乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜

勿夏七

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20章

121.能力付きアクセサリー

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 箱で一息。
 ルーパルドはロクの料理の練習に付き合ってあげるらしく、今リビングには私とイナトだけ。
 私はスピーカーにしてナルと通話をすることにした。
 最初はイナトがナルの習熟状況を確認したり、周りとのコミニュケーションについて聞いてみたり。ナルは一応話す相手はいると言っていたが、歯切れが悪い。
 良好な関係を築いている相手はいないのだろう。イナトはため息を吐いたが、その件についてはそれ以上追及することはなかった。
 
 ある程度話し終え、今度は私の番。
 私は早速ナルへヒスイと名乗る男が訪ねてきたか聞いてみた。

『確かに来たよ。僕と同じで救世主の死に戻りを覚えてるって言ってたね』

 どんな話をしたのかと聞けば、騎士学校なんてやめて自分と一緒に来ないかと誘われた。ナルとしては突然現れた胡散臭い男に従う理由はないと断ったらしい。
 私もヒスイは胡散臭いと思っていたので、ちょっと安心した。

『死に戻りについても説明をしてもらったんだけど――。……? ごめん話せそうもないや』
「口封じでもされたのか?」
『そうみたいだね。全然気づかなかった』

 どうしても私にはタダで教えたくないようだ。
 他に、ヒスイはナルの魔法の能力についても褒め、剣術は魔法を使ってカバーすれば良いとアドバイスもしていたようだ。
 ……私の時とはだいぶ態度が違う様だが、それほどナルを仲間に取り込みたいのだろうか。それともこちら側にいることを嫌がっているのだろうか。

「あ、そうだナル。ブレスレット送るから肌身離さず持っててね?」
『ブレスレット? いいけど、突然何?』

 かなり前に宝箱で手に入れたブレスレット。特に使い道もなく、いろいろと改良をしていたのだ。
 出来上がったのが、魔法を頻繁に使う人向けの装備アイテム。魔法に特化した能力が付与されたものだ。装備者より魔力が格下の敵を寄せ付けない優れもの。
 ヒスイに効果があるのかはわからないが、別の悪意のある者からはきっとナルを守ってくれるだろう。

「これは魔力が強い人向けのブレスレットなの。私の知っている中で魔力が1番高いのはナルだと思う。お守りとでも思って持っておいて欲しい」
『ふぅん。君がくれるって言うのならもらうけど……』

 少し嬉しそうな声に聞こえた。気に入ってもらえそうで良かった。
 イナトに伝書紙で送ってもらおうとイナトがいる方向へと視線を向けた。すると、イナトは不服そうな顔をしていたが、私と目が合いすぐに笑顔を向けた。
 ブレスレットに代わる何かをイナトにプレゼントすればきっとイナトは喜ぶのだろうが、それはまた今度にしよう。

「それをナルに渡せば良いのですね? わかりました」

 イナトは手早く手紙と一緒にブレスレットを飛ばした。紙以外も送れるのは便利だ。私も許可がもらえたらいいのに。そうすればイナトの手を煩わすこともなくなる。まあ、イナトは手間ではないと言いそうだけれど。

『今届いた。ありがとう。早期卒業できたらお礼させて』

 ナルと通話を終わらせると同時に、イナトは私を見つめた。きっとナルに渡したブレスレットについてだろう。

「烏滸がましいお話で大変恐縮なのですが、僕も救世主様に作ってもらったアクセサリーを身につけたいです」
「うん。言うと思った。明日ネェオさんに本を買い取ってもらえるか確認してもらう予定だし、その時にジュエリーショップ寄っても良い?」
「もちろんです」

 嬉しそうに顔を綻ばせるイナト。その様子をちょうど料理の練習を終わらせて戻ってきたルーパルドとロクが目撃。
 早速何の話をしていたのか根掘り葉掘り聞かれ、最後は皆のアクセサリーを選ぶ羽目となった。
 皆にも怪我はしてほしくないし、用意すること自体は別に良い。だが、イナトは自分だけがよかったと言いたげな目をしていた。

「団長、抜け駆けはダメですよ」

 ルーパルドがニコニコと笑顔でイナトに言う。ロクもイナトへと言葉を投げる。
 
「お前は1番リンと一緒にいるだろう? 俺にも譲れ」
「いや、ロクはずっと呪いを理由にベタベタしていただろう」
「それとこれとじゃ話は別だ」
「……喧嘩しないでね?」
 
 私がそう言えば、3人とも「喧嘩はしてない」ときっぱりと言い放った。喧嘩じゃないのなら何なんだと言いたいところだが、ツッコミはこの際しないことにしよう。
 
 私は睨み合う3人を無視して、誰にどの様なアクセサリーと能力の付与したものを贈ろうかと考える。

「アクセサリーと能力付与、何がいい?」
「俺は指輪がいい。指輪から火が出るのもいいな」

 ロクは攻撃で使うつもり満々の様だ。能力向上よりも魔法を出せる方が楽しいとロクは頷く。
 「中二病か!」と言いたくなったが、きっとこの世界では使われていない言葉だろうと唾と一緒に飲み込んだ。代わりに「攻撃魔法ね」とだけ言って頷いておいた。

「俺はピアスがいいです」

 ルーパルドは指輪やブレスレットだと壊してしまうかもしれないと言う理由だった。また、身体能力の強化が欲しいとかなり真面目な回答をしてくれた。
 イナトは感心している様で、頷いている。

「僕はネックレスでお願いします」

 ルーパルドと似た理由と見せびらかすつもりはないためだと言う。能力付与については「僕の足りない部分を補って欲しい」と言われた。
 しかし、イナトの足りない部分なんて私が見つけられるだろうか。イナトを見たが、それ以上答えるつもりはないらしく、笑顔で私を見つめるだけだった。
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