乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜

勿夏七

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22章

143.勇者との再会

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 オジーが先頭に立ち、現れる敵をまるで薪割りのように一瞬で真っ二つにしてしまう。
 経験値も入るし素材も手に入る。楽して様々なものが手に入る――が、あまりにも暇だ。
 
 ダンジョンの道を覚えているのか、オジーは迷うことなく道を選んでいく。

「大丈夫? 疲れてないかな?」
「はい! 大丈夫で……あ、えっと、オジーは大丈夫?」

 咄嗟に敬語が口から出るところだった。その時のオジーの表情は、しょんぼり。と言う言葉が似合いそうな表情。言い直すと満足そうに微笑んだ。
 
「大丈夫だよ。俺は1週間ぐらいは飲まず食わずでも問題ない体だからね」
 
 勇者だからね。と自分で言っておきながら、照れくさそうにオジーは笑った。

「どんな鍛錬を積めばそんなにタフになれるんですか……」
「俺のお師匠さんがね、これまた恐ろしい人だったんだよ。これ終わるまでご飯抜き、あれ取得するまで寝るなとかね」
「俺、一生オジーさんのようにはならねぇや……」
「うんうん。ならないほうがいいよ。ルーパルドくんは健康に長生きしてくれよ」

 背の高いルーパルドだが、オジーはそれを超えるほどの長身。ルーパルドの頭を優しく撫でる。
 その姿はまるで親子のようだ。ちょっと恥ずかしいルーパルドは、「やめてくださいよ」とは言うものの、振り払おうとはしない。
 私の時もそうだったが、撫でられるのは結構好きなようだ。

「よーし、もう半分まできたし休もっか」

 オジーのおかげで全然疲れていないのだが、もう半分も来たのか。
 オジーは伸びをして、首をゴキゴキと言わせる。どこからそんな音が出るんだと言うほどの音だ。
 
「オジー、箱で休めるのでテントは貼らなくていいですよ」
「ん? ……ああ! あの白い箱か。本当に便利だなぁ」

 そうしてオジーを一緒に箱へ――

 箱へと入った後、オジー用の部屋が用意されていた。白い箱は勝手に部屋を増減してくれるのでとても便利だ。
 しかし、オジーはすぐに部屋へは入らず、外へと出ていった。私はその後を追い外に出る。

「部屋、気に入らなかった?」
「そうじゃないよ。でも、外に慣れてる身としてはちょっと変な感じでね。有り難く部屋は使わせてもらうよ」

 オジーは大木の隣に腰を下ろし、一息。「君も座ったら?」と隣を指差す。
 私が隣に座ると、オジーは嬉しそうに私へと笑いかけた。

「本当に君は昔の救世主そっくりだ。匂いも……あ、これは変態発言か。忘れて」

 匂いまで似てるってなんだと聞きたいところだが、きっと冒険している人は匂いが似てくるのだろう。そう思うことにした。

「そういえば君は俺の師匠に会ったのかな。生きてたら真っ先に君のこと囲いそうなんだけど」
「囲われそうにはなってない、多分。そもそも生きてるの?」
「龍人だから生きてると思うよ。何年生きられるのか俺は知らないけど」
「えっと、じゃあ見た目はどんな感じ?」

 容姿を聞いたところ、真っ赤な髪色でかなりの長髪。出かける時はポニーテールにしているのだと。
 目の色は緑。龍の血が濃いため手足のどちらも指先は鱗で覆われているとか。

「赤髪と言えば、勇者の剣を見せたい相手として紹介したクロノダさんと、赤みの強い茶髪の人ならいたよ。ヒスイっていう龍人の従者らしいから、多分オジーのお師匠さんとは別人だとは思うけど」
「そっか。なら、すでに死んでるのか、それとも何かしらの理由で君の前に顔を出せないってところかな」
 
 人工だろう月を見つめ、オジーは物思いに耽っているようだ。

「おじさんといても楽しくないだろう。あの3人のところに行ったらどうだい?」
「そう言う割には寂しそうにするね」
「あはは、バレてたか~。いや、知ってる顔なのに俺によそよそしい態度がちょっと寂しくてねぇ。……もしかしてそれが嫌で、師匠は君の前に出てこないのかもしれないな」

 前の救世主も私のように好意を寄せられやすい能力をもらっていたのだろう。
 オジーや魔王、オジーの師匠。誰もが過去の救世主のことが好きなようだ。
 そして、私と過去の救世主との類似点を見つけるたび、安堵したような表情を浮かべてくる。
 ちょっと複雑な気分だ。
 
「君が生まれ変わりってことは、ないのかな」
「私は異世界から来たんで、多分違うと思いますよ」

 ゲームの世界だし。と言いたくなったが黙っておこう。
 ゲームの世界だからこそ私と似たキャラクターが過去いた設定にしているだけ。
 それを過去の人々は記憶として刷り込まれているだけだ。
 ……となると、本当にこの世界の設定上、私は過去の救世主の生まれ変わりな可能性もあるのだろうか。

「いや、もしかしたらその可能性も、無きにしも非ず……かも?」
「難しい顔をしてると思ってたらずっと考えてたの? ますます俺の知ってる異世界から来た女の子だなぁ」

 興味深そうに私を見つめ、笑顔を浮かべた。だが、何を思ったのかハッとした表情へと変わる。

「あんまり過去のあの子と比べられるのはいい気分ではないよね。この話終わりね」

 オジーは立ち上がり、部屋に戻ろう。と私の手を取って立たせてくれた。その大きな手を握った途端、なぜか懐かしく思ってしまった。
 絶対ありえないのに。
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