異世界のお約束を無視された!? ロリ姫とロリコンが繋がる愛物語り。(仮)

オジSUN

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六章 大戦編

百三十五 始まるよね

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 朝、目覚めると両の手に可愛いシズクとアレスが居る。
 俺に残った最後の希望、この子達だけは必ず守る。守って良いはずだ。俺の子供なのだから、この醜く残酷な世界から。

 「あら? ダーリン早いわね」
 「おはようセレナ。セレナこそ早いね」
 
 二人を眺めていると、まだ日も昇っていな時間にセレナは居間で頼りない蝋燭の灯を頼りに何かをしていた。
 起きた俺に気付いたセレナは薄い唇に人差し指を当てて、手招きをしている。
 俺はシズク達を起こさないようにそっと立ち上がり、居間に向かう。

 テーブルの上に小さな蝋燭を灯、そこでセレナは鉄の剣を研いでいた。
 丁寧に、一つ一つ丁寧に、想いを篭めるようにその剣を研いでいく。

 「ねぇ。ダーリン、子供達は寝てるわ。久しぶりにスキンシップよ。隣に座ってくれるだけで良いのよ」
 「セレナ......うん」

 セレナの隣の椅子を引き腰掛ける。俺が隣に座るとセレナは肩を寄せて軽く体重かけて来る。
 そんなセレナに疑問を一つ。

 「何してるの? セレナは剣なんか使わないでしょ」
 「私のじゃないわ、これはアレスにあげるのよ。まだ内緒よ?」
 「うん」

 しばらく、セレナが剣を研磨する音だけが静かに響いた。
 そうして、その心地のよい旋律を聞いていると、セレナが口を開いた。

 「ダーリン、子供達はもうここに留めて置けないわ。わかっているのでしょ?」
 「......まだ。七歳だよ? 何いってるの?」
 「ダーリン、私は真面目に言っているのよ」

 小さな声だが、セレナの声は確実に重みを持っていた。
 わかっているかって? わかっているに決まっている。シズクはまだのようだが、アレスはもうずっと外の世界に出たがって居る。
 大きな世界を旅してみたいのだろう。

 元気な男の子のアレスには、この山奥の家は小さいのだろう。流石はセレナの子だ。
 大きな外の世界を経験し、探検し、己の求める何かを探したいのだろう。

 「私は行かせてあげるべきだと思うわよ」
 「............行かせたら、もうアレスにはもう会えないかもよ」

 会えないだけならまだ良いのかもしれない。もし、アレスが俺の......悪神の子だと世界にしられたら......どうなるかわからない......
 俺は子供達を守らないといけない。

 「そうね。でも、それでも最後はダーリンが決めることよ。だから何時言われても良いように覚悟と答は用意しておくのよ? それはダーリンにしか出来ないことよ」
 「うん......セレナ」
 「何かしら?」
 「抱......いや。何でもないよ」

 とても遠く感じる。セレナだけではない。ロニエも、アレスもシズクも、全て俺の選択の結果から今がある。違う選択をしていたらここに......

 罪悪感が消えない。置いてきた全ての人達に対して。その罪悪感さえ俺と共有出来る人はいない。全ての人が俺を忘れた。だから俺は今ある物だけは離したくない。

 でも......人に触るのが何時からか怖くなっていた。
 どんなに絆や愛情を深めようと、一瞬で全て無くなってしまうから、積み上げた物が壊されてしまう苦しさをもう一度味わいたく無い。
 欲望のままに身体を貪ろうと何しようとそれは全て無意味なことに変わってしまうから。
 変わってしまったのだから。またロニエ達の時間を奪われたら俺は本当に駄目になる。

 無くしてしまった全てのものを諦めて折角......セレナ達と新しく始めようと思ったのに、それでも諦めたはず物が気になってどうしようもない。本当に哀しくて、捨てたものばかり気にしてしまう。

 天野ロニエが笑ってくれた。過ごした時間。天野セレナとともに愛し合った全ての時間。何より、生まれかけた、ヒムートが宿していた子供。ルミアや、デリカとの幸せ。大切な時間。それらを全て今のセレナの為に捨てたのに結局、 悲しみと後悔だけで前が見られない。そして度々試したくなる。
 
