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18章
113.神殿の秘密
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ネェオに教えてもらった日付に店に張り込むことになった私達。
勇者の剣を取りに来る人はそこそこいて、どの人がヒスイという名前の従者かわからない。
「注文の品を取りに来ました」
「貴方がヒスイ様の従者さんね? お待ちしてました」
少し大きめの声でヒスイと強調してくれたネェオ。
ヒスイの持ち物なのだろうそれを見せ、念押しでネェオはこちらに目配せした。その後は他の客と同じように接客をしている。
ネェオは奥からヒスイの名前入りの勇者の剣を持ってきて、中身と名前の確認をしてもらう。
間違いありません。と笑顔で頷きそれを受け取った。
店を出ようと踵を返したところで、私は声をかけた。救世主の姿では目立ってしまうため今は黒いローブを身にまとっている。
「あの、すみません。ヒスイ様の名前が聞こえたのですが、ヒスイ様は今どちらにいらっしゃいますか?」
「ヒスイ様は多忙な方なので……私もわかりません。貴女はヒスイ様のお知り合いでしょうか」
従者の髪は赤みの強い茶色でショートカット。黒の四角いフレームのメガネをしている。目の色は青緑だ。ヒスイとは対比しているかのような色合い。
「会ったことはありません。ただ、以前私の友人が情報を売ってもらったと聞き、私もぜひ売ってほしいと思って探していたのです」
「なるほど、お客様でしたか。ですが、ヒスイ様は必要な人の前に現れるお方です。貴女にヒスイ様が必要だとわかれば、すぐに会えるかと思いますよ」
笑顔で対応してくれたものの、他に話すことはないと言わんばかりに、従者は足早に店を出ていってしまった。
追いかけようと店を出たが、すでに従者の姿は見当たらなかった。薄く雲がかかっているかのように視界が白っぽく見える。
「悪い。逃した」
ロクは外で待機してもらっていたのだが、まさか一瞬で消えるとは思っていなかったのだろう。舌打ちをした。
「おそらく転移道具ですね。店の前だけ少し煙がかっているのが証拠です」
「それにしても、"必要な人の前に現れる"ねぇ。あの女性はそれほど呪いを解きたかった。ということですかね」
ルーパルドはすでに目標が逃げてしまったからか、店内の品々を物色していた。でもまあ、転移道具で既に逃げてしまっているのなら、探すだけ無駄ではあるのだが……諦めが早いこと。
ヒスイに情報が必要だと思われた人形になった女性。今はアデルの下で被験体――もとい治療を行っている最中だと聞く。もちろん彼氏の付き添いがあるので、危険な目には会っていない……と思いたい。
「それで? 足取りはつかめそうもないですし、すぐ神殿に行きます?」
「そうしよう。ネェオさん、ありがとうございました」
「いーえ。また情報掴んだら手紙を送るわ」
イナトから感謝の言葉をもらい、ネェオは上機嫌に返した。少し楽しんでいそうな気もするし、喜んで情報を提供してくれそうだ。
◇
「……やられましたね」
救世主専用洞窟の維持のために置いていた装置がなくなっている。装置がないということは、救世主専用洞窟は消え失せてしまっているということ。
洞窟には救世主のみが解除できる壁はなく、ただ真っ暗な道が続いているようだ。
「これ、中ってどうなってるの?」
「すぐに行き止まりに辿り着くかと。元々救世主専用洞窟用に掘られたものらしいので」
それじゃあ入ってみようと足を踏み入れたところで、イナトに引き止められてしまった。「念の為あまり遠くにいかないように」と。
残念だが今はやめておこうと足を引っ込め、装置がおいてあった場所を見る。
「魔力が無限に手に入る装置だったし、魔族はそれを取りに来たとかかな?」
「それは確かにありえますが……魔族と鉢合わせたのは地下ではなく神殿内だったそうです」
「装置は地下にあったし、それだけなら神殿内はうろつかないだろうね。他に何かあるのかな?」
イナトと話し合っていると、ルーパルドは「ああ!」と大きな声を出した。不安そうな表情を浮かべ言う。
「神殿に身を潜めていた男性は、どうなったんでしょう?」
「それなら俺がさっき確認した」
ロクは地上に続く階段から降りてきて、神殿内の様子を教えてくれた。
男性の物と思われる荷物は置きっぱなし。だが、死体は見つからなかった。魔族を見つけて逃げたのか、攫われたのかは不明。
なお、以前と物の配置は変わっていないことから、荒らされたわけでもなさそうだ、と。
「よく配置覚えてんなぁ……」
「性分だ」
フンと鼻を鳴らし得意げにルーパルドを見た。ルーパルドは「頼もしいやつだな~」と思ってもなさそうな言葉を発して薄く笑ったのだった。ロクはそれに気に食わない様子で睨んでいる。
「荒らされたわけではないが、神殿内に用があった可能性があった……。何か神殿に魔族が欲しがるものがあっただろうか」
イナトは2人のやり取りに気づいていないのか、止めることもなく独り言を呟いている。
