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悪役令嬢になることを決めた日
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「…一体なにをするつもりですか?」
アイリーンが心配そうな面持ちでこちらを見つめる。
「そうねぇ、まずは評判通り身分差をいいことにアイリーンに1つ命令しようかしら」
「えっ!」
これまで1度もこんなことを言い出さなかった私に驚きの声をあげる。
そして悲しそうな顔をしながらも、決して私のそばを離れることはしない。
「どんなことを命令されるのでしょうか?これまでの恩を忘れたわけではありませんので何でも言ってください」
健気なことを言ってくれるアイリーンに悪そうに見える表情をして言いつける。
「それでは…」
た
「これからは私のことをアミーリア様というのは禁止です。アミーと言いなさい」
「…それは一体どういうことでしょうか?」
どんなことを言われるのかと緊張していたようだが、予想外のことを言われて普段はよく回る頭が停止しているようだ。
あえて悪役っぽい表情で話を続ける。
「そんなこともわからないの?私の呼び方を変えなさいと言っているのよ」
「いえ、それはわかります。しかし、なんのためにそんなことをするのかが分かりません」
「ふぅ~。そんなの簡単でしょ?」
そう言ってアイリーンのおでこに私のおでこをピッタリとくっつけて言い切る。
「私があなたと身分なんか取っ払って、もっと仲良くなりたいからよ。アイリ」
そう言って笑いかける私に戸惑っているアイリ。
「そんな、名前など変えなくてもすでに十分に親しくさせていただいてます」
「だめ、これから私がやりたいことのためには絶対に必要なの。だから…アミーって呼んで?」
そう言ってもなおも、反抗するアイリ。
「私がアミーリア様のことをアミーだなんて!恐れ多くて言えません」
「だ~め。何でも言っていいんでしょ?それともこんな事もできないぐらいあなたが感じている恩は少ないの?」
こういえばアイリがうんと言う言葉を投げかける。
「そんなこと言われたら従うしかないってわかって言ってますよね。…アミー?」
不安げな顔で私の愛称を呼ぶアイリ。
思わず抱きしめたくなるような庇護欲を掻き立てる顔を見せてくる。
「そう、それでいいのよ」
そう言ってよくできましたと言わんばかりに頭を優しく何度も撫でる。
「それで結局、これからどうしたいんですか?」
アイリもこれから私がどう変わっていこうとしているのか心配しているようなので、勿体ぶらずに言う。
「お互いの身分なんか気にせずに生きることにする」
私の発言に目を見開くアイリ。
「これまでは気にしてたんですか!?」
そっちの驚きですか!
「気にしてたよ。アイリと仲良くなりすぎると、身分が高い生徒が私やアイリに悪口をいうに決まっているからね。でもこれからは気にしないよ?」
「学園でそんなことを言うだなんて…正気ですか?」
ここカトミエル学園は将来有望な若者を集め、国を支えてくれるような人材を育てたり、自身の領地に戻りこれまで以上に繁栄させるための知識を与えるために設立された。
当初は身分など関係なく、自身の能力を研鑽し、その能力がものを言う学園であった。
しかし、いつの頃からかどこの出身で家での立ち位置がどうであるだとか、領地と領地との関係がものを言う世界となってしまっていた。
「正気よ、だって私の周りからの評価ってすごいのよ。一体なんて呼ばれていると思う?悪役令嬢だって、笑っちゃうよね?」
「そんな!アミーリア様が悪役だなんてあり得ません!」
「アイリ、呼び方が間違えているわよ?」
「…アミーが悪役だなんて間違っています」
「いいのよ言わせておけば。でもこれからは確かに悪役になるかもしれないわね」
私の発言に不穏なものを感じ取るアイリ
「この学園を身分至上主義から能力主義に変えてやるの!今までは自分の身分にあぐらをかいて、大した能力のなかった奴らを肩身の狭い思いをさせてやるの」
なんて楽しいことを考えついてしまったんだろう!