 「セレナ、今幸せ?」
 「そうね。私は幸せよ。私はね」
 「本当? セレナ、急に居なくなったりしない?」
 「しないわよ。前の私が契約を残して居るわ」
 「......うん。セレナ消えないでね」

 心の中の川が荒れ狂う、失う事が怖くて、捨てた物が大きすぎてこの二年まともにセレナやロニエの事を抱きしめられたことすら無い。
 でも、アレス、シズクは抱きしめられる。

 恐怖が俺の心を支配していた。

 寝床で静かにセレナと光を見ていたロニエが寂しそうに目を閉じた。

 「ん? アレス達の一人部屋?」

 朝食の最中、ロニエが言い出したのはやはり、子供達の自立の話。
 俺は、出来ればずっとアレス達を俺の側に置いておきたい。がそれは俺の願望だ。
 子が親の元を離れるのは自然の摂理......パパ、パパと俺を呼んでいたのはもう、昔の話。
 人は成長する、そして自分を持ち自分の欲望を欲する。
 ......やりたいことをやるのだ。

 それを俺には止められない。子供達ももう、一人の人と言う事か.......この四人での静かで幸せな生活ももうすぐ終わりか、短かったとても短い幸せだった。
 七歳か......日本ならまだ小学生だ......俺なんか、将来はヒーローになりたいとか頭悪い事しか考えて......

 「アレス、何か為りたいものとかあるの?」
 「正義の味方になりたい!」

 うん。頭悪い。流石は俺の子だ。
 よりにもよって、正義とかいう一番正義という言葉から遠い存在になりたいとか......って否定するのも良くないか。
 でもここで止めるのも親としての義務では?

 とか、思考にふけっていると、シズクがため息をついた。

 「お父様、アレスの馬鹿はほおっておいてください。私が後で説き伏せて起きます」
 「うん。よろしく」

 段々とロニエの腹黒い所が似てきた、シズクはシズクでもう、俺以上の事を見えているのだろう。多分シズクは俺より頭良さそうだし。

 「パパと一緒だとやなの?」
 「お父様が嫌なわけありません。ただ......」

 言葉を濁らせるシズクの後を継いだのはセレナだった。
 
 「ダーリン、駄目よ。乙女にそんな事を聞いちゃいけないわ」
 「意味がわからん」

 意味はわからないが、分かったことにしよう。
 うんそうしよう。
 シズクは俺と寝たいが、色々あってもういやなのか、ん? それ普通に嫌われてね?
 深く考えてはいけないか。

 「まあ、良いか。シズクはともかく、アレスが甘えん坊になったらいけないしね。俺のこと好きに為りすぎちゃったりね......ん? アレスどうかした?」
 
 ちっという舌打ちが聞こえた気もするが、うん。気のせいだろう。
 可愛い息子である、アレスがそんなことをするわけ無いしね。
 
 「よし、じゃあ、セレナに作って貰いなよ。あんまり負担になることさせちゃ駄目だからね」
 「分かってるよ」
 「ふふん。任せなさい。お城ぐらいなら余裕よ」

 話が纏まりかけた所で言い出しっぺのロニエが口を挟んだ。

 「いえ。セレナが手を貸すのは駄目です」
 「何でよ! 別に私は大丈夫よ!」
 「セレナの力はあくまでヒカル様の為に使うのでは、無かったのですか?」
 「!! そうね.......そうだったわね」

 セレナとロニエは言葉というよりも視線で会話しているようで、言葉に意味はほとんど無い。

 「アレス、男の子なら欲しいものは自分の力で手に入れるのです。自室が欲しいのなら自分で作りなさい。勿論シズクも協力しても良いですよ」
 「うん。分かったよ。ロニエお母さん。じゃあ今日からやっても良い?」

 ロニエの思いの外厳しい条件をだされたのに、アレスは怯まず先に進む。
 それ程、部屋が欲しいのか? いや、それだけじゃないか、アレスはロニエに認められたのが嬉しいのかも知れない。

 そんなアレスの前向きな姿を見てロニエは優しく笑った。その笑みは少しだけ天野ロニエの笑みに似ていた気がした.......
 俺との時間が全て消されたロニエは.......肉体年齢.......いや精神年齢ですらリセットれている。ロニエとセレナがアレス達を我が子のように育てるのを過ごすのを見ていて気付かなかったが、今のロニエは俺と過ごした時間が無い、俺の記憶はあげたけどそれだけ、つまりロニエとセレナはとても幼いのではないか?

