【完結】幸せの25セント

四季苺

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side紬:2 1月は人生の分岐点を知る

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 話は数ヶ月前に遡る。

「紬ちゃんはいつ帰ってくんのけ?」
 こたつに入ってみんなでおせち料理を食べている時、おばあちゃんがそう尋ねてきた。
「えっ?次は春休みかゴールデンウィークかなぁ」
 今まさに年末年始で帰省してきているのに、気が早いと思いながらも、私は答えた。
「うんにゃ」
 おばあちゃんは首を振る。
「ばあちゃんは、いづ、東京から地元こっちに帰っでくるがっできいでんの」
 もっと気が早い話だった。
 ちなみに変なところに濁点がついてるのはミスではなく、なまりです。
「まだまだ先だよぉ。まだあと二年大学あるもん」
 私は黒豆を口に運びながら、苦笑いをする。
「ほぉけ」
「そうでもないぞ、紬」
 お父さんは黒縁の眼鏡の真ん中をついと持ち上げながら真剣な声を出した。
「今年は就職活動が始まるんだろう?早めに情報収集して、しっかり備えないと」
「えっ!」
 食べようとしていた黒豆は、驚きでころりと落下して、こたつの天板に落ちた。
「あらぁ、もうなの?そういえばそうね?私達の時代も大学三年の秋ぐらいから活動し始めたわよねぇ」
 お母さんはゆったりとした口調で言うけど、私の心臓は早鐘をうっている。

 えっ、えっ、就活ってそんな早いの?
 卒業するちょっと前とかじゃないの?

「今どきは、企業説明会とかエントリーができるのは三月かららしいが、サマーインターンもあるし、もう動き始めないと」
「…サマーインターン…?」
「紬、まさか知らなかった…?」
 私は返事をしなかったけど、ビクリと体が揺れてしまったので、バレバレだっただろうな。

 お正月から妙な沈黙。

「紬ちゃん…」
 おばあちゃんが私の肩にそっと手をのせる。
「心配しなぐでもいいよ。長武おさむがなんかコネで就職先みづけでくっがら」
「えっ!お母さん何勝手なことを!」
「はぁ~?それっくらいできっぺな」
「まぁまぁ」
 親子喧嘩が始まってしまったので、お母さんが間に入ってなだめる。

 いや、そもそも…
 私は卒業後、地元に帰って就職したいのかな?

 考えただけで涙があふれてきそう。
 だって、そうしたらもう、滅多に会えなくなっちゃう。

 大志…。
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