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21章
126.エンドラスト国の王
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街中は宝石がふんだんに使用されており、暖かい。イナトもこれなら必要なさそうですね。と宝石を回収した。
回収されると少し肌寒さがあるが、我慢できる程度の寒さだ。もし心許ないのなら、装備を少し暖かいものにすれば問題ないだろう。
息をするたびふわふわと白い息が空気へと消えていく。薄暗いせいか、白い雪がよく映える。
「? もう夜だっけ?」
人は歩いているものの、数は少ない。ゲムデースを出発したのが昼頃だ。そんなに時間はかかっていないと思っていたが、違ったのだろうか。
「ああ、こちらでは普通なので言い忘れていました。ここは朝でも昼でも暗いんです。魔族の仕業だと言われていますが、実際のところ不明です」
お伝えし忘れて申し訳ございません。と苦く笑いつつ、私の問いにすぐに答えてくれたコウギョク。
エンドラストではかなり昔から空は暗く、太陽の光を見た人はいないらしい。
なお、太陽の代わりがここにある赤い宝石。太陽と同じ成分らしく、その光を浴びることで健康を維持しているのだとか。
「1つ聞いていいですか?」
「なんでしょう?」
「仮に太陽の光が戻せるとしたら……喜びますか?」
「もちろんですよ! 旅行で国外に行った者は皆、明るいの最高! て言ってますから」
「なるほど。太陽の光で雪が溶けちゃう可能性も考えられるんですけど、それでもいいんですかね?」
イナトが龍は暑がりだと言っていた話を思い出し、コウギョクに聞いてみた。
もしかしたら龍のために昔の人がわざわざ太陽を隠したのかもしれない。それならば余計なお世話だし、龍の住む場所を無くしてしまう可能性も考えられる。
「確かに龍は暑がりな子が多いです。でも、それなら宝石を鱗に埋め込んでしまえば解決です」
荷物を運ぶ時に鱗の裏側に挟んで持っていくらしい。どの程度大きな龍の話をしているのかはわからないが、人を複数人背中に乗せられると言う時点でなかなかの大きさだ。
「仮に先代様が太陽を隠したとしても、今ならゲムデース国の宝石を大量購入すれば問題ないかと。……と言っても俺が1人で決められることではないので、王様に聞いてみましょう」
きっとあの大きな城だろうと、一段と目立つ城を見て思っていると、違う方向へと歩いて行った。
「こちらですー」と言って案内されたのは一軒家。
豪邸ではあるが、王城と言われると首を傾げてしまう。
「あっちじゃないんです?」
ルーパルドは案内された家なんかよりも何倍も大きな城を指差した。きっとイナトやロクも同じことを考えているはずだ。
「本当はあっちなんですけどね。寒いから嫌だって言うんです」
「王様は寒いの苦手なんですね」
「はい。あ、楽にしていいですからね。堅苦しいの苦手なんですよ、王様」
皆が頷いたのを確認したコウギョクは、ドアをノックして返事も待たずに中へと入った。
「コンゴウ様、救世主様が来てくださいましたよ」
応接室へと案内されると、すぐに目に飛び込んできたのは暖炉の前を陣取っている後ろ姿。
「ついに我が国にも救世主が来たのか……長かったな」
王はロッキングチェアから立ち上がる。すると2メートルはゆうに超えている背丈。座っている時に気づかなかったが、頭には龍のような角が生えている。
ところどころ肌は鱗で覆われている。時々創作で見る龍人というものだろう。
「救世主様、そして騎士様方。お会いできて光栄だ。我はコンゴウ」
私達も簡単に自己紹介をする。コンゴウは丁寧に全員に握手を求め、よろしくと和かに笑う。
握手の時、鱗なのか少しざらつきを感じた。人間では味わえない感触だ。
「我が立つと首を痛めるだろう。座って話そう」
ロッキングチェアを私達の方へ向け座るコンゴウ。
コウギョクは温かいコーヒーをテーブルへと置き、私達へソファに座るよう手招き。
誘導されるまま柔らかいソファへと座りコンゴウを見た。コンゴウは1人コーヒーカップを両手で包んでいる。立つととても大きかったが、こうして座って小さく縮こまっているのを見ると可愛らしく見えてくる。
髪は銀色で確かルーズサイドテールと言ったか、そんな髪型をしている。
ほっそりとした体型で、目は赤く瞳孔は細い。まるで白蛇のようだ。
「さて、まずは地図を」
そう言えばコウギョクがすぐに大きめの地図をテーブルに開いて置いた。
ゲムデースよりも土地は広いが、その半分は魔族に奪われている状況らしい。地図のグレーに塗りつぶされた場所がそうなのだと言う。
「広いな」
ロクは地図を隅から隅まで眺め、目を瞬かせている。コンゴウは優しく笑い頷く。
「ああ、うちの自慢は広大な土地と龍だからな」
「あの、ウロコラドンって何処にいるのか伺っても?」
「イナト様は龍に興味がおありかな? ウロコラドンは人間嫌いだからな……。住処はここなんだが」
指でトントンと叩いた場所は火山付近だった。噴火することは滅多にないそうだが、あまり近付くのはお勧めしないとコンゴウは困った顔で言った。
「何か理由があるのだろう?」
「はい。僕達はウロスラが欲しいのです。解呪魔法で必要な素材だと聞いているので」
「ああ、先代様が見つけたという魔法か……。だが、あれは作りにくい。別の方法を探すことを勧めたいところだが……他の方法は発明されていないからな」