 そこでそのことに今更ながらに気付いてしまった。
 アレス達を子供扱いしてきたが、ロニエ達だってそうそう変わる年頃出は無い。

 「セレナ、ロニエ、気付いてあげられなかった」
 「「!!」」

 セレナとロニエが同時に息を呑んでいるが、俺は踏み込む。
 
 「ロニエとセレナにもやりたいことはあるよね.......それなのに俺は君達の事を二年も閉じ込めてしまった」

 セレナとロニエが俺の記憶の中の天野ロニエと変わらないように見えるから気付かなかったが、あるはずだ。それを俺は無視していた。いや既にやったことにしていた。

 セレナとロニエの願いを願望を無視していた。二年間も。

 「ロニエ、セレナ、今までありがとう。でももういいよ。もう.......いいよ。もう、好きに生きて良いよ」
 「ダーリン!!」

 胸の痛みが消えない、そんな俺にセレナが抱き着いたそしてそのままキスをしてきた。俺は嫌悪感からセレナを引きはなさそうとしたがセレナはしがみついて離れない。
 セレナだけではない、ロニエも食器を落として俺のお腹に抱き着いた。
 とりあえずセレナを無理矢理剥がす。それ程嫌悪感が激しい。

 するとセレナが哀しそうに涙を流していた。そのまま、アレスとシズクを見もせず言う。

 「行きなさい.......出て行きなさい!」

 アレス達が返事をしたかしてないかはわからなかったが、素直に外出した事で部屋の中には俺とセレナ、そしてロニエしか居ない.......それが心底居心地が悪かった。
 
 「ダーリンは! 私の事を愛しているのよね!」
 「うん」

 セレナの大声量に俺は即答する.......が、セレナの涙は止まらなかった。

 「なら、何で駄目なのよ.......何で嫌がるのよ」
 
 独白? 懇願? 違う、ただ涙を流してはかなげに俺に手を伸ばしている。

 「嫌がって無いよ.......」
 「アレスとシズクは好きよ。我が子だと思って愛してるわ。でも! ダーリン.......私は! ダーリンのなんなんのよ!」
 「!!」

 長い間をとってもセレナの問いの答はでなかった。
 セレナは俺にとってかけがえない.......何だ? わからない。

 「ダーリンがくれた。記憶の中の私はダーリンの妻だったわ。毎日それは楽しそうだったわ。でもダーリン.......私は.......どうすれば良いのよ.......」

 立場として消して言えない事はある、それら全てを飲み込みながらセレナは話す。言っていけない事を逸らしながら。

 「セレナは俺の側に.......」
 「居られないじゃない! 居させてくれないじゃない! ダーリンが私を拒むじゃない! ダーリンの気持ちはわかるわよ! でも関係ないわ! ダーリンは私を愛しているのでしょ? お願いよダーリン.......せめて私を拒まないでよ」
 「.......」

 俺の沈黙にセレナは息を吐いた。
 それから流れ出る涙を拭いて笑った。

 「ふふん。もう良いわよ。.......楽しかったわダーリン。お別れよ。今の私は貴方の妻に成れないわ」

 それだけ言ってセレナは姿を消した。

 「セレナ? セレナ、セレナ!!」

 呼んでもセレナが現れることは無かった.......
 残ったのは.......

 「ヒカル様.......大丈夫ですよ。ロニエはどこにも行きません。ヒカル様が何をしてもしなくても、認めてくれなくても、ロニエはヒカルの妻でありつづけます」
 「いや.......もういいよ。ロニエ、気付いてるだろ? 響かないんだよ.......ロニエの言葉。俺の心にあれ程届いたロニエの言葉が響かないんだよ。無理してるよね?」

 凍り付いた俺の心だけだった。
 もう、何もかも捨てたかった.......ロニエが天野ロニエなら俺はきっと前に進めただろう。でも進めない。

 「俺は多分、セレナのことは好きだった。変わってもセレナの事は好きだった。でもさロニエ」
 「ロニエは!」
 「うん。ロニエだろ? 知ってるよ。間違いないよ。でもほらね。俺はロニエが好きじゃないんだ.......天野ロニエなら絶対に俺に言わせなかったよ。無理なんだよ。ロニエ、君に天野ロニエのまね事はさ」