ルーパルドは台座に置いてあった豪華な箱を見て、首をひねった。
「スタート国に宝玉があるって話、ありませんでしたっけ?」
「ああ、聖剣の力を最大限発揮できるというあれか……」
イナトはそれを聞き、大きくため息を吐いた。
勇者の剣を取りに来る人はそこそこいて、どの人がヒスイという名前の従者かわからない。
「注文の品を取りに来ました」
「貴方がヒスイ様の従者さんね? お待ちしてました」
少し大きめの声でヒスイと強調してくれたネェオ。
ヒスイの持ち物なのだろうそれを見せ、念押しでネェオはこちらに目配せした。その後は他の客と同じように接客をしている。
ネェオは奥からヒスイの名前入りの勇者の剣を持ってきて、中身と名前の確認をしてもらう。
間違いありません。と笑顔で頷きそれを受け取った。
店を出ようと踵を返したところで、私は声をかけた。救世主の姿では目立ってしまうため今は黒いローブを身にまとっている。
「あの、すみません。ヒスイ様の名前が聞こえたのですが、ヒスイ様は今どちらにいらっしゃいますか?」
「ヒスイ様は多忙な方なので……私もわかりません。貴女はヒスイ様のお知り合いでしょうか」
従者の髪は赤みの強い茶色でショートカット。黒の四角いフレームのメガネをしている。目の色は青緑だ。ヒスイとは対比しているかのような色合い。
「会ったことはありません。ただ、以前私の友人が情報を売ってもらったと聞き、私もぜひ売ってほしいと思って探していたのです」
「なるほど、お客様でしたか。ですが、ヒスイ様は必要な人の前に現れるお方です。貴女にヒスイ様が必要だとわかれば、すぐに会えるかと思いますよ」
笑顔で対応してくれたものの、他に話すことはないと言わんばかりに、従者は足早に店を出ていってしまった。
追いかけようと店を出たが、すでに従者の姿は見当たらなかった。薄く雲がかかっているかのように視界が白っぽく見える。
「悪い。逃した」
ロクは外で待機してもらっていたのだが、まさか一瞬で消えるとは思っていなかったのだろう。舌打ちをした。
「おそらく転移道具ですね。店の前だけ少し煙がかっているのが証拠です」
「それにしても、"必要な人の前に現れる"ねぇ。あの女性はそれほど呪いを解きたかった。ということですかね」
ルーパルドはすでに目標が逃げてしまったからか、店内の品々を物色していた。でもまあ、転移道具で既に逃げてしまっているのなら、探すだけ無駄ではあるのだが……諦めが早いこと。
ヒスイに情報が必要だと思われた人形になった女性。今はアデルの下で被験体――もとい治療を行っている最中だと聞く。もちろん彼氏の付き添いがあるので、危険な目には会っていない……と思いたい。
「それで? 足取りはつかめそうもないですし、すぐ神殿に行きます?」
「そうしよう。ネェオさん、ありがとうございました」
「いーえ。また情報掴んだら手紙を送るわ」
イナトから感謝の言葉をもらい、ネェオは上機嫌に返した。少し楽しんでいそうな気もするし、喜んで情報を提供してくれそうだ。
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「……やられましたね」
救世主専用洞窟の維持のために置いていた装置がなくなっている。装置がないということは、救世主専用洞窟は消え失せてしまっているということ。
洞窟には救世主のみが解除できる壁はなく、ただ真っ暗な道が続いているようだ。
「これ、中ってどうなってるの?」
「すぐに行き止まりに辿り着くかと。元々救世主専用洞窟用に掘られたものらしいので」
それじゃあ入ってみようと足を踏み入れたところで、イナトに引き止められてしまった。「念の為あまり遠くにいかないように」と。
残念だが今はやめておこうと足を引っ込め、装置がおいてあった場所を見る。
「魔力が無限に手に入る装置だったし、魔族はそれを取りに来たとかかな?」
「それは確かにありえますが……魔族と鉢合わせたのは地下ではなく神殿内だったそうです」
「装置は地下にあったし、それだけなら神殿内はうろつかないだろうね。他に何かあるのかな?」
イナトと話し合っていると、ルーパルドは「ああ!」と大きな声を出した。不安そうな表情を浮かべ言う。
「神殿に身を潜めていた男性は、どうなったんでしょう?」
「それなら俺がさっき確認した」
ロクは地上に続く階段から降りてきて、神殿内の様子を教えてくれた。
男性の物と思われる荷物は置きっぱなし。だが、死体は見つからなかった。魔族を見つけて逃げたのか、攫われたのかは不明。
なお、以前と物の配置は変わっていないことから、荒らされたわけでもなさそうだ、と。
「よく配置覚えてんなぁ……」
「性分だ」
フンと鼻を鳴らし得意げにルーパルドを見た。ルーパルドは「頼もしいやつだな~」と思ってもなさそうな言葉を発して薄く笑ったのだった。ロクはそれに気に食わない様子で睨んでいる。
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