光る骨の剣

k_i

文字の大きさ
10 / 10
第1章 勇者の未亡人

しおりを挟む
「ミコシエ……?!」
 ミコシエは頬の血を手でふき取り、剣を一振りしてべっとりした魔物の血を振り払った。
「大丈夫だ」
「ミコシエ、あなた……あんな……私、恐かった……」
 レーネはこの男が本当に正気なのかとまじまじと見つめる。
「すまない。大丈夫だ、もう」
 私は取り戻したのだ――とミコシエは小さく呟いて付け加えた。
 静かだった。また、霧の世界……それが今はパチパチと音を立て、静かに燃えている。
「しまったわ、まさかこんなに……」
「魔物を追い払ったんだ。私達の勝利さ」
 広まる山火事の中、二人はひた走った。
 ミコシエは左右見渡す。霧の中の影法師。火の中の影法師。動くものはない。
「逃げられないかもしれない……道は皆目わからないし、火は、広がるばかりだわ」
 レーネが立ち止まる。ミコシエは目を閉じた。
「逃げられるさ」
「自分の放った火で、焼かれて死ぬなんて、ね」
「こっちだ」
 ミコシエは、レーネの手を引いた。レーネは驚く。ミコシエも。思わず、手を引いていた。
 でも、見えたのだ、ミコシエには。目を閉じて広がった視界の中に、逃げ道が。夢と、火に包まれる今のこの世界のあわいを縫って、走った。今迄夢で見えていた世界にも、不思議と起伏が現れていた。景色が変わっている。でも、見覚えがある……辿り着く……そうミコシエは確信した。
 視界が開け、霧も火もなかった。
 数歩先で森も開けており、夜の丘陵帯が広がっている。
「ここは……? どういうこと。霧が開けて……峠を抜けた? あ、ああ。あれは街灯かりだわ?」
 峠の中、霧を抜けたら街が? いぶかしむように呟いて、レーネは前後を見渡す。後方にも追ってくる火の気配はなかった。いつの間にそんなに走ったのだろう。
「テラス=テラ……」
「えっ」
「テラス=テラか」
「知っているの? テラス=テラ……ここは一体何処?」
「ユミテ国に着いたんだ」
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

simesu
2018.12.16 simesu
ネタバレ含む
2018.12.16 k_i

本作をお読み頂き、また、ご感想も頂きまして誠にありがとうございます。
ご感想を頂くのは初めてで勝手が分からない面もあるのですが、一応ヒロインに関する部分についてネタバレ含むとした上で承認・公開させて頂きました(ネタバレ等書いて頂いても全然大丈夫です)。

6章はある意味、意外...というか衝撃的...というかな展開になっているかもしれませんね。
最初に物語のプロットを思い付いた時にはできていた展開でした。

タイトル画の女性は、おっしゃる通りレーネです。
少し若い見た目に描いて頂いていますが設定では確か3×歳です...ね。

次章についてもありがとうございます。私はこのように硬い文(この作品は、崩しているつもり)を書く人間で、ラノベ等畑の人間ではない私なりに書いた主人公最強となっています。
ご遠慮なくご意見やご感想頂けますと、幸いでございます。

解除

あなたにおすすめの小説

王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル

ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。 しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。 甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。 2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

花鳥見聞録

木野もくば
ファンタジー
花の妖精のルイは、メジロのモクの背中に乗って旅をしています。ルイは記憶喪失でした。自分が花の妖精だったことしか思い出せません。失くした記憶を探すため、さまざまな世界を冒険します。 記憶を取り戻して真実を知った時、ルイとモクの選ぶ道は?

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。