 セレナが居ないことでハッキリと分かった。俺はロニエ・ノースカロライナを好きではない。
 その事実が分かった。

 「フフフ、そう、ですか。今のロニエにはヒカル様の心を掴むことは出来ないのですね」
 「うん。出来てない。響か無いんだって、ロニエを失っても俺は悲しくない」

 バチン。ほほおを叩かれたが痛みを感じなかった。
 そして涙を流しながらロニエは言った。

 「離婚です!! ヒカル様。後悔してください.......」

 ロニエの言葉には何も感じない.......虚ろな感情だけがその場に残った。
 家の出口に向かうロニエは出る直前に言った。

 「それでも、私はこの二年幸せでしたよ」

 そういって、ロニエは家をでた。
 後に残ったのは、まだ少し暖かい料理と割れたお皿.......そしてそれを前にして涙すら枯れた俺一人だけだった。

 その日から、誰一人家に帰る者は居なかった山奥の小屋でただ一人になった。
 セレナの結界が何時まであるのかすらわからないが、独りで見る星空はとても悲しい景色だった。

 「自業自得だよね」

 その日、俺は俺の手で全てのものを壊してしまった。
 記憶の中のセレナとロニエとヒムートの笑みを想い独り涙を流した。
 そして全てを失って初めて覚悟というものを知った。

 アルランを倒す。いや.......こんな残酷な世界を壊す。

 それが俺の唯一無二の目的となった。
 その瞬間、俺の身体の周りを漆黒の靄が舞、手に一本の黒い剣を握り締めていた。
 それが、魔王の剣だという事を俺は知らなかった。

 だが、三人の勇者と魔王だけはその存在が現れた事を瞬時に理解した。
 世界の南の端の『門』といわれる聖地に印が刻まれた。
 絶望の魔王の印が刻まれた。
 虚無の魔王の印と絶望の魔王の印。その二つの印を見ていたのは、大賢者とその隣を侍る大賢者の妻、ロイナという美しい女だった。

 「後、一人ですね」
 「いや、駒は揃ったぞ」

 大賢者の見つめる門に最後の印しの復讐の魔王の印しが刻まれた。
 その瞬間門が開き、大量の魔物が出現し世界中に流れこんだ。

 光に別れを告げたセレナは、一度アレスとシズクの元に向かった。
 近くの密林でシズクと共に木材を拾っていたアレスを発見したので声をかける。

 「アレス」
 「セレナお母さん! お父さんは良いの?」
 
 アレスの質問には答えずにセレナはアレスの小さな身体に手を回す。勿論、セレナも小さいのだが、回して抱きしめた姿はまさに母親そのもの。
 
 「愛しているわ、アレス」
 「!」

 セレナの告白に顔を赤らめるアレスの頭を優しく撫でながらセレナは続ける。

 「アレス、もうあの家に戻っては駄目よ。貴方は世界を自分の目で見てみなさい。そして自分の頭で考えなさい。ここに縛られる必要はもうないわ」

 頭を優しく撫でながらあったかい涙がこぼれ落ちていく。セレナにとってアレスの旅立ちは遅いぐらいだ。光が基本的に甘やかすから、セレナは光に内緒でアレスに一人で生きる術を教えてきた。
 それは、アレスとシズクが旅立ち、夫婦水入らずになることで、光の心を癒す事に集中出来ると思っていたからだったのだが.......

 ーーーそれも無駄になったわね。ダーリンにとって私はセレナの替え玉でしかないのだから.......

