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DAY7-7 24時までのカウントダウン③
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おのおのやるべきことを済ませて、十一時を過ぎた頃からそわそわしてきた。今日の残り時間が少なくなって、あとちょっとで死ぬ運命に勝てると思う一方で、あと一時間で死ぬかもしれないという恐ろしさも感じる。
「とりあえず、寝る支度はしておきましょうか」
お母さんの提案で、また隊列を組んで一階に降りた。洗面所に三人そろって歯をみがく。普段なら絶対ない光景になんだかおかしくなってしまった。
「フフッ」
「なんだか修学旅行みたいだな」
「どこが?」
人生最後かもしれない歯みがきは、これ以上ないほど思い出深いものになった。
私の部屋に戻ると、なんとなく三人ベッドに寄りかかって座る形になった。真ん中はもちろん私だ。
「…お父さんの作ったごはん、何だったの?」
「ツナトマトスパゲッティーよ。美味しかったわ」
「食中毒のこととか考えて材料は缶詰と乾麺使ったのに…凛々が食べてくれないなんて…」
お父さんはしょぼんとする。
「ごめんごめん、明日の朝食べるよ」
そう言ってハッとする。
思わずそう言ったけど、明日の朝も私は生きているのかな?次の瞬間、急に心臓が止まったりしないかな?
「そうだな」
左手がギュッと温かいもので包み込まれる。
「ぜひ、食べて感想を聞かせてくれ」
お父さんは私と手をつないだまま、そう言った。
「明日はサラダも作っておくわ。今日は生野菜はやめておいたから」
もう片方の手も、そっと包み込まれた。
気を紛らわそうと誰かしら話題を振っていたけれど、明日までの残り時間が十分になった頃から無言になった。押しつぶされるような緊張感を感じながら、時計の針が進んで行くのを見つめる。
あと、じゅう、きゅう、はち、なな…
「…っ」
心臓がバクバク音をたてて、息が詰まる。
ろく、ご、よん、さん、に、いち…
「十二時だ!!!」
時計のすべての針が重なった瞬間に、そう叫んだ。
「ワアアアアー!!!」
我が家はミレニアムイヤーの元日を迎えたかのような騒ぎっぷり。
もう、安堵とか喜びとか、いろんな気持ちがあふれて私は泣きながら笑っていた。
「良かったわね!凛々!!」
お母さんが私をギュッと抱きしめながらそう言ってくれる。
もう、予言におびえる必要はないんだ。
パーン!!!
「えっ!何!?」
高くて乾いた音が響いて、何事かと警戒する。
テロ!?喜ぶのは、まだ早かったのだろうか?
「お父さん…」
お母さんがあきれた声を出したので、恐る恐るお父さんの方を見ると、パーティークラッカーを手にしていた。
「えっ!何これ!」
床にはなんか黄色いもじゃもじゃと紙製のえびと肉、ネギかな?緑色のカケラが落ちていた。
「これは、先月校外学習でカップヌードルミュージアムに行った時に買ったとっておきのクラッカーなんだ。凛々が高校に合格した時に使おうと思ってたんだけど、せっかくだから今日鳴らしてみた」
お父さんはちょっとドヤ顔でクラッカーの中身を見せつけてくる。
「もう、お父さん…」
いつもだったら怒っていたかもしれない。だけど、もう、何もかもが嬉しくて、私はまた泣きながら笑ってしまった。
「とりあえず、寝る支度はしておきましょうか」
お母さんの提案で、また隊列を組んで一階に降りた。洗面所に三人そろって歯をみがく。普段なら絶対ない光景になんだかおかしくなってしまった。
「フフッ」
「なんだか修学旅行みたいだな」
「どこが?」
人生最後かもしれない歯みがきは、これ以上ないほど思い出深いものになった。
私の部屋に戻ると、なんとなく三人ベッドに寄りかかって座る形になった。真ん中はもちろん私だ。
「…お父さんの作ったごはん、何だったの?」
「ツナトマトスパゲッティーよ。美味しかったわ」
「食中毒のこととか考えて材料は缶詰と乾麺使ったのに…凛々が食べてくれないなんて…」
お父さんはしょぼんとする。
「ごめんごめん、明日の朝食べるよ」
そう言ってハッとする。
思わずそう言ったけど、明日の朝も私は生きているのかな?次の瞬間、急に心臓が止まったりしないかな?
「そうだな」
左手がギュッと温かいもので包み込まれる。
「ぜひ、食べて感想を聞かせてくれ」
お父さんは私と手をつないだまま、そう言った。
「明日はサラダも作っておくわ。今日は生野菜はやめておいたから」
もう片方の手も、そっと包み込まれた。
気を紛らわそうと誰かしら話題を振っていたけれど、明日までの残り時間が十分になった頃から無言になった。押しつぶされるような緊張感を感じながら、時計の針が進んで行くのを見つめる。
あと、じゅう、きゅう、はち、なな…
「…っ」
心臓がバクバク音をたてて、息が詰まる。
ろく、ご、よん、さん、に、いち…
「十二時だ!!!」
時計のすべての針が重なった瞬間に、そう叫んだ。
「ワアアアアー!!!」
我が家はミレニアムイヤーの元日を迎えたかのような騒ぎっぷり。
もう、安堵とか喜びとか、いろんな気持ちがあふれて私は泣きながら笑っていた。
「良かったわね!凛々!!」
お母さんが私をギュッと抱きしめながらそう言ってくれる。
もう、予言におびえる必要はないんだ。
パーン!!!
「えっ!何!?」
高くて乾いた音が響いて、何事かと警戒する。
テロ!?喜ぶのは、まだ早かったのだろうか?
「お父さん…」
お母さんがあきれた声を出したので、恐る恐るお父さんの方を見ると、パーティークラッカーを手にしていた。
「えっ!何これ!」
床にはなんか黄色いもじゃもじゃと紙製のえびと肉、ネギかな?緑色のカケラが落ちていた。
「これは、先月校外学習でカップヌードルミュージアムに行った時に買ったとっておきのクラッカーなんだ。凛々が高校に合格した時に使おうと思ってたんだけど、せっかくだから今日鳴らしてみた」
お父さんはちょっとドヤ顔でクラッカーの中身を見せつけてくる。
「もう、お父さん…」
いつもだったら怒っていたかもしれない。だけど、もう、何もかもが嬉しくて、私はまた泣きながら笑ってしまった。
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