コンゴウはどうしたものか。と呟いて数分後、また口を開いた。
「ウロスラの代わりになるものを開発しようとしていた者が街の外れにいたはずだ。コウギョクに案内させよう」
「ありがとうございます。助かります」
代替が見つかっていることを願うのみだ。
回収されると少し肌寒さがあるが、我慢できる程度の寒さだ。もし心許ないのなら、装備を少し暖かいものにすれば問題ないだろう。
息をするたびふわふわと白い息が空気へと消えていく。薄暗いせいか、白い雪がよく映える。
「? もう夜だっけ?」
人は歩いているものの、数は少ない。ゲムデースを出発したのが昼頃だ。そんなに時間はかかっていないと思っていたが、違ったのだろうか。
「ああ、こちらでは普通なので言い忘れていました。ここは朝でも昼でも暗いんです。魔族の仕業だと言われていますが、実際のところ不明です」
お伝えし忘れて申し訳ございません。と苦く笑いつつ、私の問いにすぐに答えてくれたコウギョク。
エンドラストではかなり昔から空は暗く、太陽の光を見た人はいないらしい。
なお、太陽の代わりがここにある赤い宝石。太陽と同じ成分らしく、その光を浴びることで健康を維持しているのだとか。
「1つ聞いていいですか?」
「なんでしょう?」
「仮に太陽の光が戻せるとしたら……喜びますか?」
「もちろんですよ! 旅行で国外に行った者は皆、明るいの最高! て言ってますから」
「なるほど。太陽の光で雪が溶けちゃう可能性も考えられるんですけど、それでもいいんですかね?」
イナトが龍は暑がりだと言っていた話を思い出し、コウギョクに聞いてみた。
もしかしたら龍のために昔の人がわざわざ太陽を隠したのかもしれない。それならば余計なお世話だし、龍の住む場所を無くしてしまう可能性も考えられる。
「確かに龍は暑がりな子が多いです。でも、それなら宝石を鱗に埋め込んでしまえば解決です」
荷物を運ぶ時に鱗の裏側に挟んで持っていくらしい。どの程度大きな龍の話をしているのかはわからないが、人を複数人背中に乗せられると言う時点でなかなかの大きさだ。
「仮に先代様が太陽を隠したとしても、今ならゲムデース国の宝石を大量購入すれば問題ないかと。……と言っても俺が1人で決められることではないので、王様に聞いてみましょう」
きっとあの大きな城だろうと、一段と目立つ城を見て思っていると、違う方向へと歩いて行った。
「こちらですー」と言って案内されたのは一軒家。
豪邸ではあるが、王城と言われると首を傾げてしまう。
「あっちじゃないんです?」
ルーパルドは案内された家なんかよりも何倍も大きな城を指差した。きっとイナトやロクも同じことを考えているはずだ。
「本当はあっちなんですけどね。寒いから嫌だって言うんです」
「王様は寒いの苦手なんですね」
「はい。あ、楽にしていいですからね。堅苦しいの苦手なんですよ、王様」
皆が頷いたのを確認したコウギョクは、ドアをノックして返事も待たずに中へと入った。
「コンゴウ様、救世主様が来てくださいましたよ」
応接室へと案内されると、すぐに目に飛び込んできたのは暖炉の前を陣取っている後ろ姿。
「ついに我が国にも救世主が来たのか……長かったな」
王はロッキングチェアから立ち上がる。すると2メートルはゆうに超えている背丈。座っている時に気づかなかったが、頭には龍のような角が生えている。
ところどころ肌は鱗で覆われている。時々創作で見る龍人というものだろう。
「救世主様、そして騎士様方。お会いできて光栄だ。我はコンゴウ」
私達も簡単に自己紹介をする。コンゴウは丁寧に全員に握手を求め、よろしくと和かに笑う。
握手の時、鱗なのか少しざらつきを感じた。人間では味わえない感触だ。
「我が立つと首を痛めるだろう。座って話そう」
ロッキングチェアを私達の方へ向け座るコンゴウ。
コウギョクは温かいコーヒーをテーブルへと置き、私達へソファに座るよう手招き。
誘導されるまま柔らかいソファへと座りコンゴウを見た。コンゴウは1人コーヒーカップを両手で包んでいる。立つととても大きかったが、こうして座って小さく縮こまっているのを見ると可愛らしく見えてくる。
髪は銀色で確かルーズサイドテールと言ったか、そんな髪型をしている。
ほっそりとした体型で、目は赤く瞳孔は細い。まるで白蛇のようだ。
「さて、まずは地図を」
そう言えばコウギョクがすぐに大きめの地図をテーブルに開いて置いた。
ゲムデースよりも土地は広いが、その半分は魔族に奪われている状況らしい。地図のグレーに塗りつぶされた場所がそうなのだと言う。
「広いな」
ロクは地図を隅から隅まで眺め、目を瞬かせている。コンゴウは優しく笑い頷く。
「ああ、うちの自慢は広大な土地と龍だからな」
「あの、ウロコラドンって何処にいるのか伺っても?」
「イナト様は龍に興味がおありかな? ウロコラドンは人間嫌いだからな……。住処はここなんだが」
指でトントンと叩いた場所は火山付近だった。噴火することは滅多にないそうだが、あまり近付くのはお勧めしないとコンゴウは困った顔で言った。
「何か理由があるのだろう?」
「はい。僕達はウロスラが欲しいのです。解呪魔法で必要な素材だと聞いているので」
「ああ、先代様が見つけたという魔法か……。だが、あれは作りにくい。別の方法を探すことを勧めたいところだが……他の方法は発明されていないからな」
コンゴウはどうしたものか。と呟いて数分後、また口を開いた。
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