4 / 7
嵐のジジイ暴走する
しおりを挟む
そう言った瞬間のハロルドの顔は私を怒鳴りつけてきた見慣れた表情に変わった。
それには気づかないままエリックは話を続ける。
「このヘレナは領地運営に対する才覚だけは本物なのです!言いたくはありませんが我が息子のトーマスよりも断然優れております。今後の領地のためを思えばここはグッと堪えて」
エリックが言い終わることすら待てなかったハロルドは、杖を振り上げてエリックの右肩へとそれを大きく振り下ろした。
「黙れ!!よくもそんな妄言を恥もなくいうことができたな!この領地を運営してきたものとは思えない言葉だ、恥を知れ!」
そう言って杖を何度もエリックへと叩きつけるハロルドを私は無感動に眺めていた。
自分の性格は聖女のそれではないので、私のことをずっと虐げ続けてきたハロルドにもエリックにも良い感情をもっていないのは当然である。
婚約者としての扱いとは到底思えないことをしてきたエリックに対する恨みが、一振りごとに消えていくかのようだ。
しかし、こんな乱暴を受けているのにエリックは尚も私のことを引き止めようと言葉を続ける。
「恥を承知で再度言わせていただきます。ヘレナの才覚は本物なのです、悔しながら私よりも、もしくはお父様よりも」
あ~あ、なんでそんなことを言っちゃうんだろう。
完璧にハロルドを逆撫でする様なセリフを言ってしまったエリックに、思わず笑い声が出るのを止めるのに大変だった。
案の上、こめかみの血管が切れてしまうのではというほどの顔をしたハロルド。
「よくもっ!よくもその様なことを言えたな!」
そうして火山が噴火したのを感じた。
この様な対応を見ても、この二人の領主としての器の小ささを感じるんだよね。
なんでこんな大事な話を冷静な頭で考えることができないんだろう。
「まさかお前がそこまでの愚鈍な奴だとは思わなかった。本当にわしの息子であるのか疑ってしまうわ!」
そうして怒鳴ったハロルドは呼吸を整えたのち、
「これまではお前にはお前の、領主としての考えがあると思って放っておいた。領主として成長するためには自分の考えで物事を進めることが大事だと私にはわかっていたからだ」
ハロルドが意外と立派なことを言い始めてビックリしてしまう。
まぁ私にはその考えを適用してくれなかった様だけどね。
「しかしだ!自分の能力の低さを棚に上げて、この様な田舎者に我が領地を任せるという暴挙まで許した覚えはない!」
あっ安定のハロルド様で逆に安心しました。
そうだよね、ハロルド様と言ったらこうでなきゃ。
今となっては無邪気に喜び出す私。
「私の様な偉大な元領主が、運営に口を出せば萎縮してしまうと思っていた。だがこれからは、先代のわしが教育をしてやりながら、トーマスを私を超えるような領主へとしてやろう」
「しかしながらお父様!ヘレナを婚約者として我が領地に連れてくるためには、多額の金もすでに支払っているのです。これではただ金をこの物の領地に寄付した様なものではありませんか」
確かにお金のことを後から言われるのは辛いなぁ。
あの時のお金はすでに領地の運営のために使っちゃったしなぁ。
どうしたものかと考えていると、我らがハロルド様が気持ちの良い一言を言ってくれる。
「その様な端金くれてやれ!そもそも金で婚約者を連れて来ようということがそもそも間違っておったのだ!」
ハロルドの言葉に項垂れるエリック。
どんまい!でも次があればお金以外の方法でつれてくるといいよ?まぁ次なんて無理だろうけどね。
内心は歓喜しながら、無表情のまま話を聞いていた私に顔に向かって、ハロルドが杖を向けてくる。
「最後の忠告だ、もう金輪際わしの領地に関わるな」
そうして私が待ち望んでいた言葉をハロルドお爺ちゃまが告げてくれる。
私は無念そうな表情を精一杯作り上げて項垂れる。
そうして最後に嘲笑った顔で私に告げてくる。
「これ以上お前のような田舎者と話していると品位が下がる。田舎者に相応しい見窄らしい馬車を用意しておいてやるからさっさと消え失せるがいい」
そう言って台風の様に私の部屋へと入ってきたハロルドは、言いたいことを言い終わると部屋から出て行った。
それを呆然としたままエリックは眺め、フラフラと怪しい足取りで私の部屋から出ていった。
そうして私は、正真正銘の自由を手に入れた。
それには気づかないままエリックは話を続ける。
「このヘレナは領地運営に対する才覚だけは本物なのです!言いたくはありませんが我が息子のトーマスよりも断然優れております。今後の領地のためを思えばここはグッと堪えて」
エリックが言い終わることすら待てなかったハロルドは、杖を振り上げてエリックの右肩へとそれを大きく振り下ろした。
「黙れ!!よくもそんな妄言を恥もなくいうことができたな!この領地を運営してきたものとは思えない言葉だ、恥を知れ!」
そう言って杖を何度もエリックへと叩きつけるハロルドを私は無感動に眺めていた。
自分の性格は聖女のそれではないので、私のことをずっと虐げ続けてきたハロルドにもエリックにも良い感情をもっていないのは当然である。
婚約者としての扱いとは到底思えないことをしてきたエリックに対する恨みが、一振りごとに消えていくかのようだ。
しかし、こんな乱暴を受けているのにエリックは尚も私のことを引き止めようと言葉を続ける。
「恥を承知で再度言わせていただきます。ヘレナの才覚は本物なのです、悔しながら私よりも、もしくはお父様よりも」
あ~あ、なんでそんなことを言っちゃうんだろう。
完璧にハロルドを逆撫でする様なセリフを言ってしまったエリックに、思わず笑い声が出るのを止めるのに大変だった。
案の上、こめかみの血管が切れてしまうのではというほどの顔をしたハロルド。
「よくもっ!よくもその様なことを言えたな!」
そうして火山が噴火したのを感じた。
この様な対応を見ても、この二人の領主としての器の小ささを感じるんだよね。
なんでこんな大事な話を冷静な頭で考えることができないんだろう。
