾げると困った様に笑われてしまいました。
えー…信用はして良いけど近寄っちゃ駄目ってなんですか…。
いかにも優しそうな人だったけどな……。
まぁ王族なのでお腹にイチモツくらい抱えていてもおかしくは無いか…。
などと考えてはいましたが、どんなお仕事をしましょうか?
ちなみに私はFランクなので、薬草採取などがメインの仕事しか出来ないのです。
ギルドマスターさんは、是非ともはやくランクをあげてモンスター討伐をして欲しい、と言っていました。
私が使いこなせるかは別として、能力値はカンストで、全属性(神族にしか扱えない空間、時間の属性は除く)の耐性をもっているんですからね。
はやく強くなって、(モンスターが最近頻繁に出るらしい)スレイド伯爵領を守ってくれないか、と。
心苦しそうに、そう伝えてきました。
見た目は子供ですからね。
私はそれに、なるべく頑張ります、とだけ伝えた。
おっと、話がそれましたね。
とりあえずこの、ヒレイル採取というものにしましょう。
貼り紙を見たところ、ヒレイルとは回復薬を作る為の薬草の1種だとか。
壁にあった貼り紙を剥がし、受付でチェックを済ませてからギルドを出た。
初クエストなので、普通は3日までに終わらせるところを5日までに済ませれば良いとの事です。
なんと良心的!
まだ13歳(ティアさんによると私は年齢より幼く見えるらしい)である私に、奇異の目を向けてくる人達もいましたが、ちょっとワケありな人が集まったりする所でもあるそうなのでそこまで注目されずに済みました。
心配そうにこちらを見ている方もいたので、まぁ優しい人達が多いのでしょう。
受付を済ませて、仕事は明日からにするかなー?などと能天気に考えて歩いていると、何やら前方で騒いでいる様です。
ソロりと近寄って耳を澄まして会話の内容を聞いてみることにした。
「あぁ、また第1王子が来たよ…」
「なんでまたこんな所に王族が…」
うん?第1王子、ですか…。
私が近寄ってはいけない人第1位の方ですか。
「ほらあそこ……あっ、こっちに来てるわ!道の端にいないと怒鳴られるから退けましょ!」
え…こっちに来るんですか……?
わ、私も退けないと…。
すると、人が道の端に避けていってすぐに道が出来た。
ノエルもそれに習って道の端に避けると、周りが頭を垂れているので、またそれに習って同じく頭を垂れた。
青みがかった銀色の髪がサラリと落ちた。
太陽に反射してキラキラしてる。
うん、自分の髪ながらとても綺麗だ。
頭を下げながらそんな事を思って、第1王子が通り過ぎるのを待った。
しかし、一向に通り過ぎてはくれない。
どうしたのだろうか…。
少しだけ顔を上げて前を見た。
…なんと、(嬉しくない事に)第1王子は私の目の前で止まっていた。
横を見ると物凄く心配そうに住民の皆さんや、先程ギルド内で見た顔の人がこちらを見ている。
今、物凄く、逃げ出したい。
ぎゅっと目を瞑って耐えているが、一向に去ってはくれない。
「……おいお前」
…第1王子は(全然全く嬉しくない事に)私に声をかけてきた。
周りも固唾を呑んで見守っている。
「………………………………はい。」
少し震えた小さな声で、答えた。
会ってはいけない、会っても正体は知られるな、名も知られているから言うな…。
そう言われている危険人物なので、少し怖い。
「…名は、なんという?」
きた…。フルフルと手が震える。
緊張で手汗が酷く、冷や汗が背中を伝う。
「………………ルルーナ…です」
もし、万が一出会ってしまって、名を聞かれた時の為に作っておいた偽名を口にした。
ちなみに、ギルド内ではキチンとノエルで登録してある。
私は入ったばかりなので、ほぼ誰も私の名前を知らない。
だからギルドで会った人達も首を傾げていることは無かった。
「…そうか、人違いだった」
冷たくそう言い放ち、第1王子は去って行った。
ホッとしたのか、ペタリと地面に座り込んでしまった。
もう去って行ったと言うのに、未だに手は震えている。
人違い………。
たぶん、私を探しているのだろうか。
容姿や名前は、王宮で知れているそうなので、今日は人違いで住んだが、これからは髪の色等も染めて変える必要があるかも知れない。
「あんた、大丈夫かい?」
座りこんでしまった私を心配してか、鎧を着た優しそうな女性(剣士っぽい)が話しかけてきた。
立てる?と、手を伸ばしてくれる。
ここの人はとても優しい。
「…ありがとう、ございます」
女性の手をそっと取り、立ち上がった。
まだ少し震えているが、たぶん大丈夫そうだ。
まだ心配そうに見ている女性に、もう大丈夫ですと言って私はティアさんのお家に帰って行った。
帰った後、第1王子に会ってしまった事、私を探している事を皆に話した。
その日は、まだ少し怖かったのでティアさんと一緒に寝た。
傍に人がいるという安心感から、私はすぐに眠りにつけた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ノエルの髪色を金から銀に変えました。
次は、人物紹介に書いているのに全く出て来てない(忘れてました☆)のレイヴンくんの登場回…になる(予定)
次回に出てこなくても、近々出す予定です(笑)
ギルドカードも受け取って、今日から早速お仕事です!
