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18章
112.仕事禁止
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何もすることのなくなったイナトはソワソワとしていた。いつも時間があれば仕事ばかりしていたようだ。仕事人間ということは想像通りではある。だが、まさかずっと私の部屋の前で待機しているとは思っていなかった。
あまりにもイナトが私の部屋の前から動かないので、リビングに置いてある広めのソファに座って本を読むことにした。
私がのんびり本を読んでいると、イナトは「何か飲みますか?」と言ったり、「おやつも用意しましょうか」といきなりお菓子を作り始めたり。
できたてのおやつをイナトと一緒に食べた。美味しい。美味しいのだが、イナトはせかせかと私のために働いている……。これでは仕事を禁止した意味がないのではないか?
「ねえ、仕事禁止って言ったけど、私に構えってわけじゃないよ!?」
私の隣で紅茶を飲みゆっくりしているイナトにツッコミをいれる。イナトは困った顔をしてカップを置いた。
「すみません。何かしていないと落ち着かなくて……。僕がしたいだけなので気にしないでください」
イナトは子供の頃から勉強や剣術を学んでおり、スケジュールはいつもみっちりだったそうだ。だからこそ何もやることがないのには慣れていないらしい。
これからはイナトに休むということも覚えてもらいたいものだ。
「そう言えば、スミスさんとクロノダさんが話してる最中、外に出て行ったけどあれ、なんだったの? アデルさんの話?」
「いえ、アデルについては僕とルーパルドが別件で動いていた時に連絡が来ました。救世主様に関係するものですし、話しておきましょうか」
イナトはあまり言いたくなさそうだったが、話しておくと言ってくれたので私は静かに次の言葉を待った。
「スタート国にある神殿を覚えていますか?」
「うん。神官がいなくて、大きなウルフで洞窟を維持してたところだね」
「はい。そのウルフなんですが――」
大きなウルフはどうやら神官が準備したものではなかったらしい。
すでにその前から神官は木の魔物に殺されており、神殿は機能していなかったと。だが、洞窟が維持されていたのは事実だ。それならば誰がわざわざ神殿の維持のためにウルフを捕まえていたのだろう。
「真相を探るため、騎士を派遣していたそうです。ですが、突然魔族が現れ派遣した騎士の大半は殺されてしまったと」
「なんで魔族が? それって偶然なのかな。それとも魔族も神殿に用があったとか?」
「殺されてしまったのでわかりませんが、神殿に用があったのではないかと言われています。ファースト街にちょうど派遣されていた騎士がいるとの情報が入り、話を聞きに行っていました」
神殿は通常であれば魔族は避けたい建物らしい。
神聖だからと聞いたが、光魔法に弱いとかそういう類なのだろうか。
イナトに聞いてみたものの、疑問に思ったことがないらしく、詳しいことは知らないと言われてしまった。流石に全知全能ではないし、こればっかりは仕方ない。
「男の従者に接触した後、またスタート国の神殿へと調査に行きたいのですが構いませんか?」
「もちろん。私も気になるしね」
すぐに伝書紙を送りますと仕事モードになってしまったイナト。慌てて立ち上がったイナトの腕を掴む。
「今日は休むって言ったでしょ。伝書紙は明日ね」
「……わかりました。楽しい話でもしましょうか」
イナトは息を吐き、ソファへと座り直した。紅茶を飲みながら話をしていると、外で昼寝をしてくると出ていたルーパルドが帰ってきた。
「もしかして、2人ずっと一緒にいます?」
「そう言えばそうだね」
「すげーや。俺、団長とずっといるの耐えられないんですけど」
「それはどう言う意味だ?」
一瞬「しまった!」という顔をしたが、ルーパルドは素直に話し出す。
「だって仕事の話しかしないですもん。……あ、いやでも今なら仕事抜きで話せますかね」
「うん。例えば、ルーパルドとロクどっちが扱いやすいか、とか」
「なんですかそれ。どうせ団長は渡者って言うんでしょう?」
「ルーパルドと違って素直だからな」
イナトが渋らずお金を使うからというのもあるが、素直だというのは同意だ。
「あ、従者に会ったらまたスタート国の神殿行くことにしたよ」
「仕事の話ししてるじゃないですか~!」
「私があの時何しに行ったのか気になったから教えてくれただけだからセーフだよ」
「全然セーフじゃないでしょ!」
そう言ったものの、争うつもりのないルーパルドは「今日は俺の飯当番なんで今から作りまーす」とキッチンへと歩く。
「あれ? これも仕事……?」
そんな声が聞こえたが、無視しておこう。
あまりにもイナトが私の部屋の前から動かないので、リビングに置いてある広めのソファに座って本を読むことにした。
私がのんびり本を読んでいると、イナトは「何か飲みますか?」と言ったり、「おやつも用意しましょうか」といきなりお菓子を作り始めたり。
できたてのおやつをイナトと一緒に食べた。美味しい。美味しいのだが、イナトはせかせかと私のために働いている……。これでは仕事を禁止した意味がないのではないか?
「ねえ、仕事禁止って言ったけど、私に構えってわけじゃないよ!?」
私の隣で紅茶を飲みゆっくりしているイナトにツッコミをいれる。イナトは困った顔をしてカップを置いた。
「すみません。何かしていないと落ち着かなくて……。僕がしたいだけなので気にしないでください」
イナトは子供の頃から勉強や剣術を学んでおり、スケジュールはいつもみっちりだったそうだ。だからこそ何もやることがないのには慣れていないらしい。
これからはイナトに休むということも覚えてもらいたいものだ。
「そう言えば、スミスさんとクロノダさんが話してる最中、外に出て行ったけどあれ、なんだったの? アデルさんの話?」
「いえ、アデルについては僕とルーパルドが別件で動いていた時に連絡が来ました。救世主様に関係するものですし、話しておきましょうか」
イナトはあまり言いたくなさそうだったが、話しておくと言ってくれたので私は静かに次の言葉を待った。
「スタート国にある神殿を覚えていますか?」
「うん。神官がいなくて、大きなウルフで洞窟を維持してたところだね」
「はい。そのウルフなんですが――」
大きなウルフはどうやら神官が準備したものではなかったらしい。
すでにその前から神官は木の魔物に殺されており、神殿は機能していなかったと。だが、洞窟が維持されていたのは事実だ。それならば誰がわざわざ神殿の維持のためにウルフを捕まえていたのだろう。
「真相を探るため、騎士を派遣していたそうです。ですが、突然魔族が現れ派遣した騎士の大半は殺されてしまったと」
「なんで魔族が? それって偶然なのかな。それとも魔族も神殿に用があったとか?」
「殺されてしまったのでわかりませんが、神殿に用があったのではないかと言われています。ファースト街にちょうど派遣されていた騎士がいるとの情報が入り、話を聞きに行っていました」
神殿は通常であれば魔族は避けたい建物らしい。
神聖だからと聞いたが、光魔法に弱いとかそういう類なのだろうか。
イナトに聞いてみたものの、疑問に思ったことがないらしく、詳しいことは知らないと言われてしまった。流石に全知全能ではないし、こればっかりは仕方ない。
「男の従者に接触した後、またスタート国の神殿へと調査に行きたいのですが構いませんか?」
「もちろん。私も気になるしね」
すぐに伝書紙を送りますと仕事モードになってしまったイナト。慌てて立ち上がったイナトの腕を掴む。
「今日は休むって言ったでしょ。伝書紙は明日ね」
「……わかりました。楽しい話でもしましょうか」
イナトは息を吐き、ソファへと座り直した。紅茶を飲みながら話をしていると、外で昼寝をしてくると出ていたルーパルドが帰ってきた。
「もしかして、2人ずっと一緒にいます?」
「そう言えばそうだね」
「すげーや。俺、団長とずっといるの耐えられないんですけど」
「それはどう言う意味だ?」
一瞬「しまった!」という顔をしたが、ルーパルドは素直に話し出す。
「だって仕事の話しかしないですもん。……あ、いやでも今なら仕事抜きで話せますかね」
「うん。例えば、ルーパルドとロクどっちが扱いやすいか、とか」
「なんですかそれ。どうせ団長は渡者って言うんでしょう?」
「ルーパルドと違って素直だからな」
イナトが渋らずお金を使うからというのもあるが、素直だというのは同意だ。
「あ、従者に会ったらまたスタート国の神殿行くことにしたよ」
「仕事の話ししてるじゃないですか~!」
「私があの時何しに行ったのか気になったから教えてくれただけだからセーフだよ」
「全然セーフじゃないでしょ!」
そう言ったものの、争うつもりのないルーパルドは「今日は俺の飯当番なんで今から作りまーす」とキッチンへと歩く。
「あれ? これも仕事……?」
そんな声が聞こえたが、無視しておこう。
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