死にたがりJCと占い師のアイスクリーム

四季苺

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DAY4-2 綾と占い

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 三時間目と四時間目、保健室で爆睡ばくすいをしたらおどろくほど元気になった。
「人間、やっぱ睡眠すいみんが大事だね」
 給食を食べたらさらに元気になった。今日はミートソースのスパゲッティだったので、結構けっこう食べられたのだ。麺類めんるいって食べやすい。
「人間、栄養えいようも大事だね」
「凛々~?おばあちゃんみたいだよ~?」
「香坂、ババくせぇ」
「保健室は加齢かれいで行ったのか」
「うるさいですぅ~私は繊細せんさいだから昨日眠れなかったの!」
 軽口かるくちを返せる余裕よゆうも出てきた。班の男子はうっひゃっひゃっひゃと笑い、沙弥もクスクス笑っている。
 よしよし、調子戻ちょうしもどってきたぞ。ちゃんと学校モードだ。

 放課後、図書室で勉強を済ませ、帰ろうと昇降口しょうこうぐちに向かっていたら、二組の藤井綾ちゃんに会った。
「凛々ちゃん!久しぶり~」
 綾は笑顔で話しかけてくれる。
「久しぶり!聞いたよ~占いが当たって彼氏かれしできたんだって?」
「えっ!他のクラスにまで広がってるの?うわ、恥ずかしー」
 綾は顔を赤くしてれていた。
「…占いって、自分から行ったの?」
「え?うん、友達にさそわれてね~。てか、興味きょうみそっちなんだ?彼氏かれしのこと聞かれると思ったわ」
「いや、それも聞きたいけど!じゅんを追って聞こうかなって」
「じゃあ、一緒に帰ろうよ」
 私はうなずき、それぞれのクラスの下駄箱げたばこくつえてからまた合流ごうりゅうした。

「私の彼氏はさ、家庭教師かていきょうしのバイトに来てくれてる高校生なの」
「おぉ~」
 それ気がらない?と思いつつ、言わないでおく。
「今は週一回勉強を教えに来てくれてるから会えるけど、受験じゅけんが終わったらもう会えないのが気がかりだったのね?」
 私はうなずく。
「でもそれはまだ先だから勉強に集中しゅうちゅうしようって自分に言い聞かせてて…でも、この前見ちゃったんだよね。先生が別の女の子と二人で歩いてるところを」
「あー…でも彼女かのじょとは限らないんじゃない?」
「そうだよね。でも、その時は私、ショックで思いこんじゃって。『絶対ぜったい彼女だ』って。勉強にも集中できなくなって、どうしたら先生をあきらめられるのってなやんで、占い師さんに聞いたの」
 いや予感よかんしかしない。
「そしたら、『告ってフラれればいい』って」

 …ふたもなーい…。

「ひどくない?その占い師」
「うーん、でも私はハッキリ言ってほしかったから良かったの。そうだなって思った」
 そのへんは人それぞれか、辛口からくちきびしい占い師さんが人気ってテレビで聞いたこともあるし。
「それに…」
 綾は話を続けた。
「占い師さんは『未来は変えることができるんだよ』って言ったの。たとえ今絶望ぜつぼうしていても、占いで悪いカードが出ても、それは『今時点いまじてん』の話なんだよって」
「え…それズルくない?占いがはずれても当たっても『変わった』でます気でしょ」
 綾はあははっと声をたてて笑う。
「そうかもね。凛々ちゃんはするどいなぁ。私はそういうことには気づかなくって、ただ、そっかぁそれなら頑張がんばれば未来は変わるかもって思ったの」
 素直すなお可愛かわいい~。
 どうしてこう、私はひねくれちゃってるんだろう…。
「それで、どうなったの?」
「それで私は、どうやったらこの恋を諦められるかじゃなくて、どうやったらこの恋をかなえられるかを占ってもらうことにしたの」
 綾のその時の表情ひょうじょうは、言いあらわしがたいくらい綺麗きれいだった。元々美少女なんだけど、そういうんじゃなくて、意思いしの力が目に宿やどっているみたいな、なんだか神秘的しんぴてきな感じがしたんだ。

 いいなぁ。

 私も、こんな風に強いおもいをいだけるようなこと、あるだろうか。
 勉強も、友達関係も、全部なんとなくで…恋にいたってはげてばかり。

「そしたら、タロット占いで『戦車せんしゃ』っていうカードが出て…占い師さんは『おっ!いいじゃ~ん、ガンガン行こうぜってことだよ~』って言ってた。」

 えー。

積極的せっきょくてきにアプローチしてきち、みたいな意味いみってこと?」
「うん。ただし、自信をもって告白するんだよって言われた。ダメ元とか、私なんて無理とか思わないで、『絶対この恋を叶えるんだ、私ならできる』って思ってねって」
「ふぅん…?それはなんで?」
「そういうカードらしいよ。くわしくは聞けなかったけど。友達も占いたがってたし、タダなのにそんなに長々ながなが話すのもね」
 私はうなずく。
 あの時はぱらいが来ちゃったし占いなんてどうせうそと思ってたから帰っちゃったけど、アドバイスもらえばよかったのか…。

 そうだ、今からでも!

 私は別れ道まで綾とのおしゃべりを楽しんで、その後は紅葉橋もみじばしみちをすると決めた。 
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