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荒野に二人
しおりを挟むならず者に囲まれた少女を助けようとした少年の前で、たった一人で、ならず者たちを一掃した。
武器少女と呼ばれる少女は、呆然とししていた少年を見ていた。
成り行きとは言え、自分の新たなあるじに為った少年、
そして、行きずりに主に為って仕舞った、その少年が、岩陰に隠していた機械馬を見ながら言う、
「これを使うまでも無かったな、ハハハハハ」
それは地上や空中を駆ける事が出来る。白銀の機械馬だった。
「武器馬か?これは長距離支援には使えるな、お前、この距離でコイツを使う気だったのか?」
「まあ」
「確かに、こいつなら、あいつらを殲滅出来るな、だが、何分も掛かるぞ!私ならば、あの通り数十秒の秒殺が可能だ!」
「秒殺ね。君はこれからどうするんだい?もう安全で自由だし」
「いや、もう私に自由はない、主に服従するだけだ!」
「主?僕は、もう君の主では無いよ、だから自由だよ!」
「主との契約は絶対だ!私は主の武器なのだ!」
「契約は解除する。だから君は自由だ!」
「私が、主から解放される時は、主が死んだ時だけだ!お前は死んで、私を解放するのか?」
「そうか・・・それなら僕は、ここで死ぬわけにいかないから、この儘、契約は続行と言う事だね。」
「まあ、そう言う事だ!」
ひょんな事から、少年は少女と旅をする事に為って仕舞った。
少年は、荒野の真ん中で、武器馬からテントを出して張り、その中で一晩、野宿をする事にしたが、
その後、太陽が地平に沈み、星々が空一面に撒かれると、荒野の夜も更けていき、
小さなランタンの灯りのテントの中で、少女が言う、
「お前、眠る時は、私を抱いて眠るんだ!」
「ええつ!?武器の君を抱いて眠る?」
「そうだ!武器を抱いて眠れば安心だ!何かあれば、私がお前を守ってやる。」
少年は、言われた儘に少女を抱いて眠ったが、少年の腕の中ですやすやと眠るその顔は、幼い少女そのものだった。
「然し、何でこんな姿の武器が、人のいない荒野にいたんだ?」
漠然と考えながら、少年は、何時しか眠りに落ちていた。
次の朝、少年が目覚めると、少女の姿は無く、テントの外に出ていくと、少女が食事を作っていた。
それを見てのけ反る少年、どこで捕まえたのか?蛇やカエル、禿鷹の丸焼きと、荒野のフルコースが出来ていた。
「な、何なんだ!これは?」
「んん、私は良くできた武器だろ!主の為に、食料を集めてきた。まあ、味の保証は無いかも知れないが?食べても死なない!」
唖然とする少年、取り敢えず、少年は武器馬から携帯食料を出して、食べる事にしたが、
「君は、なぜ?こんな荒野に一人でいたんだい?」
少年を睨む少女、
「私の主がここで死んだ、それだけだ。」
少年が黙り込むが、
「君の前のあるじは、どんな人だい?」
「それを聞いてどうするんだ?弔い合戦でもしてくれるのか?」
「弔い合戦って・・・」
「敵と戦って死んだ、それだけだ!お前も同じ敵と戦えば、前の主よりも早く死ぬ事に為る、いいのか?」
「そ、それは困るな、僕には行かなければ為らない所が有るんだ。」
「なら、自分のするべき事をすればいい、今はお前が私のあるじだ!」
「そ、そうか」
暫く先にいくと、小さなオアシスが有り、少年は、そこで休憩をする事にしたが、
小さな池で、少年が水浴びをしていると、少女が入ってきて言う、
「私の主なら、私の手入れをちゃんとするんだ!武器は大切に扱うんだぞ!」
「はあ!?」
大胆な武器の少女の行動に、少年は呆気に取られていた。
「ちゃんと隠して置けよ、じゃないと手入れしないぞ!」
「分かった、一々うるさい主だ!」
「で、聞いてなかったが、君の名前は有るのかい?」
「ある、最高の名前だ!小型武装兵器人体、ガーネットスプリンガー」
「ガーネットって言うのか、いい名だな、俺は、藤城、正也だ!」
「藤城、正也、日本人か?私の体も日本製だ。何かの縁かも知れない」
「君は、日本で作られたのかい?」
「そうだ!日本で生まれた。」
「そうか、遠いな、ここからじゃあ、遥か彼方の星の向こうだ。」
少年が手をかざして、青い空を見上げて言う、
「いつか帰りたいだろ、生まれた場所に」
それを見て、少女が空を見上げる。
どこまでも青い空が、二人の頭上に広がっていた。
ガーネットスプリンガー、彼女は、自分の生まれた遠い地に思いを馳せていた。
2024年1月16日 星屑
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