123 / 196
20章
122.兄妹との再会
しおりを挟む
ネェオに本を渡すと、「高値で売れるわぁ!」とご機嫌で買い取ってくれた。また財布が潤ってしまったな。
「ここに男性用のアクセサリーってありますか?」
「あることはあるけど、数は少ないわよ」
女性用のものは多く取り揃えてあるが、男性向けはその半分も満たない数だ。
元々この世界の男性は剣術を一通り学ぶらしい。もちろん全員屈強に育つわけもない。自身を守るのに手一杯の人もいれば、学びはしたが戦えないという人もいる。
また、戦闘中、アクセサリーは邪魔になるとして教えられていることもあり、身につける人間は極端に少ないのだとか。
ネェオのように客商売や何かしらの理由で戦えない人々であれば、アクセサリーを身につける男性は少しだけ多いと。とはいえ、高が知れている。
確かにずっと旅をしてきて、アクセサリーをつけている男性は少なかったように思う。まさかそういう設定があるとは思いもしなかった。
「もしかして戦う人にアクセサリー贈るのってあんまりよくなかったりする?」
「そんなことないですよー。親しい友人や恋人、家族にお守りとして贈ることはありますから」
ルーパルドはアクセサリーを見ず私の顔ばかり見ている気がする。興味がないからなのだろうが、じっくり見させて欲しい。
イナトならこの中から良品を見つけてくれそうだ。そう思ってイナトを探すと、少し離れた場所で女性用、男性用関係なくアクセサリーを一望している姿が見えた。
声をかけようと思ったが、イナトは何かを察知したのか不快そうな表情をしている。
「救世主様、僕は少しここを離れます。あの2人に任せるのは不安ですが、絶対1人にならないでくださいね」
そう口にして店を出て駆け出した。
「何があったんだろう」
「あの雰囲気から察するに、デボラ嬢かと」
「え、わかるの? というか近くにいるの?」
「団長の特殊スキルのようなものです。ストーカーされすぎて、そこそこの距離があっても足音や声でわかるようになったんですよ」
イナトは大変な日々を送っていたんだなぁと少し同情してしまう。
少ししてロクが「あいつが来る」と呟く。誰のことかと聞く前に、そのロクの言うあいつの声がした。
「邪魔するわ」
デボラは目を輝かせて入店。私を見るなり辺りを見渡している。きっとイナトを探しているのだろう。
「リン、奇遇ね。……それで、イナト様は?」
「用事があるとかで別行動中ですよ」
適当な嘘をつくと納得していなさそうな「ふぅん?」という声を漏らすデボラ。また店内を探しているようだが、イナトがいないとわかり残念そうな表情を浮かべた。
ネェオに声をかけ、空いたスペースを指差し問いかけた。
「あそこにあったもの、買われちゃったって本当ですの?」
「ええ。とってもロマンチックな人に買われちゃいました」
そこにあったものは覚えている。球体の中に入って星を眺めることのできる球体があったスペースだ。デボラよりも先に誰かが買ったようだ。あんな高額なもの、よく売れたものだ。
イナトもいないし目をつけていたものはすでに売れてしまっていたデボラは、眉を下げた。
しかし、そのあと入店してきたゼヴリンを見て目を輝かせた。
「お兄様! もしかしてその片手に持っているものって」
「ああ、デボラが頼んでいた小説だ」
包装されていて中身は見えないが、頼んでいた小説と言われてすぐに思いついたのは私とゼヴリンの恋愛小説。
当たっていたのか、デボラはこちらを見て微笑んだ。
「貴女にもお渡ししておきますわね。絶対、ぜっっっったい読んでくださいね?」
デボラはゼヴリンから1冊受け取り、それをそのまま私に押し付けた。うっかりイナトに見つかって処分されちゃった~と言い訳してもいいだろうか。
いや、私に呪いが効かない可能性は高い。試しに読んでみても問題ないのかもしれない。でも、万が一呪われてしまったらゼヴリンに迷惑行為を働いてしまう場合も考えられる。
どうしたものか。
「デボラ、救世主様は多忙な方だ。強制はよくない」
「……そうですわね。失礼しました。ぜひお暇な時に読んでくださいね?」
叱られたデボラは改めてそう言ったが、顔は絶対に読めと言っている。実にわかりやすい。
とりあえず頷くと、デボラは満足そうに微笑み「イナト様によろしくお伝えください」と語尾にハートマークがついてそうな言い方をして店を去っていった。
ゼヴリンも私に会釈をしたあとすぐにデボラの後を追った。
「なぁにそれ。……恋愛小説? いらないならうちに置いていってもいいわよ?」
「いや、ダメです。これは絶対人に渡してはいけないやつです」
「そんなに?」
ネェオに呪いについて説明をすると、興味深そうに頷いた。
「確かにそれは厄介な呪いね。あたしが処分してあげてもいいけど……バレたら後が怖そうね」
「はい、私もそう思います。でも、イナトの名前を出せば許してもらえるかもしれないので、イナトに相談します」
「それがよさそうね。貴女の王子様はいつ帰って来られるかしらねぇ」
ルーパルドとロクにチラリと見られたネェオは「冗談よ」と面白そうに笑う。
ハタから見れば面白い関係なのは認めよう。だが、あまり刺激しないでいただけるとありがたい。
「ここに男性用のアクセサリーってありますか?」
「あることはあるけど、数は少ないわよ」
女性用のものは多く取り揃えてあるが、男性向けはその半分も満たない数だ。
元々この世界の男性は剣術を一通り学ぶらしい。もちろん全員屈強に育つわけもない。自身を守るのに手一杯の人もいれば、学びはしたが戦えないという人もいる。
また、戦闘中、アクセサリーは邪魔になるとして教えられていることもあり、身につける人間は極端に少ないのだとか。
ネェオのように客商売や何かしらの理由で戦えない人々であれば、アクセサリーを身につける男性は少しだけ多いと。とはいえ、高が知れている。
