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重い話は、眠り姫が眠ったあとで。
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「うん、入院の必要はありませんね。安静にしていればすぐ治ります。頬はもう冷やしたんですね?」
「えぇ、はい。あと、お腹は?」
「うーん……恐らく数日の間痛むかもしれませんが、大丈夫でしょう。一応痛み止めを処方しておきます」
「ありがとうございます」
「……寝てますね。小さい子でも寝ちゃう子はいるんですが、診察しても起きないのは初めてです」
ははっ、と苦笑して、温厚そうな表情をする医師。
「じゃあ、ありがとうございました……」
「えぇ、お大事に」
「──あら、弦。屋敷で待っていて良かったのよ?」
「えぇ、ですが、気になることがありまして。詳しいことは車の中で説明します」
「あら、そうなの? 分かったわ」
「……弦、どうした?」
「……悠月の動機、推測できたと思う」
「説明しろ」
少しの振動と共に、滑り出す黒塗りの車。
「……それで弦、推測は?」
「っあぁ、実は……」
「悠月の目撃情報? 信頼できるの?」
「藍咲の組員です、信頼はしてもいいかと。紗凪が痛めつけられているのを、ちらりと見かけたが気のせいだと思った、そう言っていました」
「……そのあとは?」
「っ、それがっ……!」
少しの沈黙の間に、色々な感情が詰まっているように思えた。黄色い網の中にたくさん入っている、色鮮やかなビー玉のように。
「……悲しげ? 悲しげだった?」
「えぇ、顔が歪んでいたそうです」
「憎悪ではないの?」
「……泣いていた、そうです」
「……分かったわ。明朝から捜索する。静月、あなたはどこで紗凪を見つけたの?」
「『After The Snow』というバーの裏です」
「あぁ、紗凪が働いているバーの姉妹店のとこね。ありがとう。静月と弦は情報収集。帰ってきた時手当もしてもらう。……最悪の場合に備えて、拷問の準備もね?」
言葉とは裏腹に、表情は辛げだ。
「っ、分かり、ました」
こうして、紗凪の手当は終わり、一日が終わっていく。
「……あの、姐様。紗凪のことは?」
「あ……ごめんなさいね、忘れていたわ。静月は、今すぐにでも知りたい?」
「一応、本人の気持ちは尊重したいですが……」
「うーん、ならまたいつかにしましょう。それに私が言うより前に、紗凪本人から聞くかもしれないわ」
「そうですね、じゃあ待ちます」
「えぇ、その時はちゃんと聞いてあげてね。……じゃあ帰りましょう。夕飯は何にしようかしら?」
夕食を作るのは使用人達の仕事だが、時たま奏はそれを手伝っている。
「なんか久しぶりに巻き寿司したいです。静月、お前白飯何回も炊けるか?」
「…………」
「ふふっ、じゃあ巻き寿司しましょうか。なんてことないわよ?」
「え、いいんですか?じゃあ……」
「う、白地獄……」
吐きそうな表情。
「そう言うなって静月。巻き寿司美味いじゃん」
「巻き寿司は嫌いじゃないが、白米を何回も研ぐあの作業がちょっとな」
「どんなとこで巻き寿司嫌ってんだよ」
「いや、だから巻き寿司は……まぁいい。さっさと帰るぞ?」
「あぁ。……ったく、なんで静月はそんなとこで……」
「……二人とも仲いいわねぇ。思春期とやらのはずだけど」
「思春期だからって仲悪くなるわけじゃないですよ」
重なった言葉に二人が顔を見合わせていると────。
「ふふっ、本当に仲いいわ!」
「えぇ、はい。あと、お腹は?」
「うーん……恐らく数日の間痛むかもしれませんが、大丈夫でしょう。一応痛み止めを処方しておきます」
「ありがとうございます」
「……寝てますね。小さい子でも寝ちゃう子はいるんですが、診察しても起きないのは初めてです」
ははっ、と苦笑して、温厚そうな表情をする医師。
「じゃあ、ありがとうございました……」
「えぇ、お大事に」
「──あら、弦。屋敷で待っていて良かったのよ?」
「えぇ、ですが、気になることがありまして。詳しいことは車の中で説明します」
「あら、そうなの? 分かったわ」
「……弦、どうした?」
「……悠月の動機、推測できたと思う」
「説明しろ」
少しの振動と共に、滑り出す黒塗りの車。
「……それで弦、推測は?」
「っあぁ、実は……」
「悠月の目撃情報? 信頼できるの?」
「藍咲の組員です、信頼はしてもいいかと。紗凪が痛めつけられているのを、ちらりと見かけたが気のせいだと思った、そう言っていました」
「……そのあとは?」
「っ、それがっ……!」
少しの沈黙の間に、色々な感情が詰まっているように思えた。黄色い網の中にたくさん入っている、色鮮やかなビー玉のように。
「……悲しげ? 悲しげだった?」
「えぇ、顔が歪んでいたそうです」
「憎悪ではないの?」
「……泣いていた、そうです」
「……分かったわ。明朝から捜索する。静月、あなたはどこで紗凪を見つけたの?」
「『After The Snow』というバーの裏です」
「あぁ、紗凪が働いているバーの姉妹店のとこね。ありがとう。静月と弦は情報収集。帰ってきた時手当もしてもらう。……最悪の場合に備えて、拷問の準備もね?」
言葉とは裏腹に、表情は辛げだ。
「っ、分かり、ました」
こうして、紗凪の手当は終わり、一日が終わっていく。
「……あの、姐様。紗凪のことは?」
「あ……ごめんなさいね、忘れていたわ。静月は、今すぐにでも知りたい?」
「一応、本人の気持ちは尊重したいですが……」
「うーん、ならまたいつかにしましょう。それに私が言うより前に、紗凪本人から聞くかもしれないわ」
「そうですね、じゃあ待ちます」
「えぇ、その時はちゃんと聞いてあげてね。……じゃあ帰りましょう。夕飯は何にしようかしら?」
夕食を作るのは使用人達の仕事だが、時たま奏はそれを手伝っている。
「なんか久しぶりに巻き寿司したいです。静月、お前白飯何回も炊けるか?」
「…………」
「ふふっ、じゃあ巻き寿司しましょうか。なんてことないわよ?」
「え、いいんですか?じゃあ……」
「う、白地獄……」
吐きそうな表情。
「そう言うなって静月。巻き寿司美味いじゃん」
「巻き寿司は嫌いじゃないが、白米を何回も研ぐあの作業がちょっとな」
「どんなとこで巻き寿司嫌ってんだよ」
「いや、だから巻き寿司は……まぁいい。さっさと帰るぞ?」
「あぁ。……ったく、なんで静月はそんなとこで……」
「……二人とも仲いいわねぇ。思春期とやらのはずだけど」
「思春期だからって仲悪くなるわけじゃないですよ」
重なった言葉に二人が顔を見合わせていると────。
「ふふっ、本当に仲いいわ!」
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