「まさかお前がそこまでの愚鈍な奴だとは思わなかった。本当にわしの息子であるのか疑ってしまうわ!」
そうして怒鳴ったハロルドは呼吸を整えたのち、
「これまではお前にはお前の、領主としての考えがあると思って放っておいた。領主として成長するためには自分の考えで物事を進めることが大事だと私にはわかっていたからだ」
ハロルドが意外と立派なことを言い始めてビックリしてしまう。
まぁ私にはその考えを適用してくれなかった様だけどね。
「しかしだ!自分の能力の低さを棚に上げて、この様な田舎者に我が領地を任せるという暴挙まで許した覚えはない!」
あっ安定のハロルド様で逆に安心しました。
そうだよね、ハロルド様と言ったらこうでなきゃ。
今となっては無邪気に喜び出す私。
「私の様な偉大な元領主が、運営に口を出せば萎縮してしまうと思っていた。だがこれからは、先代のわしが教育をしてやりながら、トーマスを私を超えるような領主へとしてやろう」
「しかしながらお父様!ヘレナを婚約者として我が領地に連れてくるためには、多額の金もすでに支払っているのです。これではただ金をこの物の領地に寄付した様なものではありませんか」
確かにお金のことを後から言われるのは辛いなぁ。
あの時のお金はすでに領地の運営のために使っちゃったしなぁ。
どうしたものかと考えていると、我らがハロルド様が気持ちの良い一言を言ってくれる。
「その様な端金くれてやれ!そもそも金で婚約者を連れて来ようということがそもそも間違っておったのだ!」
ハロルドの言葉に項垂れるエリック。
どんまい!でも次があればお金以外の方法でつれてくるといいよ?まぁ次なんて無理だろうけどね。
内心は歓喜しながら、無表情のまま話を聞いていた私に顔に向かって、ハロルドが杖を向けてくる。
「最後の忠告だ、もう金輪際わしの領地に関わるな」
そうして私が待ち望んでいた言葉をハロルドお爺ちゃまが告げてくれる。
私は無念そうな表情を精一杯作り上げて項垂れる。
そうして最後に嘲笑った顔で私に告げてくる。
「これ以上お前のような田舎者と話していると品位が下がる。田舎者に相応しい見窄らしい馬車を用意しておいてやるからさっさと消え失せるがいい」
そう言って台風の様に私の部屋へと入ってきたハロルドは、言いたいことを言い終わると部屋から出て行った。
それを呆然としたままエリックは眺め、フラフラと怪しい足取りで私の部屋から出ていった。
そうして私は、正真正銘の自由を手に入れた。
0
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~
ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。
そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。
自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。
マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――
※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。
※第二章まで完結してます。現在、最終章をゆっくり更新中です。書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m
※小説家になろう様にも投稿しています。
婚約破棄された令嬢ですが、帳簿があれば辺境でも無双できます ~追い出した公爵家は、私がいないと破産するらしい~
Lihito
ファンタジー
公爵令嬢アイリスは、身に覚えのない罪で婚約破棄され、辺境へ追放された。
だが彼女には秘密がある。
前世は経理OL。そして今世では、物や土地の「価値」が数字で見える能力を持っていた。
公爵家の帳簿を一手に管理していたのは、実は彼女。
追い出した側は、それを知らない。
「三ヶ月で破産すると思うけど……まあ、私には関係ないわね」
荒れ果てた辺境領。誰も気づかなかった資源。無口な護衛騎士。
アイリスは数字を武器に、この土地を立て直すことを決意する。
——追い出したこと、後悔させてあげる。
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~
水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」
夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。
王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。
「左様でございますか」
彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
皆様覚悟してくださいませ。偽聖女の義妹から全て取り戻します。今まで受けた仕打ちは倍にしてお返し致します。
くろねこ
恋愛
「殴られても、奪われても、祈れば治るから大丈夫」
――そう思い込まされて育った公爵令嬢オリビア。
しかし、偽聖女を名乗る義妹に階段から突き落とされた瞬間、
彼女の中で“何か”が完全に目覚める。
奪われた聖女の立場。
踏みにじられた尊厳。
見て見ぬふりをした家族と神殿。
――もう、我慢はしない。
大地そのものに影響を与える本物の加護を持つオリビアは、知略と魔法で屋敷を制圧し、偽りを一つずつ洗い流していく。
敵意を向けた者は近づけず、逆らった義母は“環境”に叱られ、王太子は腹を抱えて大笑い。
「奪われたなら、取り戻すだけです。倍……いえ、一万倍で」
これは、偽りの聖女からすべてを奪い返し、本物が“正しい場所”に立つ物語。
ざまぁ好き必読。
静かに、確実に、格の違いを見せつけます。
♦︎タイトル変えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる