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第一部
出ない声
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それから僕は、準備と称されては学内で三人に辱めを受けていた。
裸にされ写真を撮られる。トイレに連れて行かれては彼らのモノを咥えさせられる。違う日は女性物の服を着せられ、その格好でことを強要された。
それでも男相手にいたす勇気はないのか、僕のモノを手で触りはするものの、それ以上をしてくることはなかった。
「明日っすねぇ、オープンキャンパス」
学食へ向かう道中、隣を歩くあいつらの一人が、わざとらしく僕に声をかける。それに何も答えず歩くが、歩幅がそもそも違うため、すぐに隣に並ばれてしまう。
もう六月。ユーリとは会えていない。いや、ここまでくると、彼らによって阻まれているのではないかとも思えてくる。
確証はないからなんとも言えないけど。
「ね、先輩。明日で終わるの、淋しいっすよねぇ?」
「……」
そんなことない。鋭く睨みつけてやれば「おー、こわ」と彼はおちゃらけた。
「ま、先輩がどう思ってるかはどーでもいーんすけど。今から付き合ってくださいよ。拒否権はないんすけどね」
そう言ってチラつかせたのは、あの時のスマフォだ。奪い取ろうにも、これだけがっちりと囲まれていては無理だろう。
「……わかった」
なんの感情もこもっていない返事をする。まぁ、僕がどんな返事をしようが、こいつらは動画をダシに連れて行くんだろうし。
三人に囲まれるようにして、学食とは反対に歩こうとした時だ。
「リヒト」
呼ばれて振り返れば、会いたくてたまらなかった姿が見えた。
あぁ、本当に綺麗な金の髪だ。その眩しさに、たまらず僕は涙ぐむ。ユーリに助けてほしくて口を開きかけたけれど、脳裏に、迷惑をかけるんじゃ……という思いが巡って、上手く言葉にすることが出来ない。
「リヒトとどこに行くの。学食は?」
まるで僕の思いが届いたように、ユーリが早歩きでこちらに近づき、僕の腕を掴もうと手を伸ばした。けれどその手は三人に阻まれて、僕に届くことはなかった。
「明日の最終確認だっつの。俺ら、先輩のお手伝いしてんだよ」
「……リヒト、本当?」
ユーリの優しい声色に、僕は弾かれたように顔を上げる。
違う、違うんだ、違うんだよ。助けて。助けてユーリ。
そう言いたくても、僕の口は小さく震えるだけで何も発することが出来ない。
「じゃ、先輩行きましょー」
何も言えない僕を嘲笑うように、奴らが僕の肩に、腕に、腰に手をやりユーリから距離を取っていく。
最後に見たユーリの顔は、背けられててよく見えなかった。
「ここ……、防音室?」
連れてこられたのは、僕がユーリに、今世で最初に抱かれたあの部屋だった。あれから何度か使われているのか、若干椅子の場所が変わっている。
鍵を閉められた音で振り向けば、僕を逃がすまいと三人が壁のように立っていた。その圧に多少押されながらも、僕は「あのさ」と気丈に振る舞う。
「やるなら早く脱いでくれ。僕だってバイトもあるし、暇じゃないんだ」
一人が「そうっすね」と舌舐めずりをした。まるで爬虫類のようなそれに、僕は背中を多少丸めてしまう。
「俺ら、最後くらい先輩にも気持ちよくなってもらおうって話し合ったんすよ」
「いやー。男を抱くなんて初めてだし、上手く出来るかわかりませんけど」
「だから先輩、思いっきりよがってくれていいっすよ!」
一瞬何を言ってるのか理解できなかった。
僕にも、気持ちよく? 男を抱く? よがる?
