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第1章 雨の回廊
雨の回廊の終わり
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一行は再び、雨の回廊を行く。
調べた結果穴が空いていただけならよかったのだが、さきのようなこともあったので、再度、ミルメコレヨンの部下が一騎戻ることになった。ミシンらはゆっくり歩を進めるので、報告次第に追ってくるように伝えた。
ミシンは、さきの奇妙な出来事が気持ちに引っかかってはいたが、それもやがて、雨の回廊を行くうち、雨が刻む微細な感情の起伏の中に取り込まれていき静かになった。
以降は回廊に穴が空いているということはなかった。もっとも、それ自体が滅多とさえあることではないのだ。
一度、そろそろ半ばは過ぎた頃だろうとミジーソが言った。
ミシンには時間の感覚が感じられず、どれだけここを歩いても苦にならないと思わせる心地よさであった。
やがて、雨だけしかない、回廊の上空を何かがよぎっていくのを見る。
あれは? ミシン以外は皆、ある者は前だけを見て、ある者はうとうとと首を傾げるように行くばかりで、気づかない。
木馬だ。
雨に隠れてほとんどその姿は見えないけれど……
一頭だけの、首のない木馬が群れからはぐれたように、高いところを駆けていく。都の方角から、ミシンらを追い越して、先へ先へ。
レチエ。
メリーゴーランドを廻している。
そこから、一頭の木馬が群れを離れて、彷徨いだした。
きみは、木馬の言いたいことを知って、見咎めなかったのだろうか。メリーゴーランドが、レチエが、描く円から逸れて、一頭の木馬が一直線を描いてどこかへ駆けていく。
(雨の回廊 了)
調べた結果穴が空いていただけならよかったのだが、さきのようなこともあったので、再度、ミルメコレヨンの部下が一騎戻ることになった。ミシンらはゆっくり歩を進めるので、報告次第に追ってくるように伝えた。
ミシンは、さきの奇妙な出来事が気持ちに引っかかってはいたが、それもやがて、雨の回廊を行くうち、雨が刻む微細な感情の起伏の中に取り込まれていき静かになった。
以降は回廊に穴が空いているということはなかった。もっとも、それ自体が滅多とさえあることではないのだ。
一度、そろそろ半ばは過ぎた頃だろうとミジーソが言った。
ミシンには時間の感覚が感じられず、どれだけここを歩いても苦にならないと思わせる心地よさであった。
やがて、雨だけしかない、回廊の上空を何かがよぎっていくのを見る。
あれは? ミシン以外は皆、ある者は前だけを見て、ある者はうとうとと首を傾げるように行くばかりで、気づかない。
木馬だ。
雨に隠れてほとんどその姿は見えないけれど……
一頭だけの、首のない木馬が群れからはぐれたように、高いところを駆けていく。都の方角から、ミシンらを追い越して、先へ先へ。
レチエ。
メリーゴーランドを廻している。
そこから、一頭の木馬が群れを離れて、彷徨いだした。
きみは、木馬の言いたいことを知って、見咎めなかったのだろうか。メリーゴーランドが、レチエが、描く円から逸れて、一頭の木馬が一直線を描いてどこかへ駆けていく。
(雨の回廊 了)
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