はやくお金を貯めてマイハウスを持ちたいんです。
だって、今の今までティアさん達に頼りっぱなしですからね。
ギルドに入るのだって、スレイド伯爵が融通して下さったんですから。
私が異種である事、混ざった種族の中にとても珍しい種族がある事。
それから…ギルド登録する時に見せてしまった能力値が異常な事。
私を連れてギルドマスターに内密に会って、それらを報告して入れて下さったのです。
スレイド伯爵は、とても信頼のおける方だから安心していい、と言われました。
話してみて、とても優しく懐の深そうな方だったので、少し安心しました。
それからティアさんやエアリオさんには、この国の情勢などを教えてもらったのですが………。
第1王子とその母親───正妃様らしい───には絶対に私の種族などを話してはいけないと言われました。
どうにも面倒くさい方々らしいのです。
その分、国王陛下や第2王子は信用して良いとエアリオさんは言うのですが……。
ティアさんは第1王子もだけど、第2王子にも近付いちゃ駄目!と言うのです。
なんでも、
『男は狼なんだから!気を付けて!』
らしい…。
第2王子の第一印象はとても良い人そうなんですけど…。
エアリオさんの方を見て、首を傾げると困った様に笑われてしまいました。
えー…信用はして良いけど近寄っちゃ駄目ってなんですか…。
いかにも優しそうな人だったけどな……。
まぁ王族なのでお腹にイチモツくらい抱えていてもおかしくは無いか…。
などと考えてはいましたが、どんなお仕事をしましょうか?
ちなみに私はFランクなので、薬草採取などがメインの仕事しか出来ないのです。
ギルドマスターさんは、是非ともはやくランクをあげてモンスター討伐をして欲しい、と言っていました。
私が使いこなせるかは別として、能力値はカンストで、全属性(神族にしか扱えない空間、時間の属性は除く)の耐性をもっているんですからね。
はやく強くなって、(モンスターが最近頻繁に出るらしい)スレイド伯爵領を守ってくれないか、と。
心苦しそうに、そう伝えてきました。
見た目は子供ですからね。
私はそれに、なるべく頑張ります、とだけ伝えた。
おっと、話がそれましたね。
とりあえずこの、ヒレイル採取というものにしましょう。
貼り紙を見たところ、ヒレイルとは回復薬を作る為の薬草の1種だとか。
壁にあった貼り紙を剥がし、受付でチェックを済ませてからギルドを出た。
初クエストなので、普通は3日までに終わらせるところを5日までに済ませれば良いとの事です。
なんと良心的!
まだ13歳(ティアさんによると私は年齢より幼く見えるらしい)である私に、奇異の目を向けてくる人達もいましたが、ちょっとワケありな人が集まったりする所でもあるそうなのでそこまで注目されずに済みました。
心配そうにこちらを見ている方もいたので、まぁ優しい人達が多いのでしょう。
受付を済ませて、仕事は明日からにするかなー?などと能天気に考えて歩いていると、何やら前方で騒いでいる様です。
ソロりと近寄って耳を澄まして会話の内容を聞いてみることにした。
「あぁ、また第1王子が来たよ…」
「なんでまたこんな所に王族が…」
うん?第1王子、ですか…。
私が近寄ってはいけない人第1位の方ですか。
「ほらあそこ……あっ、こっちに来てるわ!道の端にいないと怒鳴られるから退けましょ!」
え…こっちに来るんですか……?
わ、私も退けないと…。
すると、人が道の端に避けていってすぐに道が出来た。
ノエルもそれに習って道の端に避けると、周りが頭を垂れているので、またそれに習って同じく頭を垂れた。
青みがかった銀色の髪がサラリと落ちた。
太陽に反射してキラキラしてる。
うん、自分の髪ながらとても綺麗だ。
頭を下げながらそんな事を思って、第1王子が通り過ぎるのを待った。
しかし、一向に通り過ぎてはくれない。
どうしたのだろうか…。
少しだけ顔を上げて前を見た。
…なんと、(嬉しくない事に)第1王子は私の目の前で止まっていた。
横を見ると物凄く心配そうに住民の皆さんや、先程ギルド内で見た顔の人がこちらを見ている。
今、物凄く、逃げ出したい。
ぎゅっと目を瞑って耐えているが、一向に去ってはくれない。
「……おいお前」
…第1王子は(全然全く嬉しくない事に)私に声をかけてきた。
周りも固唾を呑んで見守っている。
「………………………………はい。」
少し震えた小さな声で、答えた。
会ってはいけない、会っても正体は知られるな、名も知られているから言うな…。
そう言われている危険人物なので、少し怖い。
「…名は、なんという?」
きた…。フルフルと手が震える。
緊張で手汗が酷く、冷や汗が背中を伝う。
「………………ルルーナ…です」
もし、万が一出会ってしまって、名を聞かれた時の為に作っておいた偽名を口にした。
ちなみに、ギルド内ではキチンとノエルで登録してある。
私は入ったばかりなので、ほぼ誰も私の名前を知らない。
だからギルドで会った人達も首を傾げていることは無かった。
「…そうか、人違いだった」
冷たくそう言い放ち、第1王子は去って行った。
ホッとしたのか、ペタリと地面に座り込んでしまった。
もう去って行ったと言うのに、未だに手は震えている。
人違い………。
たぶん、私を探しているのだろうか。
容姿や名前は、王宮で知れているそうなので、今日は人違いで住んだが、これからは髪の色等も染めて変える必要があるかも知れない。
「あんた、大丈夫かい?」
座りこんでしまった私を心配してか、鎧を着た優しそうな女性(剣士っぽい)が話しかけてきた。
立てる?と、手を伸ばしてくれる。
ここの人はとても優しい。
「…ありがとう、ございます」
女性の手をそっと取り、立ち上がった。
まだ少し震えているが、たぶん大丈夫そうだ。
まだ心配そうに見ている女性に、もう大丈夫ですと言って私はティアさんのお家に帰って行った。
帰った後、第1王子に会ってしまった事、私を探している事を皆に話した。
その日は、まだ少し怖かったのでティアさんと一緒に寝た。
傍に人がいるという安心感から、私はすぐに眠りにつけた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ノエルの髪色を金から銀に変えました。
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