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ふらつくグラス
不安色、マティーニ
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「……翔?」
いつものとおり、仕事の後『GAZE』に来た咲。しかし、そこには先客がいた。
「あー! 咲先輩じゃないですか! お久しぶりです」
「……香菜、だよね」
「咲さん、お知り合いですか?」
「……高校時代の、ね。久しぶり」
困ったように笑い、バーチェアーに腰かけた咲。いつもの通り、耳にはピアスがついている。
「この近くで働いてるんですか?」
「うん、まぁ」
「何かご注文は? いつものやつですか?」
「うん、そうして……」
咲は、考え込むかのように頬杖をついて、香菜とは逆方向の飾られている石英に視線を向けた。
「咲先輩、みんな探してたんですよ? 同窓会にも来ないし、なんかあったんじゃねってお兄ちゃんが言ってました」
咲の顔を覗き込みながら言う香菜。
「……お兄ちゃんって、志倉?」
「決まってるじゃないですか、だってクラスメートだったんでしょう」
どうやら、彼女はすでに酔っているらしい。
「まぁ、そう、だよね……」
「結構、連絡きてませんでした? 私一週間に三通はメール送ったんですよ」
「すぐ機種変更しちゃったから、知らない……クラスメートとかの連絡先とか、引き継がなかったし」
「なんでそんなことしたんですか、全くもー……お兄ちゃんが会いたがってました」
「っ……!」
「私、先輩ならお姉ちゃんでもいいなって思うんですけど、先輩は私が妹は──」
突如鳴り響く、着信音。
「あ……ごめん、呼び戻されちゃった。戻るね。ごめん、せっかくのカクテル無駄にしちゃって。香菜飲んでいいよ」
「えっ、ちょっと先輩!? せーんぱーい!」
慌ただしく、まるでうさぎのように駆け出していった咲。
「……きっと頼りにされてるんですね。さすが咲先輩」
「どうしてですか?」
まるで嗤うように言った翔。その整った顔には、どろどろとした何かがこぽりと浮かんでいるようだ。
「画面、設定画面でしたけど。どうしてわざわざ、鳴らしたんでしょうね?」
──俺には普通に分かりますけどね。
「……え……?」
「はーぁ、『ブルー・ラグーン』、美味しい」
悠々と蒼いグラスを傾けるバーテンダー。
その目はまるで、狼のように────。
いつものとおり、仕事の後『GAZE』に来た咲。しかし、そこには先客がいた。
「あー! 咲先輩じゃないですか! お久しぶりです」
「……香菜、だよね」
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「この近くで働いてるんですか?」
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「……お兄ちゃんって、志倉?」
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「なんでそんなことしたんですか、全くもー……お兄ちゃんが会いたがってました」
「っ……!」
「私、先輩ならお姉ちゃんでもいいなって思うんですけど、先輩は私が妹は──」
突如鳴り響く、着信音。
「あ……ごめん、呼び戻されちゃった。戻るね。ごめん、せっかくのカクテル無駄にしちゃって。香菜飲んでいいよ」
「えっ、ちょっと先輩!? せーんぱーい!」
慌ただしく、まるでうさぎのように駆け出していった咲。
「……きっと頼りにされてるんですね。さすが咲先輩」
「どうしてですか?」
まるで嗤うように言った翔。その整った顔には、どろどろとした何かがこぽりと浮かんでいるようだ。
「画面、設定画面でしたけど。どうしてわざわざ、鳴らしたんでしょうね?」
──俺には普通に分かりますけどね。
「……え……?」
「はーぁ、『ブルー・ラグーン』、美味しい」
悠々と蒼いグラスを傾けるバーテンダー。
その目はまるで、狼のように────。
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