「へ……、冗談、だよね」
三人が腹をかかえて笑いだす。けれどその目に宿る光は欲望に満ちている。僕は言っていることが本気なのを感じ取り、このままでは危ないと、奴らに背を向け教室の奥に逃げ出した。
途中で椅子を投げつけたりもしたけれど、僕より体格のいい三人に大した効果もなく、僕は呆気なく手首を掴まれてしまった。
「嫌! 嫌だ! それは嫌だ!」
声の限りに叫ぶが、特に今は昼休み、ここを通りがかる学生すら少ないのに、一体誰が気づくというのだろう。
「ったく、うるせぇな」
ゴツッと頭に鈍い衝撃が走り、景色がぐらついた。
意識を手放すその瞬間、下衆な笑いを浮かべる三人が視界の端に入った――
裸にされ写真を撮られる。トイレに連れて行かれては彼らのモノを咥えさせられる。違う日は女性物の服を着せられ、その格好でことを強要された。
それでも男相手にいたす勇気はないのか、僕のモノを手で触りはするものの、それ以上をしてくることはなかった。
「明日っすねぇ、オープンキャンパス」
学食へ向かう道中、隣を歩くあいつらの一人が、わざとらしく僕に声をかける。それに何も答えず歩くが、歩幅がそもそも違うため、すぐに隣に並ばれてしまう。
もう六月。ユーリとは会えていない。いや、ここまでくると、彼らによって阻まれているのではないかとも思えてくる。
確証はないからなんとも言えないけど。
「ね、先輩。明日で終わるの、淋しいっすよねぇ?」
「……」
そんなことない。鋭く睨みつけてやれば「おー、こわ」と彼はおちゃらけた。
「ま、先輩がどう思ってるかはどーでもいーんすけど。今から付き合ってくださいよ。拒否権はないんすけどね」
そう言ってチラつかせたのは、あの時のスマフォだ。奪い取ろうにも、これだけがっちりと囲まれていては無理だろう。
「……わかった」
なんの感情もこもっていない返事をする。まぁ、僕がどんな返事をしようが、こいつらは動画をダシに連れて行くんだろうし。
三人に囲まれるようにして、学食とは反対に歩こうとした時だ。
「リヒト」
呼ばれて振り返れば、会いたくてたまらなかった姿が見えた。
あぁ、本当に綺麗な金の髪だ。その眩しさに、たまらず僕は涙ぐむ。ユーリに助けてほしくて口を開きかけたけれど、脳裏に、迷惑をかけるんじゃ……という思いが巡って、上手く言葉にすることが出来ない。
「リヒトとどこに行くの。学食は?」
まるで僕の思いが届いたように、ユーリが早歩きでこちらに近づき、僕の腕を掴もうと手を伸ばした。けれどその手は三人に阻まれて、僕に届くことはなかった。
「明日の最終確認だっつの。俺ら、先輩のお手伝いしてんだよ」
「……リヒト、本当?」
ユーリの優しい声色に、僕は弾かれたように顔を上げる。
違う、違うんだ、違うんだよ。助けて。助けてユーリ。
そう言いたくても、僕の口は小さく震えるだけで何も発することが出来ない。
「じゃ、先輩行きましょー」
何も言えない僕を嘲笑うように、奴らが僕の肩に、腕に、腰に手をやりユーリから距離を取っていく。
最後に見たユーリの顔は、背けられててよく見えなかった。
「ここ……、防音室?」
連れてこられたのは、僕がユーリに、今世で最初に抱かれたあの部屋だった。あれから何度か使われているのか、若干椅子の場所が変わっている。
鍵を閉められた音で振り向けば、僕を逃がすまいと三人が壁のように立っていた。その圧に多少押されながらも、僕は「あのさ」と気丈に振る舞う。
「やるなら早く脱いでくれ。僕だってバイトもあるし、暇じゃないんだ」
一人が「そうっすね」と舌舐めずりをした。まるで爬虫類のようなそれに、僕は背中を多少丸めてしまう。
「俺ら、最後くらい先輩にも気持ちよくなってもらおうって話し合ったんすよ」
「いやー。男を抱くなんて初めてだし、上手く出来るかわかりませんけど」
「だから先輩、思いっきりよがってくれていいっすよ!」
一瞬何を言ってるのか理解できなかった。
僕にも、気持ちよく? 男を抱く? よがる?
「へ……、冗談、だよね」
三人が腹をかかえて笑いだす。けれどその目に宿る光は欲望に満ちている。僕は言っていることが本気なのを感じ取り、このままでは危ないと、奴らに背を向け教室の奥に逃げ出した。
途中で椅子を投げつけたりもしたけれど、僕より体格のいい三人に大した効果もなく、僕は呆気なく手首を掴まれてしまった。
「嫌! 嫌だ! それは嫌だ!」
声の限りに叫ぶが、特に今は昼休み、ここを通りがかる学生すら少ないのに、一体誰が気づくというのだろう。
「ったく、うるせぇな」
ゴツッと頭に鈍い衝撃が走り、景色がぐらついた。
意識を手放すその瞬間、下衆な笑いを浮かべる三人が視界の端に入った――
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