「っっ!そんなことをしたら猛反発に合います!やめておきましょう!」
アイリからしたらその方が絶対に生き易いのに、なおも私のことを心配してくれる。
そんなアイリだからこのことを最初に打ち明けたんだ。
「だめ、決めたの。昨日のラルフだって口ではあんなことを言っていたけど、結局は身分の高いものが偉くて低いものはそれに従うべきって考えだからあんな行動を取ったのよ?」
強引に腕を掴むで歩かせようだなんて、自分よりも立場が低いと思ってないとそんな行動には出ないだろう。
「入学した時から思っていたの。なんで能力がない人が幅を利かせているんだろうって。将来の国を支えてくれるのは、身分だけが高い馬鹿な生徒ではなく、身分なんか関係なく能力がある人であるべきだって」
まぁそんなことを考えるのも、私がエグレシア領というこの国で最も経済的に潤っており領土も広大だからである。
この学園に入ってからラルフが想像以上に使えない人材だったので、ラルフの代わりに私が領主の業務を行うつもりさえあった。
そのため、領地の繁栄のためにどうすべきかを考えることが多かった。
昨日の出来事も含めて考えての結果がこれだ。
「アイリは私についてきてくれるよね?」
アイリに不敵に告げる。
「もちろんです。…アミー」
そう言って私のことを無垢な瞳で見つめてくれた。
「そう言ってくれると信じてたよ」
こうして私は、悪役令嬢への第一歩を踏み出し始めた。
アイリーンが心配そうな面持ちでこちらを見つめる。
「そうねぇ、まずは評判通り身分差をいいことにアイリーンに1つ命令しようかしら」
「えっ!」
これまで1度もこんなことを言い出さなかった私に驚きの声をあげる。
そして悲しそうな顔をしながらも、決して私のそばを離れることはしない。
「どんなことを命令されるのでしょうか?これまでの恩を忘れたわけではありませんので何でも言ってください」
健気なことを言ってくれるアイリーンに悪そうに見える表情をして言いつける。
「それでは…」
た
「これからは私のことをアミーリア様というのは禁止です。アミーと言いなさい」
「…それは一体どういうことでしょうか?」
どんなことを言われるのかと緊張していたようだが、予想外のことを言われて普段はよく回る頭が停止しているようだ。
あえて悪役っぽい表情で話を続ける。
「そんなこともわからないの?私の呼び方を変えなさいと言っているのよ」
「いえ、それはわかります。しかし、なんのためにそんなことをするのかが分かりません」
「ふぅ~。そんなの簡単でしょ?」
そう言ってアイリーンのおでこに私のおでこをピッタリとくっつけて言い切る。
「私があなたと身分なんか取っ払って、もっと仲良くなりたいからよ。アイリ」
そう言って笑いかける私に戸惑っているアイリ。
「そんな、名前など変えなくてもすでに十分に親しくさせていただいてます」
「だめ、これから私がやりたいことのためには絶対に必要なの。だから…アミーって呼んで?」
そう言ってもなおも、反抗するアイリ。
「私がアミーリア様のことをアミーだなんて!恐れ多くて言えません」
「だ~め。何でも言っていいんでしょ?それともこんな事もできないぐらいあなたが感じている恩は少ないの?」
こういえばアイリがうんと言う言葉を投げかける。
「そんなこと言われたら従うしかないってわかって言ってますよね。…アミー?」
不安げな顔で私の愛称を呼ぶアイリ。
思わず抱きしめたくなるような庇護欲を掻き立てる顔を見せてくる。
「そう、それでいいのよ」
そう言ってよくできましたと言わんばかりに頭を優しく何度も撫でる。
「それで結局、これからどうしたいんですか?」
アイリもこれから私がどう変わっていこうとしているのか心配しているようなので、勿体ぶらずに言う。
「お互いの身分なんか気にせずに生きることにする」
私の発言に目を見開くアイリ。
「これまでは気にしてたんですか!?」
そっちの驚きですか!
「気にしてたよ。アイリと仲良くなりすぎると、身分が高い生徒が私やアイリに悪口をいうに決まっているからね。でもこれからは気にしないよ?」
「学園でそんなことを言うだなんて…正気ですか?」
ここカトミエル学園は将来有望な若者を集め、国を支えてくれるような人材を育てたり、自身の領地に戻りこれまで以上に繁栄させるための知識を与えるために設立された。
当初は身分など関係なく、自身の能力を研鑽し、その能力がものを言う学園であった。
しかし、いつの頃からかどこの出身で家での立ち位置がどうであるだとか、領地と領地との関係がものを言う世界となってしまっていた。
「正気よ、だって私の周りからの評価ってすごいのよ。一体なんて呼ばれていると思う?悪役令嬢だって、笑っちゃうよね?」
「そんな!アミーリア様が悪役だなんてあり得ません!」
「アイリ、呼び方が間違えているわよ?」
「…アミーが悪役だなんて間違っています」
「いいのよ言わせておけば。でもこれからは確かに悪役になるかもしれないわね」
私の発言に不穏なものを感じ取るアイリ
「この学園を身分至上主義から能力主義に変えてやるの!今までは自分の身分にあぐらをかいて、大した能力のなかった奴らを肩身の狭い思いをさせてやるの」
なんて楽しいことを考えついてしまったんだろう!
「っっ!そんなことをしたら猛反発に合います!やめておきましょう!」
アイリからしたらその方が絶対に生き易いのに、なおも私のことを心配してくれる。
そんなアイリだからこのことを最初に打ち明けたんだ。
「だめ、決めたの。昨日のラルフだって口ではあんなことを言っていたけど、結局は身分の高いものが偉くて低いものはそれに従うべきって考えだからあんな行動を取ったのよ?」
強引に腕を掴むで歩かせようだなんて、自分よりも立場が低いと思ってないとそんな行動には出ないだろう。
「入学した時から思っていたの。なんで能力がない人が幅を利かせているんだろうって。将来の国を支えてくれるのは、身分だけが高い馬鹿な生徒ではなく、身分なんか関係なく能力がある人であるべきだって」
まぁそんなことを考えるのも、私がエグレシア領というこの国で最も経済的に潤っており領土も広大だからである。
この学園に入ってからラルフが想像以上に使えない人材だったので、ラルフの代わりに私が領主の業務を行うつもりさえあった。
そのため、領地の繁栄のためにどうすべきかを考えることが多かった。
昨日の出来事も含めて考えての結果がこれだ。
「アイリは私についてきてくれるよね?」
アイリに不敵に告げる。
「もちろんです。…アミー」
そう言って私のことを無垢な瞳で見つめてくれた。
「そう言ってくれると信じてたよ」
こうして私は、悪役令嬢への第一歩を踏み出し始めた。
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