 落胆と諦念を顔には出さずにセレナはアレスの背中をさすった。

 「行きなさい。自由に生きるのよ」

 アレスは、ずっとこの瞬間を待っていた。父親に従事する、いたいけな年上の少女セレナの事を母親と呼ばせる、父の元を離れるこの瞬間を、ずっと待っていた。
 そして、急ではあるがそれは今であるんだと理解した。だからこそ正義の味方に憧れた青年は自分を優しく抱き涙を流す青い少女に手を指し述べる。

 「セレナお母さん.......俺と一緒に行こう! あんな男と共に居ちゃセレナお母さんが駄目になるよ」
 
 少し腕に力が入ったことを感じながらアレスは続けた。男として続けた。

 「セレナは俺が守るよ。俺なら絶対にセレナを泣かせないよ。だから俺と一緒に行こうよ」
 
 言い終えセレナの顔を見つめる。
 その表情は驚き、セレナは暫く黙り混込みもう一度アレス強く抱きしめてから。

 「あら? いい男になったわね。誰に似たのかしら? まさか私を口説きに来るとはね」

 そういってから、笑った。

 「ふふん。そうね。ダーリンの子だものね、私を好きになるのは当然よね。でも駄目よ。私はダーリンのものだわ、いくらアレスを愛していたとしてもあげられないわ。諦めなさい」
 「どうして! あんな男の為にセレナが!」
 「あんな男だからよ。最低よね、本当に最低よ。でも愛しているのよ。私を救い出してくれたのは紛れもなくダーリンだったのよ.......違うわね。もうそれだけではないわ、人を愛するのに理由なんて無いのよ。貴方が私を好きになったようにね。母親を好きになるなんてマザコンね。まぁそれもダーリンの子らしいわね」

 セレナには、光と過ごした期間は山奥での二年間しかない。後は光に植え付けられた十年以上の記憶の断片しかない。しかも光は、この山奥に来てからまるまる二年、死んだような虚ろな目でいただけで恋人らしいことを何一つしては居なかった。
 それでも、セレナが光を好きなるのは十分な時間だった。言葉や仕種、表情その全てを愛おしく思っていた。

 セレナは想いを籠めた自作の剣をアレスに渡して森の奥を指す。

 「行きなさい。もう出れるわよ」
 「セレナ.......」
 「ふふん。また会えるわよ。だから行きなさい」

 アレスの背中を押して森の外まで風の魔法で歩ませた。その背を見てから、今度はシズクに声をかける。

 「貴女はどうするのかしら?」
 「私は母様と父様を待ちます」
 「ふふん。ファザコンね。ダーリンの子は特殊性癖になるのかしらね。アレスは良いのかしら? 仲がよかったじゃない。父親より腹違いの双子の方がまだマシよ」
 「構いません。アレスの事は信じていますし、私は父様を支えたいのです。私はアレスと違いあの頃の父様を覚えていますから」
 「それでも私達のことは覚えて無いのよね」
 「はい。母様とセレナ母様の事は覚えて居ません。本当に私の母様なのですか?」

 セレナは空に浮きながらシズクに答える。

 「私にもわからないわよ。自分に知らない子供がいるのよ。気持ち悪くて仕方がないわ」
 「そんなこと言って良いのですか?」
 「ダーリンには内緒よ? でも言って良いのよ、だっていくら気持ち悪くても貴女のことを愛しているもの」

 セレナはシズクに打ち明けて、頭がスッキリとしていく事に気がついた。
 そんなセレナにシズクがトリガーを引いた。

 「セレナ母様は父様を捨てるのですか?」
 「ふふん。違うわ。ダーリンが私を捨てたのよ。許さないわ。後悔させてやるわ」

 勝つて無いほど、セレナの魔力がわき出して、セレナの身体を黒い茨が絡み付いた。
 そしてセレナはかつて暴走させた茨の服を着こなして目の前に現れた黒い杖を手にした。

 「だから、ダーリンを傷つけた全てを私が壊すわ。もし世界がダーリンを傷つけるのなら私は世界を壊すわ。その後もう一度ダーリンと幸せになる事にするわ。ダーリンの全てを取り戻してね」

 シズクが瞬きをした時にはもう、セレナは居なかった。
 三魔王最後の一人復讐の魔王が生まれた瞬間だった。

 シズクは振り返り、家に戻ろうとしたところで、家から出てきたロニエとかちあった。
 ロニエシズクを見ると言った。

 「今のロニエはヒカル様の元にいる資格がありません」
 「では母様はどうするのですか?」
 「資格が無いなら取りに行くだけです」

 足を進めようとする、ロニエの手をシズクがとった。

 「母様その資格、私も取れますか?」
 「フフフ、私の子ですね」

 ロニエとシズクはそのまま森を出た。光が無くしたものを取り戻すために。
 自分から無くなった時間を取り戻すために。
 
 
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