確かにずっと旅をしてきて、アクセサリーをつけている男性は少なかったように思う。まさかそういう設定があるとは思いもしなかった。
「もしかして戦う人にアクセサリー贈るのってあんまりよくなかったりする?」
「そんなことないですよー。親しい友人や恋人、家族にお守りとして贈ることはありますから」
ルーパルドはアクセサリーを見ず私の顔ばかり見ている気がする。興味がないからなのだろうが、じっくり見させて欲しい。
イナトならこの中から良品を見つけてくれそうだ。そう思ってイナトを探すと、少し離れた場所で女性用、男性用関係なくアクセサリーを一望している姿が見えた。
声をかけようと思ったが、イナトは何かを察知したのか不快そうな表情をしている。
「救世主様、僕は少しここを離れます。あの2人に任せるのは不安ですが、絶対1人にならないでくださいね」
そう口にして店を出て駆け出した。
「何があったんだろう」
「あの雰囲気から察するに、デボラ嬢かと」
「え、わかるの? というか近くにいるの?」
「団長の特殊スキルのようなものです。ストーカーされすぎて、そこそこの距離があっても足音や声でわかるようになったんですよ」
イナトは大変な日々を送っていたんだなぁと少し同情してしまう。
少ししてロクが「あいつが来る」と呟く。誰のことかと聞く前に、そのロクの言うあいつの声がした。
「邪魔するわ」
デボラは目を輝かせて入店。私を見るなり辺りを見渡している。きっとイナトを探しているのだろう。
「リン、奇遇ね。……それで、イナト様は?」
「用事があるとかで別行動中ですよ」
適当な嘘をつくと納得していなさそうな「ふぅん?」という声を漏らすデボラ。また店内を探しているようだが、イナトがいないとわかり残念そうな表情を浮かべた。
ネェオに声をかけ、空いたスペースを指差し問いかけた。
「あそこにあったもの、買われちゃったって本当ですの?」
「ええ。とってもロマンチックな人に買われちゃいました」
そこにあったものは覚えている。球体の中に入って星を眺めることのできる球体があったスペースだ。デボラよりも先に誰かが買ったようだ。あんな高額なもの、よく売れたものだ。
イナトもいないし目をつけていたものはすでに売れてしまっていたデボラは、眉を下げた。
しかし、そのあと入店してきたゼヴリンを見て目を輝かせた。
「お兄様! もしかしてその片手に持っているものって」
「ああ、デボラが頼んでいた小説だ」
包装されていて中身は見えないが、頼んでいた小説と言われてすぐに思いついたのは私とゼヴリンの恋愛小説。
当たっていたのか、デボラはこちらを見て微笑んだ。
「貴女にもお渡ししておきますわね。絶対、ぜっっっったい読んでくださいね?」
デボラはゼヴリンから1冊受け取り、それをそのまま私に押し付けた。うっかりイナトに見つかって処分されちゃった~と言い訳してもいいだろうか。
いや、私に呪いが効かない可能性は高い。試しに読んでみても問題ないのかもしれない。でも、万が一呪われてしまったらゼヴリンに迷惑行為を働いてしまう場合も考えられる。
どうしたものか。
「デボラ、救世主様は多忙な方だ。強制はよくない」
「……そうですわね。失礼しました。ぜひお暇な時に読んでくださいね?」
叱られたデボラは改めてそう言ったが、顔は絶対に読めと言っている。実にわかりやすい。
とりあえず頷くと、デボラは満足そうに微笑み「イナト様によろしくお伝えください」と語尾にハートマークがついてそうな言い方をして店を去っていった。
ゼヴリンも私に会釈をしたあとすぐにデボラの後を追った。
「なぁにそれ。……恋愛小説? いらないならうちに置いていってもいいわよ?」
「いや、ダメです。これは絶対人に渡してはいけないやつです」
「そんなに?」
ネェオに呪いについて説明をすると、興味深そうに頷いた。
「確かにそれは厄介な呪いね。あたしが処分してあげてもいいけど……バレたら後が怖そうね」
「はい、私もそう思います。でも、イナトの名前を出せば許してもらえるかもしれないので、イナトに相談します」
「それがよさそうね。貴女の王子様はいつ帰って来られるかしらねぇ」
ルーパルドとロクにチラリと見られたネェオは「冗談よ」と面白そうに笑う。
ハタから見れば面白い関係なのは認めよう。だが、あまり刺激しないでいただけるとありがたい。
0
あなたにおすすめの小説
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
異世界の花嫁?お断りします。
momo6
恋愛
三十路を過ぎたOL 椿(つばき)は帰宅後、地震に見舞われる。気付いたら異世界にいた。
そこで出逢った王子に求婚を申し込まれましたけど、
知らない人と結婚なんてお断りです。
貞操の危機を感じ、逃げ出した先に居たのは妖精王ですって?
甘ったるい愛を囁いてもダメです。
異世界に来たなら、この世界を楽しむのが先です!!
恋愛よりも衣食住。これが大事です!
お金が無くては生活出来ません!働いて稼いで、美味しい物を食べるんです(๑>◡<๑)
・・・えっ?全部ある?
働かなくてもいい?
ーーー惑わされません!甘い誘惑には罠が付き物です!
*****
目に止めていただき、ありがとうございます(〃ω〃)
未熟な所もありますが 楽しんで頂けたから幸いです。
【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する
雨香
恋愛
【完結済】美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。
ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。
「シェイド様、大好き!!」
「〜〜〜〜っっっ!!???」
逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる